【レポート】

IDF Spring 2004 - 低消費電力だけでは不十分、見やすさも求められる液晶技術

    Yoichi Yamashita  [2004/02/23]

    IDF Spring 2004のTechnology Showcaseでは液晶ディスプレイの省電力化技術の説明が行われていた。Intelは、今年後半のリリースを予定している新モバイルPCプラットフォーム「Sonoma」に「Intel Display Power Saving Technology 2.0」を組み込む。

    ディスプレイはノートPC全体の消費電力の35~40%を占める電力食いである。その消費電力を抑えるには、回路ごとに電圧と電流のバランスを最適化したり、バックライトやインバータの効率化やディスプレイ素材やパネル構造の改良などが考えられる。

    Technology Showcaseの「Intel Display Power Saving Technology」説明ブース。ディスプレイの省電力を3Wから2.5W以下に減少させる可能性を説明

    Technology Showcaseでの説明では、OLEDや双安定型など次世代技術を用いなくても、すでに14.1インチのXGAパネルでパフォーマンスを損なわずに3W以下の消費電力を達成しているという。IDF期間中に東芝松下ディスプレイテクノロジーが発表したノートPC用のディスプレイ技術では、14.1インチSXGA+(1400×1050ピクセル)ディスプレイで2.7W、14.1インチXGAで2.5W以下を実現している。

    これはIntelを中心にコンポーネントベンダーが集まってノートPCの省電力技術の標準化を進めているMobile PC Extended Battery Life Working Group(EBL-WG)の目標を十分に上回るペースだ。同グループは、Thin&Lightカテゴリーに属するノートPCのディスプレイの消費電力を2004年までに3W、2005年までに2.7W、2006年までに2.5Wを目標としている。

    ただし、ノートPCのパネルサイズは大サイズ・高解像の傾向にある。SEC Marketingによると、14.1インチ・ディスプレイの割合は2002年54%、2003年41%と減少しているのに対して、15インチは30%から39%に増加。2004年は立場が逆転して、14.1インチが36%、15インチが40%になると見ている。また、解像度も2003年はXGAが74%と圧倒的だったが、2004年にはXGA54%、SXGA+21%、WXGA5%、WSXGA+5%になると予測している。Thin&Lightカテゴリーも例外ではなく、今後は携帯性だけではなく、画面の見やすさもユーザーが製品を選択するポイントになると見ている。

    光量センサーでバックライトを調整するTAOSのAmbient Lights Sensor(ALS)

    Technology Showcaseでは、Texas Advanced Optoelectronic Solutions(TAOS)のAmbient Light Sensor(ALS)のデモが披露されていた。ALSは、周囲の明るさをセンサーで検知し、そのデータを元にバックライトを調整する機能である。独自のインタフェースを備えており、ユーザーは明るさを変えるのではなく、見やすさを設定する。すると、室内や日差しの強い屋外など、状況に応じてバックライトが自動的に最適化される。同機能はIntel Display Power Saving Technology 2.0に盛り込まれる予定だ。

    このようにIntelが光量センサーを標準化し、ユーザーインタフェースなども含めたトータルソリューションとして用意することで、PCベンダーはコストを抑えながら、品質の高い製品の提供が可能になる。また、IDF期間中に標準化団体Standard Panels Working Group(SPWG)が、EBL-WGと共同開発したモバイルPCディスプレイの新仕様「SPWG 3.0」を公開した。3.0は、ディスプレイの交換性の向上、電力の利用効率を高める内容になっており、コストダウンと市場投入の時間短縮を可能にするとしている。

    Intelは昨年春のIDFでモバイルインターネットPC 2004のコンセプトモデル「Newport」を公開、秋のIDFでそれを実現するSonomaを説明した。そして今年春のIDFでは、新たに「Florence」というコミュニケーションやセキュリティ機能を強化したモバイルノートPCのコンセプトモデルを公開している。Centrinoでは最初に利用モデルを提案し、それを実現するための技術を示すというパターンができあがっている。

    Mobile Internet PC 2005 Visionを具現化したコンセプトモデル「Florence」

    3モデルのうち最も大きな17インチの大型液晶ディスプレイを搭載した「Florence」を見せるAnand Chandrasekher氏


    ディスプレイを閉じた状態でも、EメールやPIMデータ、無線通信状況などをセカンダリ・ディスプレイに表示できるEMA

    実際、そのサイクルに乗って製品開発を進めるPCベンダーが登場している。今回のIDFでは聯想がLenovaブランドで、Newportをベースにした「Vela」というExtended Mobile Access(EMA)を搭載したノートPCを披露していた。EMAはノートPCのディスプレイが閉じられた状態でも、小型のセカンダリ・ディスプレイを通じてEメールやPIMデータなどにアクセスできるようにする利用モデルだ。また、ソフトウエア分野でも、Insyde Softwareが最小限の消費電力でEMA機能を利用できるようにするソフトウエア「InsydeAxS」を発表している。

    Intelのモバイルテクノロジというアプローチは、CentrinoベースのノートPCの品質を底上げし、モバイル機能という点でユーザーに安心感を提供するという効果がある。加えてSonomaからは、一部の製品ではIntelが提案した利用モデルも反映される。そこにユーザーがどのように反応するかも今後の注目点の一つとなりそうだ。

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