【レポート】

中国市場進出目指す企業を著作権の面から支援するACCS

    大川淳  [2004/01/09]

    コンピュータソフトの著作権保護と、その思想の啓蒙活動を展開しているコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が、2002年10月に「ACCS上海事務所(準備室)」を開設した。中国はいまや、世界経済の台風の目だ。とりわけITの領域では、その重要性が高まるばかりであり、まさに世界の工場、としての役割を担っている。こうした状況のなか、かの地に進出しようという日本企業が増加している。ACCSの対中国施策は、それらの企業を、ソフトウェア著作権の視点から支援しようというものだ。

    ACCSの久保田裕専務理事は、中国での取り組みの背景について「中国市場ではこれまで、日本製のゲームソフト、アニメなどのコンテンツの著作権が侵害されている例が目立った。こうしたなか、日本企業が中国に進出してビジネス展開する上で、日本側も、中国側も著作権に対する認識について、きちんとした道筋をつけておくべきだと考えている。中国で著作権保護の運動をやっていくには、まず相手を良く知らなければならない。人脈やネットワークも必要になる。それで上海に拠点を設置した」と語る。

    中国での活動は「中国の版権局や公安部などの現地政府機関や教育機関と情報を交換、当地の制度を理解する。著作権への意識を高めるためにはまず教育から入っていこうと考え、上海交通大学などとの協力を深め、大学を中心に啓蒙活動をすることを目指す」ことから始めている。

    大学への接近を図っているのは「日本企業のソフトが著作権侵害を受けることを回避することができる。日本が中国で事業展開していくために重要なのは、広義での教育だ。中国では、物事を教えてくれる側に対して、非常に高い敬意を払う。あるソフトメーカーの幹部は、中国に専門学校を設置している。建築、設計を教えて、それをビジネスにもつなげるのが狙いだ。教育から入った方が浸透しやすいのではないか。学校現場での接点は、相互理解を深くする」との視点からだ。

    また、日本、日系企業が、マイクロソフトなどの日本語版のソフトを中国で使用する場合は、ソフトライセンスの管理について、ACCSが対応する。これは「中国にある日系企業のソフト管理を十分にしていないと、思わぬところで危険が生じる。中国の対日感情は悪化している。日本側としては、日本製のソフトの著作権を守るように呼びかけているわけだが、もし、日本企業が違法コピーをして発覚、中国当局に摘発されたとしたら、何だ、日本企業もやっているではないか、といわれてしまう。今後、大塚商会と組んで、ソフトライセンス管理を担っていく。日本のビジネスソフトメーカーにとって、これは重要なことだ。ACCSとしては、中国への進出を考えているソフトメーカーを支援していきたい」という背景がある。

    今回の中国での施策は「著作権保護活動と日本企業の対中ビジネスの支援と、一石二鳥となる。ソフトのビジネスはライセンス管理を十分にしておけばうまくいく、ということを中国側に伝えることもできる」との狙いがある。「文化、イデオロギーの違いを超えて、コラボレートしようという機運が生まれてくる。一般企業の場合、今の厳しい経済情勢もあり、すぐに利益に結びつかないかもしれないことに着手するのは困難だが、ACCSは公益法人であり、中長期的な見通しのもとで活動しやすい。文化を共有することこそが真の安全保障になるはずだ」(久保田氏)。

    12億の人口を抱え、規模が極めて巨大である中国市場では、IT先進国が市場への参入、開拓を虎視眈々と狙っている。ゲーム分野では、ソニー、任天堂が本格的に事業展開していく意向だ。これまでゲームソフト市場では、日本勢が強力な地位を占めていたが、日本のゲーム産業の市場規模は縮小傾向にある。ACCSの活動は、国内ゲーム産業活性化の起爆剤のひとつとしても位置づけられる。

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