JR四国は18日、新車両で2022年春にデビューする観光列車「伊予灘ものがたり」の詳細を発表した。キハ185系3両編成を使用し、3号車にラグジュアリールーム(個室)を新設し、2号車海向き展望シートの一部をペアシートとするなどのリニューアルを行う。

  • 「伊予灘ものがたり」八幡浜側先頭イメージ

  • 「伊予灘ものがたり」松山側先頭イメージ

新たな「伊予灘ものがたり」は、現車両のデザインを継承しつつ、より快適な空間を提供できるように設備面でブラッシュアップ。エクステリアデザインは、伊予灘の夕景をモチーフとしたシンボルマークに茜色と黄金色のカラーリング、側面に大きく描かれた和デザインのヱ雲(えぐも)などを引き継いだ外装としている。より夕日の光に映えるよう、JR四国の車両で初めて全面にメタリック塗装を施した車両となる。

1号車「茜の章」・2号車「黄金の章」は、ものがたりの一編を表した号車愛称と室内イメージを現車両から踏襲。ガラス窓の間を障子の明かりに見立てたLED照明とし、開放的な和空間のイメージを演出する。和デザインに対比する洋風のいすは、テーブルとともに現行車両からサイズアップし、より快適な時間を過ごせるインテリアに改良。2号車の海向きシートの一部は、さまざまなシチュエーションでの2人旅を楽しめるようにペアシートタイプとする。

  • 1号車「茜の章」イメージ

  • 2号車「黄金の章」イメージ

  • 3号車「陽華の章」イメージ

新設される3号車「陽華(はるか)の章」は、定員8名のグリーン個室1室(ラグジュアリールーム)とサービスギャレーを配置し、3号車の愛称名をモチーフにした光の雫をイメージした天井照明、桜の木を用いた壁のデザインを採用。海向きの鏡面テーブルに映り込む空のきらめきが伊予灘の海の青へと続く視覚効果を生み、車内空間が車外の景観とつながるかのような演出も施される。レトロモダンの上質なテイストを基調とした気品のあるインテリアとしつつ、陽の光や花のデザインを散りばめ、ぬくもりや安らぎも感じられる個室空間とする。

新型コロナウイルス感染症の感染防止対策にも取り組み、座席に抗菌モケットを使用。車内全体に抗菌・抗ウイルスコートを施す。各座席の間に飛沫防止パネルを設置するほか、乗車前の検温と手指消毒も実施するとのこと。

その他、各車両の電球型照明に「みかん」をモチーフにしたデザインを採用し、観光映像や前面展望ライブ映像を配信できるモニターを各車両に設置。トイレは多目的トイレ1カ所、洋式トイレ2カ所(1カ所は女性専用)の計3カ所とする。座席ごとにコンセントを設け、車内Wi-Fiサービスの利用により、手持ちのスマートフォンで前面展望ライブ映像などを楽しめるようにする。

運転区間はこれまでと同様、松山~伊予大洲・八幡浜間となる。車両リニューアルにともない特急料金が適用され、新たな特急グリーン料金とグリーン個室料金を設定。1号車「茜の章」・2号車「黄金の章」は全車グリーン車指定席とし、乗車の際は乗車券の他に特急券とグリーン券が必要となる。

一例として、松山~八幡浜間で乗車した場合、運賃1,300円・特急料金1,200円・グリーン料金1,500円(すべて予定)、合計4,000円を予定している。3号車「陽華の章」は利用人数分の運賃料金のほか、グリーン個室1室料金(2万8,000円)が必要となり、定員は8名、2名以上から利用可能となる。