フジヤエービックが主催する「秋のヘッドフォン祭2021 ONLINE」が9月19日、YouTubeでライブ配信された。ここではfinalが開発発表した、同ブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「ZE3000」を取り上げる。2021年10〜11月に正式発表し、年内の発売を目標としている。価格は未定だが、「すごく高くなるわけではない」(final 森氏)とのこと。

  • ZE3000

有線イヤホンが中心のfinalは、これまでagブランドの完全ワイヤレスイヤホンの音質監修を手がけており、finalブランド製品としても「エヴァンゲリオン」コラボの完全ワイヤレスイヤホン声優・浪川大輔とコラボレーションした製品を発売。しかし、コラボモデルではないfinalブランドの完全ワイヤレスは今回が初となる。

ZE3000は、有線イヤホン「A3000/A4000」(2020年発売)や、「E3000」(2017年発売)の流れを汲みつつ、音質にこだわって完全ワイヤレス化。新開発の6mm径ダイナミック型ドライバーを搭載する。A3000/A4000で採用した「f-Core DU」(エフコアDU)ドライバーを搭載しよう、という話もあったそうだが、今回は精度感の高いものを作るため、新規に設計を起こし、「音の立ち上がりが早くレスポンスのいい、クリアなサウンド」を目指したという。

finalの森氏によると、完全ワイヤレスイヤホンはバッテリーや基板、アンテナなどを盛り込むため、サイズの制約が大きいとのこと。音質的にいじれる部分が少なく、有線イヤホンのような作り込みもできないそうだ。「社内で作るという話はあったが、一向に出ない。4〜5年待った感覚があった」(final 森氏)。音質にこだわったこともあって、ノイズキャンセリング(NC)機能や外音取り込み機能は備えていない模様。

試作機を試聴したインプレッションとして、弊誌でもおなじみのオーディオ・ビジュアル評論家・野村ケンジ氏は「あれ有線かな? とびっくりするサウンド。ニュートラルな音で最終的にどうなるのか気になる」と話していた。

イヤホンはAシリーズに近い、面と稜線(エッジ)のあるデザインになり、タッチパネルを装備。耳に当たる内側部分も既存のAシリーズに近い3点支持形状も採用する。内部も複雑な設計で、防水にも対応するため、ベント(孔)は設けていないそうだ。イヤホンと充電ケースの表面にはカメラなどにも使われるシボ加工を施している。充電ケースは、握り心地やポケットにスッと入るかなど、形状にもこだわって開発中とのこと。

  • ZE3000の充電ケースのテストサンプルを配信会場に持ち込んだfinalの森氏