エンタメライターのスナイパー小林が、テレビドラマでキラッと光る“脇役=バイプレイヤー”にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第17回は俳優の永山絢斗さんについて書いていきます。現在ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)に出演中の永山さん。相応には見えないのですが、もう彼も30歳を間近に控えているんですね。でもどうにも年上女性たちが永山さんに熱視線を送ってしまう。それは一体なぜなのか。私史上初、と言っても過言ではないほど永山さんのことだけを必死に考えてみました。

どこか残念なエリート商社マンに全国の女性から送られる熱きエール

永山絢斗

春見順子(深田恭子)は東大入試、就活という人生の関門を突破できずに生きてきた塾講師。そんな時に出会ったのがおバカ高校に通う由利匡平(横浜流星)。彼は親へのコンプレックス、反発心から東大受験を決意。順子はその気持ちを請け負って、講師を担当することに……。

というのが、ドラマ『はじこい(初めて恋をした日に読む話、略)』のあらすじ。物語で東大卒エリートの商社マン・八雲雅志を演じているのが永山さんだ。従兄弟という関係性に邪魔をされているのか、20年間順子に片思いしていても全く気づいてもらえない雅志。 順子の前では必要以上にクールを装って、常にダダ滑り。でも電話でデートの約束までこぎつけると

「やった……やった! ここまで来るのに……どれだけ時間がかかったか……!!」

と涙ぐむ。そんな健気な姿に全国の女性視聴者が雅志にエールを送る。こういう男は可愛いうえに、たいへんお買い得であることをそこそこ人生経験のある女性ならば知っている。そして永山さんは雅志のような絶妙に残念な男の機微を表現するのがお見事だ。これについては彼の魅力について語るうえの後編にて。まずは、彼の思いが果たして順子へ届く日は訪れるのか? を固唾を呑んで見守りたい。

ゆるっとした雰囲気が年上女性ファン層を拡大化

永山さんの魅力について探っていくと、着地するのは圧倒的な"末っ子甘えん坊気質"。雑誌のインタビューや、番宣で出演しているバラエティー番組で見かける姿がゆるっとしていていい。あのキリッとした眉毛と強い視線とは裏腹に、ゆっくりした話し方や柔和な雰囲気はつい目が止まる。もうじき三十路を迎える男性に対しての形容詞にはふさわしくないのかもしれないけれど、可愛いなと思ってしまう。

その思いを証明するのが、彼のこれまで噂になった恋愛遍歴だ。知る限りでは全員年上で、割と大物の表現者が多い。それだけ彼には年上の女性を夢中にさせる一貫した魅力があるのだと推測。もうそういう関係性や、マインドは大歓迎だ。女性が優位に働く平成終了の間近、需要と供給があっているし、そういう魅力を噴射している永山さんは素晴らしい。『はじこい』の役にエールが送られてくるのは、この魅力も関連しているだろうと思わせる。女性は男性の可愛さを嗅ぎつけるのが得意だからね。

その他、永山さんらしさがふんだんに表現されていたと思うのが『居酒屋ふじ』(テレビ東京・2017年)の西尾栄一役だ。売れない俳優が中目黒の居酒屋でクダを巻きながら、客同士のコミュニティに支えられて一歩踏み出していく物語。ちょっと情けない感じが役柄にはまっていて、深夜ドラマにちょうどいいゆるさを醸し出していた。あれ続編が観たい。そんな永山さんが今後どんな役に浸透して、どんな女性を魅了していくのか楽しみだ。

そしてラストに個人的に言わせて欲しい。数年前に彼の写真集を制作する話が持ち上がったのに、なんだかんだでモヤッと立ち消えになってしまったことがある。今さらながらたいへん後悔しているので、また機会があったら演技とは違う魅力をディレクションさせていただきたい。きっとファンも待っているはず! ということで待て、火曜日の放送!!

スナイパー小林

ライター。取材モノから脚本まで書くことなら何でも好きで、ついでに編集者。出版社2社(ぶんか社、講談社『TOKYO★1週間』)を経て現在はフリーランス。"ドラマヲタ"が高じてエンタメコラムを各所で更新しながら年間10冊くらい単行本も制作。静岡県浜松市出身。正々堂々の独身。