サムスンからGalaxy S21シリーズが発表されました。オンラインで行われた発表会ではカメラ性能を大きくアピールし、ペットも美しく撮影できるポートレートモードや本体搭載のすべてのカメラを同時にプレビューしながら動画の撮れるディレクターズビューなど、カメラの新しい使い方を提唱しています。

  • サムスンから発表されたGalaxy S21シリーズ

しかし性能以上にアピールされていたのが本体のデザインです。Galaxy S21シリーズは今までのスマートフォンにはない背面デザインを採用しました。最近のスマートフォンは高性能なカメラを搭載したことで、カメラモジュールが大きくなっています。iPhoneを見ればわかるように、今やスマートフォンの背面デザインで最も目立つものはカメラになっています。

Galaxy S21シリーズではカメラモジュールを側面のフレームと一体化し、フレームと色を合わせることでシームレスにつながるデザインとしました。カメラモジュール部分の台座の色もピンクゴールドなどを採用。「ファントム」と名付けた新しい背面カラーは、組み合わせによってはとても上品でエレガントな印象を与えてくれます。このカメラ周りのデザインはサムスンの昨年のモデル、Galaxy S20シリーズやGalaxy Note20シリーズとは全く異なるイメージです。

  • カメラ部分のデザインに大きな特徴がある

スマートフォンの背面カメラ周りのデザインは、2019年にAppleが発売したiPhone 11シリーズが各メーカーに大きな影響を与えました。iPhone 11はカメラをあえて目立つデザインとしましたが、3つ(または2つ)のカメラはまるで精密機器の印象を与え、持っているだけで美しい写真が撮れる気持ちにさせてくれます。しかもカメラ周りには余計な数字や文字の印字もなく、目立たせながらもすっきりとした仕上げになっています。

iPhone 12シリーズではMagSafeの採用で純正のケースも多く登場して、質感のいいレザーケースや美しいシリコンケースが提供されています。またクリアケースは単調になりがちな背面にあえてMagSafe対応であることをアピールするような白い円を配置するなど、ただの透明ケースになっていません。

  • MagSafe対応をデザインに取り入れたクリアケース

サムスンもGalaxy S20やGalaxy Note20シリーズの最上位モデル、Galaxy S20 Ultra、Galaxy Note20 Ultraの2機種はAppleに倣えとばかりにカメラ部分を大型化しました。しかしケースをつけずに机の上に置くと安定しないなど、使い勝手はいいとは思えませんでした。また暗色系の本体カラーではカメラ部分は目立たず、ホワイトのボディーでは逆に大きく目立ってしまうなど、カメラモジュール部分をうまくアピールできるデザインではなかったと感じます。

  • Galaxy Note21 Ultra。カメラ部分は目立つものの、特徴的とはいえない

Galaxy S21シリーズではそれらのデザインから一転して明るい本体カラーを採用し、さらにカメラ部分のカラーを複数用意することで「映える」ツートンカラーのデザインとしました。iPhoneが高性能な機械ならGalaxy S21はハンドバックなどのアクセサリ、そんな印象を受けます。Galaxy S21のデザインはAppleとは180度方向性を変え、独自の道を歩もうとしているのです。

純正で提供されるケースを見ても、本体カラーをあえて見せようという意気込みが伺えます。Galaxy S21には透明素材のクリアケースが3種類も用意されます。背面にスタンドの付いた「Clear Standing Cover」、プロテクト効果のある「Clear Protective Cover」そしてベーシックな「Clear Cover」。布系素材やタフなスーツケースのようなデザインケースもありますが、透明ケースもこれだけ出しているのです。iPhoneの透明ケースがケースそのものにもデザインを施しているのに対し、Galaxy S21のケースは本体デザインをそのまま見せるようにしているあたりの対比も興味深いものです。

  • Galaxy S21は透明ケースが3種類登場する

スマートフォンの本体カラーは中国メーカーが次々と新しいものを出しています。一昔前は光りが当たると色の見え具合が変わるグラデーション仕上げが流行りましたが、最近では単色で表情が変わるものや、光沢感を保ちつつも指紋が付かない仕上げも増えています。OPPOの最新モデル「Reno 5」では本体上面とカメラ部分が蛍光処理され、夜間にほんのりと光るデザインとしました。とはいえカメラ周りのデザインはどのメーカーも似通ったものになっており、背面を見るだけではどのメーカーの製品なのか区別がつきにくいのが実情です。

  • OPPO Reno 5は蛍光処理を施している

本体デザインの差別化は各メーカーが最も苦心しているところでしょう。2020年末に発表されたシャオミのMi 11シリーズはカメラを背面と一体化させるデザインとしており、背面イメージを大きく変えました。ファーウェイなどはカメラを背面中央に配置するデザインを採用しています。業界トップのサムスンが新しいデザインを採用したことで、2021年はスマートフォンデザインが大きく変わる年になるでしょう。

  • シャオミのMi 11。カメラ周りのデザインを大きく変えた