イーロン・マスクが、Twitterに通話やメッセージの暗号化機能を近く導入予定、と発表したそうだ。

だがそういわれても、現在のTwitterは「フォローしているアカウントのつぶやきすらまともに表示されていない」状態であり、車で言えばハンドルやタイヤを取り外しにかかる段階にきている。

今更「ワイパーを三本にします」と言われても無痛なぐらいユーザーも麻痺してきているのだ。

さすがに最近のTwitterは目に余ると感じているユーザーも多いと思うが、だからといってこれだというような次のSNSも見つかっていない。小ギレイな新規SNSなら山ほどあるが、それがTwitterのように薄汚れていってくれるかは全くの未知数である。

美しい池ならいくらでも人為的に作れるが「人工肥溜め」を作るのは意外と難しいようで、やはり15年以上つぎ足しつぎ足し熟成してきたTwitterという秘伝の肥溜めの代わりになるような場所はすぐに見つからないのである。

よって我々はTwitterから降りることができず、タイヤとハンドルがない車を何とか発進させようとアクセルを踏み続けているかわいそうな人になりつつあり、そこから脱しようと思ったら課金をするしかないというのが現状だ。

世界広しといえども、タイヤやハンドルをオプション扱いしてくる企業は他になく、ますます追随が難しくなってきている。

そんなわけで、大して好きでもない上に甲斐性もなく、最近ハゲだした彼氏と別れたいが、よく見たら自分もハゲているため別れられない女のように、何をされてもTwitterから離れる踏んぎりがつかない状態である。

もはや映画タイタニックの音楽隊のようにTwitterと共に沈む覚悟すらできていた、ただし我々が奏でるのは楽器ではなく歯ぎしりと貧乏ゆすりである。

この不快音を聞くことで、まだハゲ散らかってない皆様が「一刻も早くここから脱出しなければ」と思っていただければ幸いだ。

Twitterにいまさら通話機能、あったら意外と使うかも……?

  • 決まった相手がいなくても「つぶやく」のに支障はないのがTwitterの良さですね

よって今更いらない機能をつけますと言われても我が心は不動なのだが、私も最初いらないと思っていたボイスチャット機能「スペース」を意外と使っているため、Twitterで通話ができるようになったら使わないとも限らない。

Twitterの通話がどんなものになるかというと、おそらく「LINEの通話」「Discord」で大体説明が済んでしまうのではないかと思われる。

一時期Twitterの新機能が全て「インスタのアレ」で説明がついてしまっていたが、今の戦国Twitterに比べれば「あの時は平和だった」と言える。

通話ならスペースでもできるのだが、スペースは世界一陰湿なSNSの機能なくせに「閉じられた場所で限られた人間とコソコソ話なんて陰湿なことをするな」というコンセプトであり、会話する人間をホストが制限することはできるが、「聞く」ことに関してはほぼ誰でも自由にできる状態にある。

もしスペースで内緒話をしようと思ったら入ってきたリスナーをかたっぱしからブロックで撃ち落とすというインベーダーゲームをしなければならず、それでも「ログインせずに参加」という裏技を使われたらお手上げだ。

対してこれから実装される通話は、電話のように一対一、またはDiscordのように参加者を制限できる機能になると思われる。

普通の電話代わり、またはスペースで話すにはナイフみたいに尖りすぎた話題や「第一回尻太鼓サバイバルダンス選手権」など、内輪すぎて世界に発信すべきでない音声を出すとき、通話機能が重宝するのではないかと思われる。

ただ、クローズドになることにより、悪口合戦やヘイトスピーチの温床になる恐れはある。またボイスチャットの先駆けであるクラブハウスがブーム終焉後、怪しいネットワークビジネスやスピリチュアルのセミナー会場になったという噂もあるため、Twitterでも通話による詐欺行為が横行するのでは、という危惧もあるようだ。

しかしTwitterはオープンワールドで闇バイト募集やお野菜手押し情報が流れてくる世界観なため、むしろ通話機能でこっそりやろうとするだけマシな可能性すらある。

だが、イーロンも思いつきでやっているように見えて、ユーザーが完全にTwitterに囲い込まれ逃げられなくなったところで一気に課金圧をかける、という思いついてもなかなかやらないエゲつない行為を容易くやっているのだ。

今回も単に他のツールがやっていることのパクリではなく、自身の別事業である衛星通信「スターリンク」とTwitterを使ってキャリア契約なしの通話実現を目論んでいるのではないかとも言われている。

民度は低いがTwitterのユーザー数はそれなりに膨大である。それらのユーザーを別事業にも取り込むことができれば一気にシェアを伸ばすことができる。

通話を実装することにより、私も閉じられた場で担当とのガチ軋轢など表では言えないことを言えるというメリットはある。しかし、まず「個別通話するぐらい親しい仲の人間やコミュニティを作らなければいけない」というハードルがある。

対してスペースは「俺は勝手に喋るし、お前らも勝手に聞け」といって、虚空にずっと話かけている人を、人々がちょっと距離を置いて見ている、現実の電車内などでもたまにお見掛けするスタイルの再現が可能である。

私が何故こんなに長くTwitterを続けられたかというと「コミュニケーションツールなのにコミュニケーションを拒絶できる」という点が大きい。

もしポストTwitterを狙うSNSを作ろうという人がいるなら、まず「コミュニケーション」という機能を取り外し自由にするところから初めてほしい。