あなたは、家出をしたことはあるだろうか? 学校に行くのが嫌で、家で母親に怒られて……『家出』が頭をよぎった人、もしくは夜遅くまで家に帰らず親が探しに来たという人もいるかもしれない。そのように、『家出』と聞いて多くの人が幼い頃に記憶を遡らせたことだろう。しかし今、働き盛りの20~30代の『オトナ家出』が増加している。調査実績44年の老舗で人探しに定評のある「原一探偵事務所」の探偵に『身の回りの人が家出してしまったときにどうしたらいいのか』を聞いてみた。

『オトナ家出』はいつ遭遇してもおかしくない

職場で、ある日急に出社しなくなった人を見かけたことはないだろうか? そのまま退社してしまったという人はいないだろうか? きっと、誰もが少なからず遭遇したことがあるはず。厚生労働省の調査によると、年々、仕事のストレスによって精神疾患を患ってしまった人の割合は増加しており、それらが原因で家出に繋がってしまうというケースも多い。 会社の同僚、後輩、もしくは兄弟や子ども、友人……現代人の誰もが『オトナ家出』に陥ってしまう危険性を持っているのだ。いざ、身の回りの人が『オトナ家出』をしてしまったとき、私たちはどうしたらいいのだろうか?

いなくなった! ……まず、すべきは

まず、すべきなのは迅速に「警察・探偵」に連絡すること。前回の記事でも書いたように、家出調査は自殺の危険性が伴うため、一刻を争う。探偵によると「前にも一度、2~3日帰ってこなかったことがあったから大丈夫だと思ったけど、もう1週間も帰ってこない」という相談も多いという。以前にも家出をするほど悩んでいたのであれば、時間が経ってより思い悩んだ今回は、自ら命を絶つ……と考えている可能性も捨てきれない。とにかく迅速な対応が重要なのだ。

また、「警察に相談すれば何とかしてくれるはず」と考えている人も多いかもしれないが、大前提として警察は『人探し』の機関ではない。何らかの事件性がなければ積極的な捜査はできないのだ。届出をしておけば、どこかで職務質問をしたときにたまたま見つかって連絡が入ることもある……という程度と考えておいた方が無難。

それもあって、今は探偵への人探し依頼が増加しているのである。必ず帰ってくるという自信がある場合は別だが、なかなかそのような確証は得られないので、『オトナ家出』に遭遇した際は、速やかに探偵に相談してみることをオススメしたい。

いなくなっても、連絡は続ける

家出失踪人がいなくなって、思い当たる行きそうな場所を捜してみるというのも大事だが、探すのはプロの探偵に任せ、それよりも「マメに連絡してほしい」と探偵は話す。

「お金も携帯も持たずに失踪した場合、早いうちに命を絶つことを考えている家出失踪人が多いのですが、逆に携帯を持って失踪した人は、心のどこかで『帰りたい』と思っている方がほとんどです。ですので、身近な方々には連絡が返ってこなくても、メールなどでマメに連絡を送るようにしてほしいですね」

また、依頼者や周囲の人たちも気が動転し、「こんなに会社を休んでどういうつもり!?」「生活はどうするの!?」など、家出失踪人を責め立てるようなメールをしてしまう人も多いそう。探偵は「これは絶対にやめてほしい」と語尾を強める。

「後ろ髪を引かれて、携帯を所持しながら家出をされた方は、届いたメールをチェックしている場合も多いです。帰ろうかどうしようか迷っているときに自分を責めるようなメッセージが届いたときには、帰る気が失せ、気持ちが沈んで命を絶つ決断を選んでしまう恐れもあります。ですので、優しい言葉がけを心がけるようにしてください」

家出しそうな人がいたら……

探偵は、今は『人間が見えない時代になっている』と話す。「お子さんが家出をして、ご両親と一緒に一人暮らしの自宅に入ったとき、『実家にいるときはすごくキレイ好きだったのに、こんなに部屋が散らかっているなんて信じられない』と驚きの声を口にする方も多いです。親に見せている顔、会社に見せている顔、友人に見せている顔、はたまたゲームやSNSなどオンラインで見せている顔、それぞれが違うということはよくあります。今は身近な人でも『人間が見えない時代になっている』ように感じますね」

「まさか家出するなんて……」と驚くことがあるかもしれないが、コミュニティが多様化している現代では、誰がどんな闇を抱えているかはわかりにくい。ただ、『オトナ家出』に踏み切ってしまう人の多くが、友人が少なく内向的であり、本音や不満を吐き出せる場所のない人がほとんど。だからこそ、職場で落ち込んでいる人がいたら「大丈夫?」と声がけをしてあげてほしい。あなたの何気ない声がけが、彼らを救う光になるかもしれない。

原一探偵事務所

調査実績44年の探偵事務所。埼玉県・川越の本社のほか、全国主要都市に18拠点を構える。創業以来、"証拠のとれる調査会社"をモットーにし、長いキャリアを持つ調査員が大勢所属していることに加え、常に独自の調査方法の研究・開発を行い、同時にハイテク機器の導入や応用開発にも積極的に取り組むことで、満足度の高い調査を実現している。