【レポート】

CES2004レポート - ムーアの法則でデジタル家電の変革を促進 Intelインサイダー講演

Yoichi Yamashita  [2004/01/13]

CESでは基調講演とは別に業界関係者向けに講演が設けられた。その講演にIntelのPaul Otellini社長兼COOが登場、同社の家電業界に対する取り組みを説明した。

「2つの産業(コンピュータと家電)の間の境界は、曖昧になってきている……今や多くの消費者が、実際に自宅の家電環境を変えようと思案し始めている。誰もが複数のビデオストリーミングを導入したいと考えており、その答えを我々は提供できる」

同氏は、様々な点で家電産業は"PC市場の初期に見られた状態"にあると言う。例えば、以前は家電製品の開発には、カスタムASICを使い、独自にソフトウエアを開発していたため3~5年の時間を要していた。長い開発期間中に製品を投入する市場が縮小するリスクもある上、開発コストも高かった。

だが、今ではプロセッサ、ソフトウエア共に汎用のものが用いられるようになり、開発期間は9カ月~2年に短縮され、コストの大幅削減を期待できるようになったと指摘する。PC業界の発展を支えた「ムーアの法則」を適用すれば、PC業界同様の大きな波がデジタル家電でも起こり、その波に業界全体が乗れるようになるという。

無線LAN、検証、ハイファイ、アンプリファイ、シンプル化をまとめて「Uni-Fi」がIntelのデジタル家電戦略の標語

ムーアの法則の適用で、デジタル家電でも開発期間短縮とコストダウンを実現

○2フィートから10フィートへの挑戦

Intelの技術を注ぎ込んだ家電製品の具体例として示されたのが、「Entertainment PC」というコンセプトモデルである。機能的にはPCだが、リビングルーム向けにAVラックに収容できる横置き型のデザインで、リモコン操作が基本となる。Otellini氏は、これを「2フィートから10フィートへのインタフェースの変化」と説明していた。

Entertainment PCでは、テレビやDVDの視聴、テレビ番組録画のほか、音楽を楽しんだり、ゲームで遊んだりという使用方法が中心になる。CPUには3GHz超のPrescott(コードネーム)、チップセットはGrantsdale(同)を搭載。無線LANのアクセスポイント機能を内蔵しており、Bill Gates会長の基調講演で発表されたMedia Center Extenderを使って、Entertainment PCに収められたコンテンツを家庭内LANで共有することもできる。コンセプトモデルに従った実際の製品は、今年中頃に800ドル以下の価格で登場する予定だという。

Entertainment PCのデモを披露するLouis Burnsデスクトッププラットフォーム担当副社長

Entertainment PCのデモ画面

Media Center ExtenderでEntertainment PC内のコンテンツにアクセス

無線LANのアクセスポイントとしても機能するEntertainment PC

○高品位・大型テレビのコストダウンを実現

もうひとつ、Intelが家電業界にアプローチする例として発表されたのが、「Cayley」のコードネームで開発されていた大画面テレビや透過投影型テレビに映像を映し出すマイクロディスプレイと呼ばれる小型チップ向けのLCOS(Liquid Crystal on Silicon)技術である。

LCOS技術で、注目の高品位・大画面テレビ市場に参入

LCOSを用いたチップは180nmプロセスで製造を開始し、その後130nmへと移行する。シリコン技術の進化は、表示品質の向上につながるだけではなく、大幅なコスト削減も実現する。LCOSを用いた製品は今年下半期に登場する予定で、Otellini氏によると、コスト削減が進めば50インチのHDTVが1,800ドル程度まで低下するという。現在、米InFocus、中国のTCLやSkyworth、台湾のPrimax PDCなどが、LCOSモジュールの試作品を使用して製品を開発しているそうだ。基調講演でのデモでは、同技術を使ったモジュールを搭載した大画面テレビが利用されていた。

モバイル分野では、「Florence」と呼ばれるノートPCのコンセプトモデルが披露された。17インチの大きな液晶ディスプレイ、次世代Centrinoと対応チップセットを搭載。キーボードは取り外し可能で、ポインティングデバイスも外してリモコンとして利用できる。テンキー部分はVoIPフォンとして利用可能。移動オフィスやエンターテインメント・センターとして利用できる。

また、「Carbonado」のコードネームで開発されているグラフィックプロセッサも発表された。PDAやスマートフォンなどのモバイル端末をターゲットとしており、VGAの解像度でスムーズな3D描画が可能になる。DellのPDA「Axim」の次世代モデルでの採用が決定しているそうだ。

Florenceと呼ばれるノートPCのリファレンスデザインを手にするOtellini氏

テンキー部分はVoIPモジュールとなっている

○自宅で封切り映画

デジタル家電製品のビジネスチャンスを広げるためには、デジタルコンテンツの楽しみ方を多様化させる必要がある。同社が関わる業界の協業活動の一例として、さまざまなデジタル家電製品で、保護機能付きのエンターテイメント・コンテンツを無線で共有できるようにするDTCP over IP(Digital Transmission Content Protection over IP)が紹介された。

Carbonadoを利用したPDAのリファレンスデザイン

「ドライビング Miss デイジー」や「ショーシャンクの空に」のMorgan Freeman氏がハリウッド代表のゲストとして登場

ゲストとして俳優のMorgan Freeman氏が登場し、映画館の枠を超えた映画の楽しみ方を支持する姿勢を明らかにした。同氏は、2005年に製作を予定している映画で、映画館と同時に家庭でもインターネット配信で封切り映画が楽しめるようにする新スタイルの映画配給に挑戦するそうだ。「映画を最も楽しめる場所は映画館である」という思いに変わりはないが、例えば、ミネソタのように真冬に氷と雪に覆われてしまう場所でも、封切り日に最新の映画が楽しめるようになると述べている。

(Yoichi Yamashita)

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