2019年7月11日午前10時6分。小惑星探査機はやぶさ2が、小惑星リュウグウへの2回目のタッチダウンに成功しました。管制室がリアルタイム中継され、日本中でパブリックビューイングも行われました。今回は難度が高いため「1回成功したんだから、無理せず地球に帰ろうよ by 國中均 教授(JAXA宇宙科学研究所所長・前のはやぶさ2の責任者・はやぶさ2イオンエンジン開発者)」という声もある中、慎重に準備と検討を重ねての成功は、胸アツでございますな。

で、これからどうするの? ということも入れつつ、ちょいと書いてみましたよ。

2019年夏。太陽を見上げると、まぶしい! じゃなくて、そんな太陽の西(南に向かって右)、はるか2億4000万kmの彼方に、日本が開発した小惑星探査機はやぶさ2が活動しています。宇宙というと「夜」というイメージがありますが、探査機の太陽電池パネルと高速通信用のアンテナは、太陽の方向を向いているので、地球 - 太陽 - 探査機となる方が通信などの運用がしやすいのですな。正確な位置関係は、NASAのWebサイトが便利です(小惑星RyuguとEarth の位置関係でみてくださいませ)。

さて、そのはやぶさ2がやってくれました。7月11日の午前10時6分。小惑星リュウグウにタッチダウン(着陸&離陸)に成功! リュウグウ表面に接触し、小型の弾丸を発射し、飛び散った破片の採集に成功した模様です。はやぶさ2のWebサイトには、タッチダウンの瞬間を撮影した画像がすぐさま公開されています。イヤー、臨場感がスゴイぜ!

ちなみに、これを撮影したカメラのうちクローズアップ担当の「CAM-H」は、私の寄付(ごく一部。大勢の人が同じように寄付しました)によって制作されたものです。ちなみにプラネタリウム番組「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」の配給売り上げの一部もこちらに入っているようなので、ご覧になった方も寄付に寄与していることになりますなー。

  • はやぶさ2
  • はやぶさ2
  • はやぶさ2
  • CAM-Hで取得したタッチダウン画像。左から、タッチダウン4秒前、タッチダウン、タッチダウン4秒後 (C)ISAS/JAXA

このはやぶさ2の2回目のタッチダウンの様子は、マイナビニュースでも大塚さんが、きっちりバッチリ「魂のレポート」を書かれていますので、ぜひご参照を(ってか、便利だわ)。

はやぶさ2はこれからどうなる?

さて、はやぶさ2ですが、これからどうするのかということでございます。Q&A形式で書きます。ただしAは、東明の調べたことで、間違ってたら東明が悪いのです。頑張って調べましたけどね。

Q:2回サンプル採集やってよかったの?

A:まず「やってよかった!」のは間違いないです。今回(2回目)のタッチダウンは、「内部の」物質を表面に露出させて、採集したのですな。地球でも地面の表面と、その下3mでは全然違うことは普通なわけで、しっかり天体を理解するには必要だったのです。しかも、その表面も、1回目の着陸地点とは様相が違っていたんですね。日本とアメリカで違うみたいなことがたった900mの小惑星でもわかっただけでもすごいことです。

Q:2回目も成功したからいいものの、探査機壊して「全損」の可能性はあったのでは?

A:ありました。そうなったらせっかく採集したサンプルが地球に届きません。サンプルは、地球に持ち帰って初めて色々なことがわかるわけで、全損したらえらいことでした。しかも1回は成功しているのがほぼ間違いないので「ダブルレイズ」みたいなことはあったわけですね。ただ「賭け」「ギャンブル」ではなく、確実に行えるように、慎重にあらゆる意地悪な想定をして、それの解決策を立て、リハーサルも行いながらのチャレンジでした。

Q:小惑星リュウグウに3回目のタッチダウンはしないの?

A:しない予定です。実は元々は3回が予定されていましたし、装置としては可能でした。が、到着してみたら小惑星リュウグウが想定よりも着陸しにくい、岩だらけの天体だったために、タッチダウンの計画策定の検討に時間がかかり、3回やる時間的な余裕がなくなったのでございます。実は2回目すらキャンセルという話があったくらいだったので、2回やれたのは大したものなのですな。

Q:すぐ帰るの?

A:実は帰るタイミングとしては、まだ早いのです。はやぶさ2は、小惑星リュウグウと一緒に太陽を公転していて、現在2億4000万kmの彼方にいます。2020年の12月に地球に接近するので、そこが帰還の時期に設定されています。そして、そこにうまく合わせるように、リュウグウから離れます。そのためにはまる1年前の2019年11〜12月がタイミングとしては良いです。

Q:リュウグウから離れるまで何をやるの?

A:搭載されている観測機器でリモートセンシングをします。データを取れるだけ取るという感じですね。後、小型探査機のMINERVA-II2を分離して運用することが予定されていますが、2018年に機器がまともに作動しないというニュースがあり、この運用はやらない可能性大ですが、リュウグウへの投下そのものは残ってるターゲットマーカー3個も併せてやってみたい、ということらしいです。実際にやるのであれば、小惑星に接近するのでリスクがありますし、機器が機能しないのでは引き合いませんから、実際に運用するほどの高さまでは降下しないで、地面に落ちて跳ねて飛んでいかないくらいの高さから、というイメージになるらしいです。

Q:2020年12月に地球に帰還したらはやぶさ2は、燃え尽きるの?

A:燃え尽きません。はやぶさ2からはサンプルが入った帰還カプセルが分離し、地球に届きます。本体は地球から離脱する軌道にのり、地球の近くで待機軌道に入る予定です。その後の運用については様々なプランが出ていますがまだ決まっていないようです(中では決まっているかもしれませんけど、私は知らないのでございます)。ともあれ「さらに何かできる」のであれば、それも面白いですね。

ということで、これからもはやぶさ2はワクワクが止まらないのでございます。

  • はやぶさ2

    2回目のタッチダウンの成功を祝う「大成功」はちゃんと成功を確認したあとに大慌てで作ったそうでございます

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。