【レビュー】
さて、etBIOSを使えばOSは要らない。ということはHDDを搭載する必要はない。では、メモリは?CPUは?……ということで、どこまでパーツを削減できるかという実験をやってみた。当然ながらHDD/FDDはなくても動作するが、メモリは起動時にブザーが鳴ってBIOS自体が起動しない。毒喰らわばとCPUも抜いてみたが、当然この状態ではスイッチすら入らない。
etBIOSはマザーのBIOSの起動直後に起動することを考えれば、BIOSが起動しない環境では動かすことは無理、という単純な結論に到達する。この製品を買ってCPUやメモリを付けないユーザがいるのか?ということを考えればむしろ当然の設計だ。
今回テストしたベアボーンに搭載されているマザーには、AGPとPCIスロットが1基ずつ搭載されている。そこで、グラフィックボードとサウンドボードを増設した時に、etBIOSはどう動くのか実験してみた。AGPにはGIGABYTE製「R9800 XT」を、PCIにはAudioTrak製「Maya7.1」という、3Dゲームだろうとアナログ7.1chだろうとドンと来やがれ!的な構成である。
まずはグラフィックだが、これを装着した時点でetBIOSが起動しなくなる。正確にはマザーのPOST画面は表示され、次へ進む気配を見せるものの、etBIOSが出るタイミングで画面に「VGA」とだけ出て停止してしまう。BIOS設定で「Boot from etBIOS」を「disabled」にすれば普通にブートするため、どうやら外部AGPのカード使用時はetBIOSが起動できない模様だ。
そしてサウンドカードだが、こちらは装着しても問題なくetBIOSが起動し、使用状態に持ち込める。が(半分以上予想はしていたが)音はオンボード側の端子からしか出力されない。
この結果からわかることは、etBIOS自体はオンボードサウンドとオンボードVGAにのみ対応したドライバのみを備えており、それ以上のハードウェア構成に対応できるような汎用ドライバを持っていない、ということになる。etBIOSのサイズや出自を考えればむしろ当たり前だが、グラフィックボード増設だけでアウトになるのはちょっと辛い仕様だ。
また、電源ユニットも普通のATX電源に交換してみたが、こちらは全ての機能が問題なく動く。ただ電源オフの時に光学ドライブのトレーが開かないという制限があるのみ。今後etBIOSがもっと広まれば、光学ドライブ専用のコネクタを持つ電源も市販されることだろう。
では、etBIOS使用時の消費電力はいかほどのものだろうか?PCとして起動させなくとも使える、というコンセプトからすると、etBIOS使用時は消費電力も少なく動作も軽快、というものが期待できる。そこで、Windows XP上でDVDムービーを再生した時と、etBIOS上で再生した時の消費電力を比較してみた。電力測定は計測技研製「Watt Checker」を用い、ハードウェアは下表の構成でテストした。
構成
| CPU | Pentium 4 2.4CGHz |
| Memory | 256×2(DDR400) |
| HDD | ST3120026A |
| DVD-ROM | SD-M1612 |
消費電力
| アイドル時(メニュー表示時) | DVD再生時 | |
| etBIOS | 126-128W | 116-118W |
| Windows XP+WinDVD | 76-78W | 86-90W |
結果は表の通り、普通にWindows上で再生するよりもetBIOS利用時の方が30Wほど消費電力が高い。面白いのはetBIOSのメインメニューを表示させている時の方がさらに10Wほど余分に電力消費をするという点だ。etBIOSはPCとしてのリソースを全然使わないのでDVD再生専用機並の低消費電力だと思っていた筆者にとっては結構ショッキングな結果だった。この結果からetBIOSはアイドル時にCPUを休ませるHALT命令を使っていない、というよりはプログラムの容量制限上意図的にオミットしていると予想される。もっとも、etBIOS自体は低消費電力が売り文句のVIAのEdenプラットフォームで展開されることを主眼に開発されたようなので(※)、この結果はPentium 4プラットフォームに実装してしまった故の結果、ということになるだろう。今後出現が予想されるEdenプラットフォームに搭載された製品が出たとき、このあたりの評価はもう一度やってみたい。
※P8F161-eのマニュアルを読むと、etBIOSの部分になぜか「EPIA-M」という単語が出てくる。おそらくはEPIA-M用のマニュアルをそのまま転載し、訂正し忘れた、というところだろう。
etBIOSの出現によって、わざわざMP3やDVDを観賞するためにPCを起動する必要はなくなった。機能的には細かい不満はあるが、スイッチ投入後10秒足らずで再生できる軽快さは印象的。今後TVチューナーカードの対応が広がり、消費電力が下がれば、かなり面白いニッチなPCが構築できるプラットフォームになり得るだろう。
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