【レポート】

CES2004レポート - 統合的な家電戦略を展開するHP、製作から配信までサポート

Yoichi Yamashita  [2004/01/14]

HPのCarly Fiorina会長兼CEOは、基調講演の中で「HP Digital Entertainment System」として、メディアセンターPC、ディスプレイ、プロジェクター、音楽プレイヤー、ハンドヘルドなど、あらゆるタイプのデジタル・エンターテインメント製品を投入し、関連づけていく計画を発表した。さらに同社の家電戦略では、製品だけではなく、コンテンツ製作からデジタルコンテンツの配信サービスまで統合的なサポートを行うという。

すべてのHP製品に著作権保護技術の組み込みを発表

○18カ月にわたる家電製品投入計画

米国では、ファッションやインテリアなどそれぞれに専門分野を持つ5人の同性愛者が、センスのないノーマルな男性の生活をファッショナブルに変えてしまう「Queer Eye for the Straight Guy」という番組がヒットしている。基調講演では、そのリーダーであるCarson Kressley氏が登場し、配線だらけのAV機器、CDとビデオが積み上げられた部屋に住む男性のエンターテインメントライフを改善するというビデオが流された。

"本棚に積み上げられていた音楽CD、靴箱に投げ込まれていた写真はメディアセンターPCに収められ、机の上に散らばっていた複数のリモコンは、スマートリモコン機能を搭載したiPaqに集約された。ごちゃごちゃとしていた部屋が広々となっただけではなく、これまで見つけられなかったCDや写真もすぐに探し出せるようになった。"

すべてのAV家電をiPaqから操作するスマートリモコン・アプリ

このビデオでCarson Kressley氏が持ち込んだ数々のエンターテインメント機器は、今後HPが発売を予定している製品だという。同社は、今年第3四半期に30インチのLCDや42インチのプラズマディスプレイの発売を予定しているほか、今後18カ月にわたって段階的に家電製品を拡充していく。

デジタルエンターメント製品の中心となる同社の次世代メディアセンターPCを、Fiorina氏はエンターテインメント・ハブと呼んでいた。「リビングルームに設置することを前提とした新タイプの製品で、これまでの製品や他のデバイスとも互換性がありますが、HPのテクノロジと使うことでより優れた機能を発揮します」と説明する。MicrosoftのBill Gates会長が基調講演で発表したWindows Media Center Extenderにも対応するという。

○HPブランドのiPodを販売

統合的なデジタル・エンターテインメント戦略を押し進める上で、不可欠となるのがデジタルコンテンツの保護技術である。HPは、すでに一部の書き込み対応DVDドライブで、保護されたコンテンツの書き込みをできないようにしているが、今後はすべての製品に著作権保護技術を組み込む。データの暗号化技術を導入、さらにはテレビ番組の録画用にFCC(連邦通信委員会)に承認された放送フラッグを採用する予定だという。ただ、著作権保護を徹底すれば、消費者から敬遠される可能性があるのが問題になる。

そこでゲストとして、プロデューサーのJimmy Iovine氏、U2のギタリスト The Edge、Sheril Crow氏、Dr.Dreなどが登場して、コンテンツ保護の徹底を打ち出したHPの姿勢へのサポートを表明した。Ionive氏は「音楽が盗まれるということは、逆に受け止めれば、音楽はインターネットのキラーコンテンツになる可能性があるということだ」と指摘。ユーザー、アーティスト、レコード会社、家電メーカーなど、すべてが満足できるソリューションの実現こそが、最も効果的な不正ダウンロード対策になると言う。

Jimmy Iovine氏、U2のThe Edge、Sheril Crow氏、Dr.Dreなどが、HPに対するサポートを明らかにするためだけに駆けつけた

すべてのサービスを比較検討した結果、Appleとの提携が最善と判断したという

そのコメントに応えるようにFiorina氏は、Apple Computerとの戦略的提携を発表した。「iTunes」をHP製品にプリインストールし、「iTunes Music Store」の利用をHPユーザーに促すほか、Appleのデジタル音楽プレーヤー「iPod」の自社ブランド製品を今夏に発売するという。

Fiorina氏が掲げたHPブランドのiPodは、基本的にApple製と同じデザインだが、色が淡い青とシルバーの組み合わせになっていた。エンターテインメント・ハブにも融合させる予定で、将来的にHP製品ではiTunesをリモコン操作でナビゲートできるようになる可能性がある。

○音楽・映画製作の現場から支持

プラズマディスプレイを中心とした家電戦略によって業績を回復させてきたGateway、さらにDellも同様の戦略を打ち出している。対するHPは、むしろAppleに近い戦略を取っている。StarbucksでのWi-Fi接続サービスの技術サポート、「Sundance Film Festival」や新人脚本家や映画監督を発掘する「Project Greenlight」に対する資金および技術面での支援等々、製品だけではなく、コンテンツ製作や製品を使うユーザーのサポートにも力を入れている。

Project Greenlightからは主催するChris Moore氏とパートナーの俳優Ben Affleck氏が登場

HPのブースでは早速iTunes Music Storeの利用方法が説明されていた。HPとAppleというのも不思議な組み合わせである…

基調講演に駆けつけた豪華なゲスト陣を見れば、アーティスト側からは順調に支持を得ていることが分かる。一方で、HPが展開しようとしている統合的な試みをユーザーに理解してもらうためには、現在の家電量販店とのタイアップを中心にした販売体制だけでは心許ない。Gateway CoutryやApple Storeのように、消費者にアピールする場を設けることが今後18カ月の課題となりそうだ。

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