米Appleが音楽配信サービス「Apple Music」で、クラシック音楽に特化した新サービス「Apple Music Classical」を間もなく開始する。米国時間の3月9日に、App Store Previewに「Apple Music Classical」アプリが登録された。配信開始予定は「3月28日」となっている。同社は2021年にクラシック音楽専門の音楽ストリーミングサービス「Primephonic」を買収しており、同サービスをベースとしたクラシック音楽専用アプリの提供を予告していた。

Apple Music Classicalは、Apple Music Voiceプランを除く「Apple Music」の加入者が追加料金なしで利用できる。Apple Musicに含まれるサービスとしてグローバル提供するが、開始時点で日本、中国、韓国、ロシア、台湾、トルコ、アフガニスタン、パキスタンでは利用できない。

アプリの説明によると、世界最大級のクラシック音楽カタログ(500万曲以上)になり、名盤から新譜、そして数千タイトルの限定アルバムも提供する。クラシック音楽は空間オーディオの効果を特に楽しめる音楽ジャンルの1つだ。Apple Music Classicalは最大192kHz/24-bit Hi-Res Losslessの音質で配信し、Dolby Atmosによる没入感のある空間オーディオで何千ものレコーディングを楽しめる。

従来の音楽ストリーミングサービスにおいて、クラシックには聴きたい曲を見つけにくいという問題があった。ポップミュージックやロックなど、他のジャンルの音楽はアーティスト名、アルバム名、曲名といった情報だけで目的の曲を探し出せるが、クラシック音楽はさらに作曲者、指揮者、オーケストラ、演奏者、公演など様々な切り口で聴かれている。例えば、レナード・バーンスタイン指揮によるベートーヴェンの交響曲第9番を聴きたいとする。バーンスタインはニューヨーク・フィルハーモニック、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、そして複数のオーケストラのメンバーと共演したベルリンの壁崩壊記念コンサートの3回にわたって録音している。さらに交響曲第9番・第4楽章というように、一つの楽曲がいくつかの楽章に分かれていて、それらがあたかも別の楽曲であるかのような独立性を持っている。多くの曲に複数の楽章があって、無数の録音が存在するクラシック作品にはより詳細なメタデータが必要であり、そうしたクラシック愛好家のニーズにPrimephonicは応えていた。

Apple Music ClassicalもPrimephonicと同様に、正確で詳細なクラシック音楽のメタデータを提供し、作曲家、作品、指揮者、カタログ番号などで検索して聴きたい作品を見つけられるとのこと。オールインワンの音楽サービスよりも、クラシックという独特な音楽ジャンルを深く掘り下げられるサービスになる。