【レポート】
10日からサンノゼで始まったPalmSource Developer Conferenceで、米PalmSourceがPalm OSの最新版「Palm OS Garnet」と「Palm OS Cobalt」を初披露した。
Garnetは、現行OS「Palm OS 5」の新名称で、ワイアレス機能の強化やスマートフォン向けの機能アップグレードが施されている。Cabaltは、「Palm OS 6」(開発コードネーム:Sahara)と呼ばれていたPalm OSの次期メジャーアップデート版である。マルチメディア機能の強化に加えて、携帯電話市場やエンタープライズ市場をはじめ、幅広い市場で利用できるように根本からデザインし直された。PalmSource CEOのDavid Nagel氏によると、「Cobaltの80%は新たに書き直されている」という。
Garnetは2月11日に開発者へリリースされ、今週中にライセンス・パートナーへの出荷を開始する予定だ。また、Cobaltは昨年12月にライセンス・パートナーへ出荷済みで、開発者には2月10日にリリースされた。今年後半には、両OSを搭載したPalm OSデバイスが登場する。
2つのOSの同時提供にふみ切った背景には、分離・独立に伴うPalmSourceの新戦略が影響している。GarnetはPalm OS 4から続くPalm OSの流れを受け継ぐOSで、Cobaltは次世代デバイスと呼べるような製品を生み出すためのOSとなる。
CPO(最高製品責任者)のLarry Slotnick氏は、「Microsoftは、Windows 95を98などにアップデートしながら、同時にNTを2000そしてXPに進化させ、5年ぐらいの月日をかけてNTカーネルへと移行した。我々も同じように大きな変化に挑むことになる」と説明する。ワイアレスがコア機能であるという点ではGarnetとCobaltは共通しているが、しばらくは2つのOSが、異なったターゲット層に異なった機能を提供する状態が続くという。一般ユーザー向けにはGarnet中心になり、次第にCobalt搭載機がユーザー層を広げると予測する。
では、PalmSourceの新戦略とはどのようなものだろうか。
現在、Palm OSはおよそ3,000万台のデバイスに搭載されている。その多くはPDAである。Palm時代は同じ会社でPDAを開発していたのだから、PDA中心になるのは仕方がない。だが、PalmからスピンオフしたPalmSourceにとって、現在の目標はより多くのデバイスにPalm OSを搭載することである。PDA市場に執着する必要はなく、むしろPalm OSの可能性を広げられる市場に積極的に目を向けるべきだと考えている。そこで着目したのがスマートフォン化が進む携帯電話市場だ。
スマートフォンではPalm OSの核と言えるPIM機能を活用できる。また、「最近の携帯電話は豊富な機能を備えているが、すべてを使いこなせる人はほとんどいない」とSlotnick氏が指摘するように、"シンプルで分かりやすい操作性"という点でもPalm OSを利用するメリットがある。
とは言え、Palm OSがスマートフォン用のOSになるわけではない。スマートフォンは現時点でPalm OS搭載機の数を飛躍的に増やせる可能性を秘めた市場だが、PalmSourceがCobaltで開拓しようとしているのは、スマートフォンも含めたスマートモバイル・デバイスという新カテゴリーである。
「Cobaltは、エンタープライズ、教育、エンターテインメント市場など、さまざまな場所で、スマートモバイル・デバイス/ソフトウエアという新カテゴリーを築く存在になる」とNagel氏。
そのために重要になるのがPalm OSの柔軟性だ。Palm OS、Windows Mobile、Symbianを比較すると、Palm OSには特徴的なデバイスが多い。リファレンスデザインの制約を受けるWindows Mobile搭載機は、製品が画一的である。この違いはOSの設計の違いによるものだと、Nagel氏は指摘する。Palm OSはシンプルな設計で、製品開発の自由度が高い。
この点は賛否両論が出てくるだろう。リファレンスデザインが優れていれば、誰でも簡単にレベルの高い製品を作り出せるようになるので、画一性のメリットを否定することはできない。だが、かつてPIMがキラーアプリとなって、Palm Pilotが大ヒットしたように、キラーアプリの存在が、キラーデバイスを生み出すというのがPalmの考え方だ。PalmSourceというOS開発企業に姿を変えた現在でも、独創性を重んじる姿勢に変わりはない。ライセンス・パートナーが自由な発想でキラーデバイスを作り出せるように、柔軟性のある土台作りをPalmSourceは目指す。
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