米商務省の産業安全保障局(BIS)は、米国製品の輸出や米国由来技術の移転などを原則輸出禁止(正確には輸出に関して米当局への輸出許可申請によるライセンス取得が必要だが原則的には米当局はライセンス発行しないとしている)する団体のリストである「エンティティリスト(EL)」に、中国企業12社(国立研究所を含む)、パキスタン13社/者(個人を含む)、日本企業1社、シンガポール企業1社の合計27社(団体/個人)を発表し、11月26日から発効したことを明らかにした。米BISは、「これらの企業、団体、個人が具体的かつ明確な事実に基づいて、米国の国家安全保障または外交政策の利益に反する活動をしていると判断した」としている。

日本企業としては、測量機器メーカーの中Corad Technology (Shenzhen)の日本法人Corad Technology Japanが、親会社ともども「米国およびその他の西側諸国からイランの軍事および宇宙プログラム、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のフロント企業、中国政府および防衛産業の下位組織への技術の販売に携わってきた」としてリストに記載された。

リストに新たに記載された中国企業12社のうち、半導体関連企業は、以下の5社。

  • Hangzhou Zhongke Microelectronics
  • Hunan Goke Microelectronics
  • New H3C Semiconductor Technologies
  • Xi'an Aerospace Huaxun Technology
  • Yunchip Microelectronics

いずれも「中国人民解放軍の軍事的近代化に対する支援をおこなっている」ことが理由だと米BISは説明している。

GokeやNew H3CはNANDのコントローラICメーカーで、NAND専業の中YMTCとも結びつきがあるとみられている。米国連邦議会上院および下院の議員は、すでに7月に米商務省に対してYMTCをリストに載せるよう要請しているが、今回の発表では、リストに追加記載されてはいない。

YMTCの経営陣は以前、「YMTCのNAND製造は、米国の装置メーカーであるApplied Materials、Lam Research、KLA-Tencorの先端半導体製造・検査装置に依存しているので、これらの企業からの装置導入が禁止されないように注意を払っている。我々はNANDの販売を行うにあたり、知的財産権を最重視して2000件を超える特許を蓄積し、グローバルのパートナーから1600件を超える技術ライセンスを入手して、海外企業から特許侵害で訴えられないように注意している」と語っており、特許侵害への注意を払っていること、米国政府から国家安全保障を脅かすと指摘されそうな行為はせぬように万全の注意を払っていることなどを強調していた。

中国の半導体企業5社のほか、中国の国立研究所である合肥微尺度物质科学国家研究中心と量子コンピューティング関連の2社(Quantum CTekとShanghai Quantum CTeck)は、量子コンピュータの軍事利用を支援するために米国産の物品を取得しようとしたとして追加された。

なお、HuaweiやSMICなどすでにエンティティリストに記載されている企業への輸出制限は継続したままである。米レモンド商務長官は声明で「米国の技術が(非同盟国の)軍事活動に転用されるのを防ぎ、米国の安全保障を守るために輸出管理を効果的に使っていく」と述べている。