決まった住所を持たず、日本中を旅しながら生活しているカメラマンの南谷有美(なんや・ゆみ)さん。訪れた地域では人々とどのように交流し、どんな仕事をしてきたのか。それぞれの地域の魅力についても綴っていただきます。

  • 鹿児島県錦江町

今回の舞台は鹿児島県。鹿児島空港から車を走らせること約2時間! 山と海と川に囲まれたのどかな町、錦江町に行ってきました。

錦江町が推進するワーケーション体験

今まで和歌山や福井、宮古島などさまざまなところでワーケーションを行ってきましたが、錦江町は他の場所と一味違いました。私が魅力を感じたのは、"観光"というよりも"日常の生活"という点にフォーカスし、それを体感できるところです。

生活の拠点になる場所は、一軒家のシェアハウス。調理道具や洗濯など、生活するうえで必要なものはほぼ用意されているので、身一つで訪れても問題なく生活をすることができます。

  • シェアハウスから徒歩1分で、このような景色が見渡せます

シェアハウスの周りには、コンビニや道の駅、飲食店などが充実しているので、食に困ることもありません。ヒラマサの刺身や鳥の刺身など、現地の名産を堪能しました。

また、仕事の拠点となる場所も整備されています。今回利用したのは、廃校となった中学校をリノベーションしてできた「お試しサテライトオフィス/コワーキングスペース」です。なんと、無料で利用できます。

  • 私が使用していた、オフィスルーム。1社占有なので、終日貸切でした

このほか、レンタカーの手配や交通費助成(上限3万円)もあるので、初めてワーケーションをするという方でも、安心して利用できそうです。

  • リノベーションされたおしゃれな教室。Wi-Fi環境も抜群でした

仕事の合間には絶景やアクティビティに癒やされる

観光地として有名ではないかもしれない錦江町ですが、訪れてみると、仕事のリフレッシュとなりそうな見どころがたくさんありました。

まず紹介したいのは、山と川と海が交差する町の立地が織りなす絶景の数々です。

神川大滝公園

森林浴に最適な自然公園です。この自然公園の中には、その名の通り高さ25m・幅30mの神川大滝があり、見応え抜群! 川のせせらぎの中で、穏やかな時間を過ごすことができます。

  • 大迫力の「神川大滝」

  • 小滝では虹も見えました

花瀬公園

古代から多くのお殿様に愛されてきた場所だそうです。公園内には、花瀬川という川が流れているのですが、川床が石畳を敷いたようになっており、壮大で美しい景観が広がっています。

  • レトロな赤い橋もかわいいです

神川海岸

実は、美しい夕日が見られることで有名な錦江町。夕暮れ時には、たくさんの人が海岸を訪れます。

  • この日は優しい夕暮れ。日によって、空の色も異なりました

海岸を訪れる人のもう一つの目的は、影絵。役所の職員さんたちが手作りしているという影絵のオブジェが海に沿って横一列に設置されています。驚きのクオリティーですよね。

  • 影絵は定期的に入れ替えを行っているようで、私の滞在中にも突然この影絵が増えていました

  • サザエさんのお家があったので、みんなで再現してみました

奥花瀬ニジマス釣場

豊かな自然林と渓流に囲まれた避暑地となっていて、夏はより気持ちよく過ごせるかもしれません。貸し竿とエサが用意されているので、気軽に渓流釣りを楽しむことができます。

  • 大自然の中で、釣りが楽しめます

  • 釣れました!

釣り経験のない私でも、3匹のニジマスを釣ることができました。大自然の恵みに感謝しながら、楽しむことができました。

錦江町でワーケーションをしてみた感想

錦江町には1週間滞在しましたが、とても快適に過ごすことができました。空港から遠いので車の運転が大変でしたが、それ以外の所で特に不便だと感じた点はありませんでした。

自然が豊かで、食べ物もおいしく、人々が優しい錦江町。私にとって、また訪れたい場所となりました。

そして町の人たちの地域を盛り上げたいという思いも強く感じる滞在となりました。

例えば、ある日曜日に行われていたのは、2020年オープン予定のゲストハウスの広告用写真撮影。海岸にたくさんの人が集まっていました。

  • 海岸に人々が集結

  • 赤ちゃんからお年寄りまで様々な年代の人たちが集っていました

  • ゲストハウスの運営を企画した未来づくり専門員の井上さん(左)と山中さん(右)

ゲストハウスのオープン・運営は、地域おこし協力隊(町では未来づくり専門員と呼んでいる)の方々が「人と人がつながる場所を作りたい」と立ち上げたプロジェクトだそう。宮城県などでのゲストハウス運営経験を持つ、NPO法人CloudJAPAN代表理事の田中さんとともに、空き家となった商店をリノベーションして着々と準備を進めています。

  • レトロな造りがかわいい、旧浜園商店。製粉などのさまざまな事業を行っていたそうです

建物の中に足を踏み入れると、そこには想像力が掻き立てられるような、素敵な空間が広がっていました。

  • ここが入り口です。暖炉があります

  • 広い空間。どのような間取りになるのだろう

現在クラウドファンディングにも挑戦されており、進行状況も随時更新されています。是非チェックしてみてくださいね。

南谷有美(なんや・ゆみ)

カメラマン/ライター
2018年4月に認可外保育園の園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活しています。