「ハチの子」入り玉子焼き

2019年現在、世界の人口は75億人を超えている。国連の世界人口予測によると、2055年には100億人を突破するとまで言われているという。そのような状況の中、世界中で危惧されているもののひとつが食糧不足だ。

そして、2013年には、国連食糧農業機関(FAO)がとある報告書を公表。その内容とは、「世界の食糧危機の解決に昆虫類の活用を推奨する」というものであった。しかし、ここ日本では、昆虫はいまだ“ゲテモノ”扱いされているのが現状である。そこで本連載では、昆虫食の新たな可能性を探るべく、昆虫を用いた「未来のお弁当」づくりに挑戦する。

メニューの監修を手がけるのは、昆虫料理研究会の代表を務める内山昭一氏。高タンパクな食材としても注目されている昆虫をさまざまなアプローチで調理し、2種類のお弁当を提案していただく。1つ目のお弁当に続き、現在はもう1パターンのメニューを提案中。今回ご紹介するのは「ハチの子入り玉子焼き」。

• 「ハチの子」には豊富な栄養素がギュッと詰まっている

玉子焼きをハチの子でアップグレード!

まずは材料の紹介から。

材料
・ハチの子の甘露煮…20g
・卵…2個
・だし醤油…小さじ1杯
・砂糖…小さじ1杯
・サラダ油…適量

「ハチの子の甘露煮」は、前回ご紹介したイナゴの佃煮と同様に市販されているものなので、手に入れるのは比較的簡単だと言えるだろう。今回のメニューでもハチの子の甘露煮は少量しか使用しないため既製品を使用してもいいが、目安としてある程度の量の「ハチの子の甘露煮」のレシピも以下に紹介しておこう。

材料(ハチの子の甘露煮)
・ハチの子(クロスズメバチの幼虫)…50g
・砂糖…大さじ3杯
・醤油…大さじ2杯
・酒…大さじ2杯
・みりん…大さじ2杯
・水…適量

初めに、鍋にハチの子と砂糖、醤油、酒、みりんを入れ、水をひたひたになる程度に注ぐ。焦げないように箸でかき混ぜながら、弱火で煮汁がなくなるまで煮つければハチの子の甘露煮は出来上がり。

• ハチの子の甘露煮は単品でも十分おいしいが、今回はここからもうひとアレンジを加える

次に、ボウルに卵を割り入れ、だし醤油と砂糖、ハチの子の甘露煮を混ぜ合わせる。これ以降は通常の玉子焼きをつくる手順と同じだ。

• 卵とだし醤油、砂糖、ハチの子の甘露煮を混ぜ合わせる

フライパンにサラダ油を入れ、キッチンペーパーで全体に馴染ませて中火で熱する。フライパンがしっかり温まったら、卵液を1/3ほど流し入れる。全体が半熟になったら、奥から手前へ卵を寄せながら形を整えよう。

• 油をひいて温めたフライパンに卵液を1/3ほど流し入れ、全体が半熟になるまで熱する

寄せた卵を奥に滑らせ、キッチンペーパーで油をひきなおす。手前側のスペースに先ほどと同程度の量の卵液を流し入れ、半熟になるまで熱する。これをもう一度繰り返せば、「ハチの子入り玉子焼き」の完成。

• 卵の形を整えながら残りの卵液も追加していく

• ハチの子の分量もちょうどいい具合だ

玉子焼きの柔らかな甘みにハチの子のコクが加わり、う巻きを連想させるような高級感すら漂う味わいに仕上がっている同メニュー。ハチの子は食感もそこまで主張が強くないため、食べやすさでいえば本連載で紹介したメニューの中では一番かもしれない。

• 次回、「昆虫弁当」はついにラストを迎える

次回は「コオロギ・カイコ卵・カマキリベビーの手まり寿司3種」を紹介する。