「頑張れ!」と肩入れしたくなるようないじらしさと「ついていきたい!」と思わせる頼もしさ――TBS系火曜ドラマ『ファイトソング』(毎週火曜22:00~)に登場する主人公・木皿花枝(清原果耶)の幼馴染・萩原凛は、なんともいえない魅力に満ち溢れている。演じるのはシンガーソングライター・藤原さくら。普段アーティストとして活動を行っている藤原は、凛というキャラクターをどのように構築しているのだろうか。清原や夏川慎吾演じる菊池風磨らとの共演エピソードと共に、女優業とアーティスト活動の両立についての思いを聞いた。

  • 『ファイトソング』で萩原凛を演じている藤原さくら スタイリスト:伊藤信子 ドレス:Sea New York(シー ニューヨーク)

藤原演じる凛は、幼少期から花枝の良き理解者である一方、花枝に恋心を寄せる慎吾に好意を抱いているという女性だ。オンエアがスタートすると、凛の頼りがいのある優しさと、好きな相手の恋を見つめるいじらしさに共感する視聴者が続出。8日に放送された第5話では、花枝に告白しようとする慎吾の背中を押す姿に「かっこよすぎ」との声が上がった。

「台本を読んだとき、なんて切なくていい子なんだろう」と藤原も感情移入できるキャラクターだったことを明かすと「結構ズバズバと物事を言う子なのですが、肝心なところは我慢してしまう、奥ゆかしさみたいなところもあるんですよね」とキャラクターを分析する。

藤原自身、凛の立場について「とても難しい立ち位置ですよね。昔からずっと花枝と慎吾と一緒にいるわけで。何十年も一途に誰かを思い続けるということが、まだ私には想像できないのですが、好きだけれど、関係が崩れてしまうのが怖くて言えないという気持ちは分かります」と複雑な胸の内には共感できるようだ。

■菊池風磨のアドリブ「笑ってしまって大変でした」

ポップな部分とシリアスな部分の緩急が効いたドラマ。特に凛と慎吾のシーンは、作品全体に明るさや推進力を与えるテンポの良いシーンが多い。藤原自身もそんな役割は理解しているようで「現場では監督さんから、慎吾とのシーンはどんどん煽って勢いあるものにしてほしいと言われています」とオーダーを受けることが多いと語ると「慎吾に対して『バーカ』と言うセリフが結構あるのですが、言葉の後ろに『大好き!』という思いが溢れるように……と言われました」と笑顔を見せる。

そんな役割を担っている藤原が、現場で驚いたのが、慎吾役の菊池だ。「テストと本番で演技まったく違うことがすごく多いんです。特に繋がりを気にする必要がないシーンだと、自由演技がすごくて……。それが本当に面白くて、ハマってしまうと本番でもどうしても笑ってしまって大変でした。果耶ちゃんや(共演の)戸次(重幸)さんから笑わない対処法を教えてもらったぐらいです」と菊池の破壊力あるアドリブについて語る。

さらに菊池について藤原は「よくスタッフさんがポロっと発した言葉に反応して、韻を踏んで違う言葉を生み出すときがあるんです。本当に頭の回転が速い方なんだと思います」とすごさを述べると「少年らしさを感じるときがあって、果耶ちゃんの方がずっと大人に感じます」と無邪気な人柄であることを明かす。そんな菊池の人懐っこさが、明るい現場を作り上げる原動力になっているようで「本当に楽しく撮影ができています」と感謝を述べる。

■清原果耶との共演に喜び! 女優としてのすごさも実感

一方、清原との共演も藤原にとっては念願だったようだ。「一度、果耶ちゃんが出演していた『3月のライオン』という映画で、スピッツさんの『春の歌』という曲をカバーさせてもらったのですが、そのときは会う機会がなくて、いつかご一緒できたらなと思っていたんです。だから今回はすごくうれしかったです」。

清原の過去の作品を観ていたという藤原は、「クールな女の子なのかな」という印象を持っていたというが、実際会うと「笑顔も可愛らしく、すごくポップで話しやすい子でした。もちろんしっかりしている部分もあるのですが、少女な一面もあって、とても素敵な女の子です。凛と花枝は幼少期からすごく近い関係性の役だったのですが、スッと入っていけました」と相性抜群だったことを明かす。

女優としても“すごさ”を実感しているようで「花枝ってものすごくセリフ量が多くて、セリフというよりも日常感のある、しゃべり口調だからとても大変だと思います。気丈に振る舞いつつ、ちょっと弱い部分が漏れ出てしまうようなところがとても健気で、応援したくなるキャラクターだなと思います」と絶賛する。