女優の天海祐希が主演を務めるテレビ朝日系新春ドラマスペシャル『緊急取調室 特別招集 2022 8億円のお年玉』が、きょう3日(21:00~)に放送される。『緊急取調室』は、監視カメラを設置するなど、可視化された特別取調室で、被疑者の取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」の活躍を描いた刑事ドラマシリーズ。叩き上げの取調官・真壁有希子(天海)が、キントリ・メンバーとともに、数々の凶悪犯と一進一退の心理戦を繰り広げる人気ドラマだ。

  • 『緊急取調室 特別招集 2022 8億円のお年玉』より=テレビ朝日提供

    『緊急取調室 特別招集 2022 8億円のお年玉』より=テレビ朝日提供

昨年7月期に放送された第4シーズンでは、鉄壁のチームワークを誇ってきたキントリ・メンバーがまさかの解散。有希子は警視庁特殊捜査係、梶山勝利(田中哲司)は捜査一課の管理官、菱本進(でんでん)は運転免許試験場の免許課主任、小石川春夫(小日向文世)は警察学校の教官として、それぞれの道を歩んでいた。

そんななか、新春ドラマスペシャルでは、“史上最悪の事件”が発生する。年の瀬も迫ったある日、第4シーズンのラストで発生した「8億円強奪事件」の被疑者とみられる男の遺体が、ある民家の敷地内から発見されたのだ。一刻も早い事件解決を目指し、警視庁は特別措置として「キントリの臨時運用および、必要人員の非常招集」を決定する。

梶山の招集を受け、キントリに戻ってきた有希子だが、この事件は、想像以上の難事件だということが判明。というのも、遺体が見つかった家に暮らすのは、警察や検察にとって敵とも言える“スーパー法曹一家”だったのだ。“スーパー法曹一家”こと源家を率いるのは、東京高等裁判所のトップ判事である秀子(高畑淳子)。そして、有名大学の法学部教授である悦男(井上順)、大手弁護士事務所のパートナー弁護士である修一(木村了)、さらには何やら秘密を抱えていそうな家政婦の松原しおり(菜々緒)の姿も。

「8億円強奪事件」の真相はおろか、遺体がこの家で見つかった理由も、遺体の正体も闇の中……。有希子らキントリ・メンバーは、法を知り尽くした最強の“スーパー法曹一家”を相手に、前代未聞の苦闘を強いられる。事件解決につながる話を何一つ聞けないなか、果たして、取り調べですべてを暴くことができるのか――というストーリーだ。

■新生キントリの前に立ちはだかる“スーパー法曹一家”

第4シーズンで解散したはずのキントリが、一時的に再結成する本作。明らかに手ごわい“スーパー法曹一家”から、事件について真相を聞き出さなければならないが、自宅を訪れた有希子たちに、悦男は、「迷惑千万ですよ」と笑顔でのらりくらりかわし、秀子は「我々は法律家です。想像で発言はいたしません!」と一蹴。しまいには、「刑事訴訟法197条には……」と法律を持ち出して、門前払いする。

とにかく、本作は、キントリ・メンバーと“スーパー法曹一家”の駆け引きや心理戦が面白い。「今回の敵は、キントリ・メンバーに負けないくらい圧が強い!」(天海)、「今回は過去最強じゃないかと思うほど、論破するのが難しい」(田中)とキャスト陣が口々に語るように、被疑者たちとのヒリヒリしたやり取りが続き、ひと時も目が離せない。

特に、有希子が「鉄の女」だとつぶやいた秀子の声と眼力に圧倒される。トップ判事である秀子は、厳格にして公正、そして群を抜いた事件処理能力を持ち、数々の裁判で冤罪を裁いてきた人物。家族にも、「力を合わせて、この山を乗り越えなければなりませんよ!」「恐れずに足りません!」と鼓舞するなど、威厳あふれる判事としての生き様を貫いている。

そんな“スーパー法曹一家”に対し、キントリ・メンバーは、あの手この手を使って、その牙城を切り崩していく。次から次へと明らかになる事件の裏側に、観ているこっちもドキドキハラハラしっぱなし。そして、取り調べが進むなか、「鉄の女」こと秀子の心情が変化していく様も、見どころの一つとなっている。

■天海祐希VS菜々緒の芝居対決にハラハラドキドキ

また、本作のキーパーソンとなるのが、そんな“スーパー法曹一家”に寄り添い、被疑者の一人として取り調べを受ける家政婦のしおりだ。住み込みで働くしおりは、家事や修一の娘である優奈の送り迎えなどを請け負っている。

優奈に優しい笑顔を向ける一方、家事をしながらふと見せるくもった表情。そして、過去の秘密。取調室では、有希子に向ける真っ直ぐとした視線、後悔の表情など、さまざまな顔を見せるしおり。演じた菜々緒は、「しおりが抱える傷や闇、そこに付随する心理も丁寧に表現していきたい」と語っていたが、しおりの心情を感情豊かに表現する演技力は秀逸だ。

そんなしおりは、事件について、「私は何も知りません」と言い張っていたものの、やがて衝撃の告白をする。しかし、取り調べをする有希子は、どうにも拭えない違和感を覚え、確かな真相をあぶり出すべく、取り調べで再び対峙。「どの証言が本当で、どの証言が嘘なのか?」。有希子を演じる天海と、しおりを演じる菜々緒の芝居対決は、息をのむ濃密なシーンに仕上がっている。

■新メンバーに比嘉愛未&野間口徹、“もつなべコンビ”も復活

過去最強の敵、“スーパー法曹一家”と対決するキントリ・メンバーだが、本作では、2人の新メンバーが登場。捜査一課の刑事で、「8億円強奪事件」の特別捜査本部に派遣されていた生駒亜美(比嘉愛未)と酒井寅三(野間口徹)の2人だ。亜美は、負けず嫌いの自信家で、警視庁内における女性の地位向上を目指している。一方の寅三は、なにかと一言多い皮肉屋だが、常に冷静で頭脳派のキャラクターだ。

先輩でもある有希子に、堂々と自分の意見を言うほど、物怖じしない性格の亜美は、「大きな事件で成果をあげたい」と大張り切り。有希子としばしば衝突することもあり、キントリ班にピリッとした空気が流れる。そして、「被疑者に罪の愚かさを教え、正しく導きます!」と息巻き、取り調べに挑むが、その熱意が空回りしてしまい……。元祖メンバーと新メンバーが、ときにぶつかり合いながら、事件解決に突き進んでいく様も見どころの一つだ。

また、本作では、第4シーズンでコンビ解消となってしまった渡辺鉄次(速水もこみち)、監物大二郎(鈴木浩介)の“もつなべコンビ”も復活。そして、第3シーズンでキントリに在籍していたサイバー犯罪対策室の玉垣松夫(塚地武雅)も、久々にメンバーとして復帰する。ぜひ本作で、「8億円強奪事件」の真相を“マル裸”にする新生キントリの活躍を楽しんでほしい。