【レビュー】

MP3音楽も聴ける小型多機能カメラ「FinePix40i」

1 小型のデジタルカメラの時代

    美崎薫  [2000/06/14]

    MP3音楽も聴ける小型多機能カメラ

     

    ○小型のデジタルカメラの時代

    1995年3月の歴史的な「QV-10」の発売から5年。デジタルカメラは、メガピクセル、200万画素、300万画素と年を経るごとに進化してきた。画素数がアップすることで、カメラとしての性能は向上した。

    梱包品一覧。ケーブル類が多めである。メディアは付属しないので、別途3V対応のスマートメディアを用意する。音楽を聴く場合には、IDつきを選ぶこと

    だが、ここで忘れてはいけないことが1つある。それは、画素の向上によって達成できたのは、カメラとしての性能に過ぎないということである、ということだ。既存の銀塩カメラのようなデジタルカメラが増えすぎてしまったために、デジタルカメラらしいデジタルカメラは少なくなってしまったように思うのである。

    カメラとしての性能が向上すると、QV-10が見せてくれた、「ポケットに入れていつでも持てる」「撮ってすぐ見れる」「いらなければ削除できる」などのコミュニケーションツールとしてのデジタルカメラの能力は、注目されなくなってしまった。「デジタルカメラ」という新しくてわくわくするようなイメージングデバイスとしての完成度と画素数とは、必ずしも関係しないのではないだろうか。

    だが、2000年に入って相次いで登場した、「IXY DIGITAL」や本機「FinePix40i」は、コンパクトで気軽なポケットサイズを実現したことで、もういちどデジタルカメラらしさを再認識させてくれる。

    正面。丸いモールドが施されている
    背面。液晶は1.8型と、やや小振りである


    ○軽いっ! FinePix40iの第一印象

    すでにIXY DIGITALを見た目では、FinePix40iはめちゃくちゃ小さくはない。縦の長さが20ミリほど大きいからである。だが、持ってみた感触はFinePix40iに軍配が上がる。軽いのだ。

    コンパクトなデジタルカメラは、軽量であるに限る。軽いからこそ、どこにでも持っていこう、という気にさせるからだ。この軽さは、小ささと相まって、FinePix40iの大きな魅力となっている。

    従来のFinePixと異なり、十字キーがロータリー式のスイッチに変更された
    ロータリースイッチには指がかかるので、操作しやすい


    外観は、従来のFinePixシリーズの十字キーが、つまみつきのロータリースイッチと左右のキーに分割され、複雑だったモードスイッチが撮影、再生、動画記録の3モードになったことで、非常にすっきりとした。ボタンの数を数えると、2000年3月に発売された「FinePix4700Z」には13あったボタンが、9に減った。ボタンの表記は、メニューなどに日本語表記を取り入れ、取っつきやすくなっている。

    メニューボタンの数は少なく、日本語表記されているのでわかりやすい

    レンズのついている正面側は、大きな丸いモールドが施されている。この丸いモールドは、CDやMDのプレイヤーを思い起こさせるデザインであり、FinePix40iがMP3を再生できる「音楽プレイヤー」でもあることを、主張しているように見える。

    ボディカラーにも、音楽プレイヤー的なバリエーションがある。今回テストした機種は、シルバーのモデルだが、ブルーとピンクのモデルも用意されていて、自由に選べるようになっている。色のバリエーションを選べるのは、コンパクトさで女性に人気となったFinePix1500から引き継いだ特徴であり、非常に好ましい。

    ○単焦点のハニカム432万画素の第2モデル

    カメラの性能としては、FinePix40iは単焦点モデルである、ということが1つの特徴となる。光学3倍ズームを搭載していた現行モデルのFinePix4700Zから、ズーム機能を除いたもの、といえばよいだろう。

    焦点距離は、35mmカメラ換算で36mmと広角に固定してあり、基本的にスナップ写真を撮影することを念頭においた設計である。単焦点は、撮影時にカメラを向けるだけでよいので、使い勝手がよい。初心者を意識した「フレーミング機能」という、液晶ディスプレイに目安となるラインを表示する機能も、デジタルカメラらしい特徴で、FinePix40iのようなターゲットをもつマシンにはベストマッチだ。

    とはいえ、実際に使う上では、常に広角で固定というのは、被写体の周りに不要なものが入ってしまい、意外と使いにくいものだ。そこで、役に立つのが、ハニカム432万画素の高画素を活かしたデジタルズーム機能である。

    メニューによって記録画素数を変更できる。最大でハニカムを活かした2400×1800ピクセルの記録が可能。ただし、640×480や1280×960も、けっこう使いではある

    FinePix40iは、実際のCCDの画素数は240万画素であるが、CCDの形が従来の四角ではなく八角形のハニカム構造をしているために、記録時の画素数は240万を大幅に超える432万画素になっている。ピクセル数でいえば、2400×1800ピクセルという巨大さである。

    そのほかに、1280×960ピクセル、640×480ピクセルの3つの画素モードがあり、1280×960ピクセルの場合には約1.88倍のズーム(35mmカメラ換算で36~68mm)が、640×480ピクセルの場合には約3.75倍のズーム(35mmカメラ換算で36~135mm)が可能なのである。

    デジタルズームは、要するに2400×1800ピクセルのうち、640×480ピクセルの部分をトリミングしてくるようなものであり、2400×1800ピクセルで撮影しているときには、使えない。しかしながら、常に2400×1800ピクセルで撮影するということも、撮影枚数や記録のための反応時間が長くなってしまう、ということから考えにくい。実用的にはデジタルズームはけっこう使えると言えるだろう。

    本格的な光学ズーム機能はあるに越したことはないけれど、軽さの魅力を優先するためにズームをなくすという選択肢もあるのだ。

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