「送っていただいたメールが文字化けで読めません」と連絡を受けた経験はありますか? その原因はさまざまですが、ちょっとした気遣いで"文字化けメール"は防げます。今回は、macOS標準装備のメールアプリ「メール」を対象に、文字化けメールが発生する原因と発生させないための設定術を紹介します。

メールで文字化けが発生する原因

いわゆる「文字化け」は、本来あるべき文字列として表示されていない状態をいいます。日本語で書いたメールが相手に届いたときには意味不明な文字のら列になっていた、文章の一部だけ文脈にあわない奇妙な記号で表示されていた、など症状はさまざまです。

文字化けが発生する原因は、多くの場合「文字コードの相違」です。たとえば、こちらからは文字コードをUTF-8で送信したが相手のメールアプリでは他の文字コード(たとえばシフトJIS)と認識された場合には、全体的に文字化けします。文字コードの認識に問題がない場合でも、本文中に機種依存文字 -- (株)や(月)を1文字にした省略記号など -- が含まれる場合には、その部分が化けて表示されることもあります。

メールの送受信に関するルールは、インターネット標準の技術仕様を定めた文書群「RFC(Request for Comments)」で定義されており、メールを送受信するアプリ(メールクライアント)はRFCに沿った動作が期待されています。しかし、メールアプリによってはRFCに忠実でなかったり、不具合により本来使うべきでない文字コードで送信したりといったこともあります。

メールアプリは数え切れないほど存在しますし、動作を認定/保証する団体が存在するわけでもないため、結局のところ送信者が適切な文字コードを使い機種依存文字を避けるよう心掛け、受信者も本来あるべき内容で表示するようアプリを設定しておくしかありません。状況によっては、相手のパソコン/スマートフォンで確実に読める文字コードで送信する、という配慮も必要になります。

  • 文字化けが発生すると、迷惑メール判定されてしまうこともあります

  • おそらく「TEL」に機種依存文字を使用したのでしょう、該当部分が文字化けを起こしています

文字化けメールを送信しないためには、前述したとおり機種依存文字の使用を避けること、そして「適切な文字コードで送信すること」です。しかし、macOS付属の「メール」アプリには文字コードを指定する機能がありません。

macOS High Sierraの「メール」アプリでは、新規作成した日本語メール -- 英数字/漢字/ひらがな/カタカナで構成されるメール -- は「UTF-8」という文字コードが適用され、任意の文字コードを指定することはできません(以前のバージョンのmacOSでは可能でした)。Windowsパソコン/Androidスマートフォン用を含め、近ごろのメールアプリはUTF-8のメールを適切に解釈してくれるため、問題にならないのがほとんどです。

しかし、古いメールアプリではUTF-8のメールをうまく解釈できず、結果として文字化けを起こしてしまうことがあります。相手のメールアプリを最近公開されたものに乗り換えてもらうのも1つの方法ですが、メールボックスに重要なメールが多数保存されているなどの理由で難色を示される可能性大です。

その場合、Mac側で対処するほうが近道です。無償配布されているプラグイン「LetterFix」を導入するなどして、より無難な日本語メール用文字コード(ISO-2022-JP)で送信すれば、文字化けの発生を防げます。

  • 受信したメールを選択し、メニューバーで「表示」→「メッセージ」→「すべてのヘッダ」を選択すると、適用された文字コードを調べることができます

プラグインをインストールして文字化け防止

ここに紹介する「LetterFix for Mac OS X Mail.app」は、文字コードにISO-2022-JPを適用して送信できる「メール」アプリ用プラグインです。文字コードがUTF-8のメールをうまく表示できないメールアプリを相手先が使用している場合のみならず、最近開発されたものを含め大半のメールアプリで文字化けを起こさず表示できるメールを送信できます。

プラグインのインストールは、WEBサイトからダウンロードした最新版(2018年5月現在v2.6.0)ディスクイメージを開き、現れたパッケージファイルをダブルクリックして行います。画面の指示に従いボタンをクリックするとプラグインが適切なフォルダへコピーされるので、完了後に「メール」アプリを再起動すれば完了です。

以降新規作成したメールは、文字コードに「ISO-2022-JP」が適用されたうえで送信されます。本来は「丸で囲まれた1」として表示されるところ「(日)」になっていたものが、返信するときには「(1)」に自動変換されるなど、機種依存文字の問題もうまく取り除かれます。メニューバーから「メール」→「LetterFix Plug-in」の順にクリックすると設定を変更できますが、通常は初期設定のままで支障ないでしょう。ただし、「メール」アプリがアップデートされるとプラグインの更新も必要になるため、ソフトウェア・アップデートするときは注意が必要です。

  • ダウンロードしたディスクイメージをダブルクリックすると、プラグインのインストーラが現れます

  • メニューバーから「メール」→「LetterFix Plug-in」の順にクリックすると、プラグインの動作を変更できます

  • 新規作成したメールのヘッダを調べたところ、古いメールアプリでも読み取れる文字コード(ISO-2022-JP)で送信されていました

  • 機種依存文字が含まれるメールに返信する場合、その問題を自動的に解決してくれます