誰もが手軽に始められる、ホームIoTプラットフォームとしての「au HOME」。au HOMEは、対応する家電をスマートフォンから操作できる。家庭で使われるIoTというと、どうしても監視カメラなどのセキュリティが主なものになってしまうが、それをもっと身近なものにしようというチャレンジだ。

  • au HOME

Google HomeやAlexaと連携

2017年夏からサービスを開始したau HOME。今回、Google Homeとの連携を強化し、au HOMEアプリに対して声によるメッセージ送信が可能になった。さらにAmazon Alexaへの対応も始まる。この夏は、「スマートスピーカーとの連携強化」、「センサー情報から家電を自動で操作」、「デザイン性の高いデバイスの拡充」という3本の柱で展開していくという。

au HOMEは、その仕組み上、スマートスピーカーとの連携は、「OK Google」や「Alexa」といったウェイクキーワードを発声したあとに、スマートスピーカーの制御がau HOMEに移行した上で、各種のコマンドを与える必要がある。

auは、子どもが一人で留守番中に、お父さんに音声でメッセージを送り、それに応答したお父さんが、親子でビデオ通話する事例を紹介する。

ところが、そのトリガーとなるのは子どもによる「OK Google、au HOMEにつないで」だ。Alexaの場合も同様となる。au HOMEにつながったあとは、GoogleアシスタントやAlexaの存在をほとんど意識せずにau HOMEを使えるのだが、最終的にはその接続を切る必要もある。

  • au HOMEのアップデートでは、スマートスピーカーとの連携機能が追加された

スマートスピーカーが煩雑にみえる

スマートスピーカーを使ってテレビや部屋の灯り、エアコンといった家庭電化製品をコントロールできるというのは夢のある世界でもあり、現実の部屋にみたてた展示スペースを持つ量販店などのデモンストレーションで天井の灯りをつけると、多くの客は「おーっ」と感心するらしい。それは目の前の丸いデモ用の灯りが点灯するのとは、ちょっと違った感動を呼ぶようだ。だが、そこまでの煩雑なやりとりを知るとちょっと躊躇するともいう。

こうした問題を解決するには、au HOME専用のスマートスピーカーを用意するしかないのか。ただ、auでは現時点で、専用スマートスピーカーを提供する予定はないとしている。

その一方で、各種のデバイスを提供し、「いつもの暮らし、ちょっと便利に」を合い言葉に、スマートフォンを使った家庭内IoTについては、他のサービスとは一線を画して充実しているようにもみえる。

  • au HOMEのラインナップに追加されるモーションセンサーやドア開閉センサー、スマートプラグ、ネットワークカメラ

au HOMEは現代の電話交換手

結局のところ、スマートフォンで完結していた世界観に対して、別のインターフェースとしてのスマートスピーカーが出てきたことで、話がややこしくなってしまっている。だが、対応しなければトレンドには追いつけないというのがジレンマだ。

人がテレビをつけたいときに、au HOMEサービスにまず接続するというのは、古き時代の電話交換手の世界を思い起こさせる。昔の電話機にはダイヤルというものがついていなかった。受話器を上げると電話局側で待機する交換手(多くは女性)が出て、彼女にかけたい相手の電話番号を告げるとそこにつないでくれるのだ。

今のau HOMEのスマートスピーカー連携は、それに近いものがある。そこを何とかする方法を早く見つけてほしいものだ。au HOMEにつないだら、ずっとつなぎっぱなしにしておくということも考えにくいそうなので、このインターフェースには、やはりなんらかの工夫が求められそうだ。そこを突破できれば、大きなステップアップにつながるにちがいない。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)