「旨くて、安いラーメンが食べたい」。1杯1,000円を超える高級ラーメンも多いが、手軽で・旨くて・さらに安くラーメンが食べられるのなら最高だ。全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター・井手隊長が、旨くて安いアンダー700円のラーメンを紹介する。

今回は、東京・飯田橋の老舗「びぜん亭」だ。

  • 飯田橋の老舗「びぜん亭」


飯田橋駅から徒歩3分。

街の開発で高層ビルが多くなり、少し街の景観が変わってきた飯田橋だが、この店の周りは昔のままだ。

「支那そば びぜん亭」。1976年創業で、今年で45年。老舗の居酒屋のような細長いお店で、一階はカウンターになっている。店主の植田正基さんと奥様の和子さんが笑顔で迎えてくれる。

「支那そば」は650円。一階はご主人と女将さんと会話ができるのが良い。常連さんもたくさんだが、一言のお客さんにもにこやかに話しかけてくれる。この雰囲気が本当に良い。

ラーメンが出てくる前に小さな俵飯と梨が出てくる。日によってもちろんサービスは違うが、こういうのがまた嬉しい。

具はチャーシュー、メンマ、ノリ、ネギ、ほうれん草。麺は細め。醤油がキリッと効いて、油感も程よく、貫録の味わいだ。寸胴の上澄みの油をちょろっと加えるのがポイント。

そして何より、とろけるようなチャーシューが絶品だ。ラーメンスープでじっくりと煮込んだ自慢の味だ。メンマもしっかり手が込んでいて美味しい。

都心でこの価格で長く続けるというのは本当に凄いことである。飯田橋の街と共に歩む「びぜん亭」。なんと「びぜん亭」は海外の映画監督の目にも止まり、ドキュメンタリー映画『COME BACK ANYTIME』が製作された。日本の老舗の良さが海外にも伝わったと思うと嬉しい限りである。

支那そば びぜん亭
東京都千代田区富士見1丁目7−10
03-5276-2339