【レポート】
米サンフランシスコでIntel主催の開発者会議「Intel Developer Forum(IDF) Spring 2004」が開幕、オープニング基調講演でCEOのCraig Barrett氏が次期Xeon DP「Nocona(開発コードネーム)」にIA-32アーキテクチャの64bit拡張技術(64-bit Extension Technology)を実装することを明らかにした。Noconaは、2004年第2四半期のリリースを予定している。
Intelは、これまでクライアントPCやワークステーションの64bit対応には消極的だった。一年前のIDFで64bit対応についての質問が出た際に、CTOのPat Gelsinger氏は「(64bitのメリットである4GB超のメモリ空間を)クライアントPC向けのアプリケーションが活用できるようになるのは2006~2007年になるだろう」という見通しを示していた。64bit拡張技術を発表した今でも、この姿勢に大きな変化はない。Barrett氏は「現在のところはサーバ・ビジネスだけを考えている」と述べる。
64bit拡張技術の発表はエンタープライズ向けのエンドツーエンド・ソリューションの説明の中で行われた。これはハイエンド・サーバ向けからシングルプロセッサのワークステーションまで、すべての市場を網羅しようという試みである。その中で、Noconaは成長著しいワークステーション/ローエンドサーバー市場向け製品となる。
ユーザー代表としてUGS PLMが登場。64bitで動作する統合CAD/CAM/CAEソフトウェア「NX」を使って飛行機のデザインをシミュレーションし、デザインの変更に伴う数値の変化をExcelで整理するというデモを披露した。
現時点でUGS PLMほど64bit拡張技術を活用できる業種は限られる。だが、今年半ばにはPrescotファミリがシングルプロセッサのワークステーション向けに投入され、来年始めにはXeon MPの後継となる「Potomac」が登場する。サーバ・ビジネスに限定したとしても、64bit拡張技術をサポートする製品は着実に増えていく。
64bit拡張技術の発表では、Microsoft CEOのSteve Ballmer氏がビデオで登場し、「64bit拡張の話を聞いて、超エキサイトしている(Super Excited)!!」と、いつもの調子で声を裏返らせながら、64bit拡張技術のサポートを表明した。
Intelの64bit拡張技術に対するMicrosoftの迅速な対応は、"AMD64の将来に暗雲"と受け取る人もいるかと思う。だが、この日の基調講演から受けた印象は少し違ったものだった。
Noconaを含む新製品に関して、「重要なのは、エンドユーザーの役に立つように、数々の技術をうまくまとめることである」とBarrett氏。「シリコンがあり、コンパイラがあり、そしてOSも揃っているというように、しっかりとコントロールする必要がある。数年前のテクノロジを振り返ると、ユーザーが投げ出したくなるのを我慢しながら、じっと市場に浸透するのを待ち続けた例がいくつもあった。その経験を生かせば、新しいテクノロジを前にしたとき、市場が準備できているかを見極めることが重要になる」と述べる。
Barrett氏の言葉からは、今でも64bit化に慎重な姿勢が伝わってくる。だから、Intelの64bit拡張技術は、ソフトウエア産業やパートナー企業などの64bitコンピューティングに対する期待に応えてふみ出したのではないかと思える。ただ、Intelが動けば、64bit拡張技術自体が大きなサポートを得ることに変わりはなく、Intelが業界の期待を受けた"まとめ役"になるような感じがするのだ。
一方、64bit拡張をサポートするXeonの登場は、Itanium 2にとって痛手になる可能性がある。だが、「Itaniumは比類ないパフォーマンスで、Big Iron Systemとして地位を固めている」とBarrett氏は主張する。
64bit拡張技術が大きなニュースとなったBarrett氏の基調講演だが、全体的なテーマは「デジタル・トランスフォーメーション」だった。これは"シリコンをソリューションに転換する"ことを指している。Hyper-Threading、Centrino、マルチコア、64bit技術、パケット処理、LaGrande、Vanderpool、グラフィックス等々、デジタル化を支える数々の技術を、どのようにユーザーに利用してもらうかという点に焦点を当てている。
身近な例がデジタルホームである。基調講演では、CESで公開されたEntertainment PC、LCOS技術を採用した大型リアプロジェクションTV、ノートPCのコンセプトモデル「Florence」、GSM/GPRS/Bluetooth/802.11に対応する携帯電話のコンセプトモデルなどのデモが披露された。
IDFのプログラムも、従来のシステム・コンファレンスだけではなく、新たにソリューション・コンファレンスが設けられた。そこではシリコン、リファレンスデザイン、ソフトウエア、アプリケーションの組み合わせから生まれるビジネスチャンスやデジタル技術を使ったエコシステムが論じられており、最近のIntelのもう一つ顔であるインフラを作る企業という側面が表に出てきている。
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