【レポート】

噂の「Zeta」を試す

1 噂の「Zeta」を試す(1) - ついに登場したBeOSの後継者

    海上忍  [2004/01/14]

    Intelプラットフォームへ進出したがWindowsの壁に阻まれ、インターネット家電向けのOSとして「BeIA」をリリースするも空振りに終わり、刀折れ矢尽きて解散したBe Inc.は我々の記憶に新しい。BeOSのその後の動向に注目が集っていたが、昨年末になってBeOSの"正統な後継"を名乗る「Zeta」が公開された。今回ベータ版(最新版はRC1.1 SP2)を試用する機会に恵まれたため、早速その概要についてレビューしてみよう。

    Zetaのデスクトップ。一世を風靡したGUIが今ここに復活する

    デュアルCPUを搭載したマシンであれば、Zetaはさらに軽快に動作する(画面はCPU管理ソフトの「Pulse」)

    「LocaleKit」の追加により、主要なアプリケーションは国際化を果たした(画面は「Deskbar」のメニュー)

    サービスパックを適用すれば、いろいろなアプリケーションが日本語で表示されるようになる(画面はN88BASIC互換のインタープリタ「Be88-BASIC」)

    ○ZetaとBeOSの関係

    米Apple Computer出身のJean-Louis Gasse氏が中心となって設立された米Beは、紆余曲折のすえ同社の主要製品「BeOS」などの知的財産をPalmに売却、2002年3月にその歴史を閉じた。BeOSのみならずPowerPC 603/603eを2基搭載した「BeBox」を世に送り出すなどニュースに事欠かなかった同社のこと、一抹の寂しさを感じたコンピュータファンも少なくないはずだ。

    今後BeOSは(従来の形で)進化することはないが、Beはいくつかの置き土産を残してくれた。たとえば、BeOSのUIを支える「Tracker」のオープンソース化は、Beにとってプラスに作用したかどうかはわからないが、BeOSを知る者にとっては朗報だろう。Beの解散と前後してOpenBeOSなどの派生プロジェクトが誕生(表1)したことからも、オープンソースとしての注目度の高さがうかがえる。

    そしてもう1つの置き土産が、今回紹介する「Zeta」だ。開発/販売にあたる独yellowTabによれば、Palmによって知的財産が買収される直前に無期限のライセンスを取得、BeOSの正式なソースコードを基に"正統な"後継版として開発されたものだという。Palmに買収されたBeOSの今後は不明だが、BeOS R6となるはずだったシステムがZetaと名を変え別の道を歩む、と理解すればいいだろう。

    もちろんBeOS独自のWebブラウザ「NetPositive」も動作する

    「LocaleKit」の機能により多言語環境を実現したことが、Zetaの功績と言えるだろう

    MacOSのFinderに相当する「Tracker」は、バージョン5.1.5が収録されている

    表1 現存するBeOSから派生した開発プロジェクト

    名称URL特徴
    Zetahttp://www.yellowtab.com/Beから直接ライセンスを受けて開発されたBeOS R5の後継となるOS
    ReOShttp://www.5sight.net/reos/BeOS R5を対象に、一部のモジュールを更新する開発プロジェクト
    OpenBeOShttp://open-beos.sourceforge.net/NewOSやOpenTrackerをコアとして、BeOS R5とのバイナリ/ソース互換を目指すOS
    NewOShttp://newos.sourceforge.net/Beの元エンジニアが主宰する、デスクトップを対象としたオープンソースのOS(カーネル)
    Blue Eyed OShttp://www.blueeyedos.com/LinuxカーネルをベースにBeOSとのソース互換を目指すOS
    OpenTrackerhttp://opentracker.sourceforge.net/BeOSのGUIを支える「Tracker」と「DeskBar」のオープンソース版

    ○インストールと周辺機器の対応状況

    BeOSが普及しなかった原因の1つには、対応する周辺機器の少なさが挙げられるだろう。Windowsから起動可能なインストーラを収録するなど導入を容易にするための工夫はなされたものの、大方の予想通り続々と登場する周辺機器に対応しきれず、先進のシステムとしての寿命を縮める格好になってしまった。

    BeOSの後継であるZetaもその呪縛から逃れられず、インストール前に周辺機器の対応状況を確認することは必須条件だ。yellowTabのWebサイトにはハードウェア互換性リストが掲載されているので、パーツ選定の参考にするといいだろう。ちなみに筆者が利用した環境(表2)では、Ethernetデバイス(3c920)が掲載されていないことを除けば、一応は互換性を満たしていることになる。

    表2 Zetaをインストールした環境

    マザーボードTyan Tiger MPX(S2466N-4M、BIOS v4.04)
    CPUAthlon MP 1800+(1.53GHz Palominoコア)×2
    メモリ512MB(PC2100 DDR)
    チップセットAMD-760 MPX
    ハードディスクIBM DTLA-305040 41.1GB(Ultra ATA/100、5400RPM)
    DVD-ROMRICOH MP5120A
    Ethernet3Com 3c920(オンボード)
    ビデオカードELSA GLADIAC 511DVI(NVIDIA GeForce4 MX 32MB、AGP)
    サウンドカードSoundBlaster Live! 5.1ch

    ハードディスクに空きパーティションを確保し、CD-ROMからブートしてZetaのインストールを開始したところ、いきなりトラブルに遭遇した。起動画面が表示されるところで自動的にリブートしてしまい、インストーラの起動まで辿りつけないのだ。5~6回ほど繰り返したところでようやく成功したが、かなり頼りない。

    インストーラの挙動は特に問題なく、全パッケージを選択(約1GBの空き領域が必要)してから30分ほどでファイルコピーは完了、無事にZetaのインストールを終えることができたが、ブート時の不安定さは解消できなかった。50回ほどブート作業を繰り返してみたところ、電源ONからストレートに起動できたのは12回で、4回のうち3回は失敗していた計算だ。筆者の環境に限った話かも知れないが、ハード面の条件を変えていないにもかかわらず発生したことから、やはり原因はZeta側にあると思われる。

    Ethernetのドライバに関する問題は、BeOSユーザのソフトウェアポータル「BeBits」で公開されている3c902用のドライバを導入することで解決できた。前述したyellowTabのハードウェア互換性リストとともに、Zetaを導入する際には要チェックのサイトと言えるだろう。

    また、不具合を修正するサービスパックの適用も必須だ。本稿執筆時点ではSP2が最新版であり、日本のユーザは国内の販売代理店「PC-CRAFT」のWebサイトからダウンロードすることになる。不具合の修正だけでなく日本語ロケールもインストールされるため、SP2の適用後には多くのアプリケーションで日本語のメッセージが表示されるようになるはずだ。

    Zetaの起動画面。この時点で起動に失敗することが多い……

    インストーラが起動して最初に表示されるダイアログ。「Japan」を選択すれば、以降メッセージの一部が日本語で表示される

    すべてのパッケージ(Full)を選択すると、約1GBのディスクスペースが必要になる

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