三大疾病や女性特有の病気を手厚く保障、はたまた高度な先進医療など、医療保険の種類が多すぎてよくわからない……と思う人もいるかもしれませんが、これは主契約となる医療保険にさまざまなオプション(特約)をつけて保障の幅を広げているのです。今回は、そのオプションについて紹介します。

特約=トッピングとイメージしよう

主契約と特約の関係は、自分好みに注文するカレーやラーメンをイメージするとわかりやすいかもしれません。主契約はベースとなる保障で、特約は保障に対するトッピングのようなもの。カレーやラーメンも、ベースとなる食品に1つでも2つでも好みでトッピングをしていきますね。

  • 特約=トッピングとイメージしよう

    特約=トッピングとイメージしよう

保険でいえば、トッピングがなくてもベースとなる主契約で、病気やケガで入院した場合や治療をした場合の保障をカバーできます。そして、個人の必要性に応じてさまざまなチョイスのなかから特約を選んで付加します。正しく選ぶためにも各特約の特徴を知っておきましょう。

●最近注目を集めている「先進医療特約」

「先進医療特約」を付加することで、公的医療保険の対象とならない先進医療にかかる費用を規定の範囲内で保障してくれます。

先進医療とは厚生労働大臣が認める高度な医療技術で、2018年6月1日現在92種類あります。たとえばがん治療などで有効とされる「重粒子線治療」や「陽子線治療」などがあります。

医療技術は日々研究・開発されており、最新の医学・技術を受けられれば安心ですが、健康保険が使えないため全額自己負担になるのに加え、治療法によっては数百万円かかるものもあるため、経済的な不安は否めません。もしもの時には最新医療技術を受けたいけれど、お金のことが心配という人は付加を検討したほうがいいでしょう。一般的にこの特約料は100円~200円程度ですから、毎月缶コーヒーを1本ずつ減らすことで対応できそうですね。

●高額な医療費をカバーする「三大疾病一時金特約」

「三大疾病一時金特約」とは、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の三大疾病になったときに一時金が支払われる特約です。

これらの疾病は治療が長期化したりお金がかかるのが一般的ですから、一時金をもらうことで安心して治療に取り組めるでしょう。これらの病気は家系や生活習慣などが影響するといわれています。家族のなかにこれらの病歴がある人や、アルコール、喫煙、過労、ストレスなどによる生活習慣病リスクの高い人は付加しておくと安心ですね。

●病気で働けなくなる場合に備えるなら「就業不能特約」

「就業不能特約」を付けることで、保険会社が規定する疾病で働けない状態になったときに給付金が支払われます。

ある保険会社では1回あたりの給付金額が100万円ですから当面の生活費として利用できますね。少なくとも生活費の4か月分程度の貯金がない人や、奨学金や自動車ローンなど返済中という人は付加を検討しておきたいものです。ただし、年間の支払い回数に限度がある場合がほとんどですから、加入前にしっかり確認しておきましょう。


お腹が空いている時にはカレーにトンカツ、チーズ、コーンなどと色々トッピングしたくなるように、保険に入るぞと意気込む時はいろいろ充実させたくなるものです。しかし特約は付ければ付けるほど保険料も上がりますし、不必要につける必要はありません。各特約の特徴を知り、自分の必要性にあったものを選ぶようにしてくださいね。

筆者プロフィール:續 恵美子

エフピーウーマン認定ライターファイナンシャルプランナー。生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。