【レポート】

Macworld 2004が開催

1 軽量・コンパクト、片手で楽々操作できる「iPod mini」

    Yoichi Yamashita  [2004/01/09]

    Macintoshが誕生したのは1984年である。デビュー直前には、米国最大のスポーツイベント「スーパーボウル」で、テレビCM「1984」が流された。MacのTシャツを着た女性が、巨大なスクリーンに映る独裁者に向かってハンマーを投げつけて粉々に打ち壊すという内容は、世界が全体主義性になると予言したジョージ・オーウエルの小説「1984年」を下敷きにしており、一部の専門家ではなく、その他大勢が使えるコンピュータ(Computer for the rest of us)として、Macの誕生を予告している。CMは「ブレードランナー」や「グラディエーター」などで知られるRidley Scott監督が手がけた。

    基調講演で流された伝説的CM「1984」。よく見るとハンマーを持った女性の腰にはiPod

    今年はMac登場から20年目の節目となる。その2004年をAppleはMacworld Conference & Expo in San Franciscoでスタートさせた。

    これまでのMacworld同様、Steve Jobs氏の基調講演が発表されてから、様々な噂が飛び交った。中でも「フラッシュメモリー内蔵の低価格iPod登場か!!」という噂には、心を躍らせた人もいるだろう。ただし、実際の発表が噂通りにならないのも、Jobs氏の基調講演の常である。

    ○圧倒的なシェアを誇るiTunes Music Service

    iTunes Music Shopは、サービス開始以来の楽曲販売数が3,000万曲を突破したそうだ。現時点で、すでに2万9,500ドル分の楽曲を購入している人もいるという。ニールセンが発表したばかりの調査結果によると、iTunes Music Storeはデジタル音楽販売市場のおよそ70%のシェアを占めている。

    iTunes Music Storeの開始と共に飛躍的に伸びているiPodの販売実績

    Appleのデジタル音楽ビジネスの成功は、ジュークボックスソフト「iTunes」、デジタル音楽販売サービス「iTunes Music Store」、デジタル音楽プレーヤー「iPod」による、垂直統合型のビジネスモデルを提供している点にある。それぞれに人気のある製品が連係することで、相乗効果が生み出されている。

    iPodは、昨年の10月~12月期に73万台が販売され、累計で200万台を突破した。iTunes Music StoreがWindowsユーザーに市場を広げたことが、iPod人気をさらに高めているのは明らかだ。だが、好調とはいえ、iTunes Music Storeに対応するデジタル音楽プレーヤーがiPodのみというのは、長い目で見れば不安点である。同サービスが好調なうちに、iPodファミリーを拡充する必要がある。

    iPod miniのターゲットはハイエンドのフラッシュメモリ・プレーヤー市場

    デジタル音楽プレーヤー市場におけるiPodのシェアは31%。残る市場はというと、iPod以外のハードディスク内蔵プレーヤーが7%、フラッシュメモリーを用いたハイエンド製品が31%、そしてローエンド製品が31%となっている。この中でJobs氏が次のターゲットとしたのがハイエンドのフラッシュメモリー・プレーヤー市場である。

    ○抜群の操作感のClick Wheel

    「iPod mini」と名付けられた新iPodファミリー製品は、4GBのハードディスク内蔵プレーヤーである。2.0"×3.6"×0.5"という、名刺よりも一回り大きいぐらいのコンパクトなサイズ。筐体にはアルミニウムを採用、104グラムの軽量化を実現し、シルバー、ゴールド、ピンク、ブルー、グリーンの5色が用意されている。ユーザーインタフェースはiPodと同じだが、タッチホイールと操作ボタンを組み合わせたClick Wheelを搭載し、ホイール部分だけで正確なナビゲーションができるようになっている。

    コネクタはiPodと同じものを使用できる。FireWireとUSB2.0ケーブルが同梱され、USB2.0から充電可能になった

    Apple製品同士を並べるとさらに優れたデザインが際立つ!? 12インチのPowerBook G4とiPod mini

    Jobs氏は、256MBのメモリーを内蔵したフラッシュメモリー・プレーヤー「Rio Cali」と比べて、ストレージ容量、収容可能曲数、本体の厚さで、iPod miniはそれぞれ16倍、16倍、1/2であるとアピール。価格は、Caliの199ドルに対して、iPod miniは249ドル。「50ドルという価格差を大きく上回る満足感を得られる」と述べる。

    Rio CaliとiPod miniの比較

    ただ、価格的に競合するとはいえ、ハイエンドのフラッシュメモリー・プレーヤーと小型ハードディスク内蔵プレーヤーを単純にスペックだけで比較するのは難しいようにも思える。激しい運動をする人ならば、ストレージ容量が少なくても、ハードディスク内蔵のプレーヤーは避けてフラッシュメモリー・プレーヤーを選択するだろう。

    Dockはオプションで別売り(39ドル)となる

    iPod用新アクセサリーとして発表されたインイヤー式ヘッドフォン(39ドル)

    また、RioやCreativeも、それぞれ「NITRUS」(1.5GB、219.99ドル)、「MuVo2」(4GB、299.99ドル)という、ハイエンドのフラッシュメモリー・プレーヤー市場をターゲットにした小型ハードディスク内蔵プレーヤーを発表している。iPod miniを比較するのならば、確立され始めた組み込み式の小型ハードディスク内蔵プレーヤー同士が妥当に思える。そのような中でも"小型で耐久性のあるスタイリッシュなデザイン、iTunes Music Storeが活用できて249ドル"は魅力的に映る。

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