皆さんは、「組文字」をご存知でしょうか? 組文字とは、例えば「㌍」(カロリー)や「㌕」(キログラム)のように、全角サイズ1文字の中に複数の文字を入れることを指す単語です。

長いワードも1文字に圧縮して使用できるという点ではとても便利ですが、どうやら世界には、我々日本人の想像を遥かに上回る複雑な組文字が存在していたようです。

  • ※画像はイメージです。

こちらのツイートをご覧ください。

日本のパソコンには「㍍」や「㍿」とか無理矢理な圧縮文字がありますが、中東のパソコンには

という
صَلَّى اللهُ عَلَيْهِ وَآلِهِ وَسَلَّمَ
彼(預言者)とその一族に神の祝福と平安あれ
という文章を縮めた神がかった圧縮文字が存在します
(@chigusasoichiより引用)

ツイ主は千種創一さん(@chigusasoichi)。著書に歌集『砂丘律』(青磁社)や『千夜曳獏』(青磁社)などを持つプロの歌人・詩人で、アラビア語の通訳や翻訳もするなど、なにかと中東にゆかりがあるそうです。

しかし、「預言者とその一族に神の祝福と平安あれ」という長文を1文字に圧縮すると、ここまで複雑になるとはビックリ。このツイートには多くのツイッターユーザーが反応を示し、3.4万件のリツイート、15.1万件のいいねを獲得(9月3日時点)。コメントも続々と寄せられました。

「へぇーボタンが欲しい! 」

「めっちゃ見えなくて指でアップしようとしたの私だけ?? 」

「英字圏から見れば漢字も似たようなものに見えるかも」

「サッラッラー ホー ワー アレイヒ ワサッラムって読みます^^ ムハンマド様の名前を書いた、聞いた、読んだ、見た、後にこうつぶやきます」

「定型句にSMSの字数制限を23文字も喰われたくないとか、誤字脱字で怒られが発生しないように一発入力できる合字がほしいとかいうニーズがあったのかも」

気になるのは、なぜ千種さんがこの組文字を知っていたのかということ。そこで今回は、ご本人に少しお話をうかがってみました。

ーーなぜ「ﷺ」を知っていたのでしょうか?

中東の友人がツイッターで使っていたからです。

ーー「彼(預言者)とその一族に神の祝福と平安あれ」とは、どのような時に使う言葉なのでしょうか?

イスラーム教徒が預言者ムハンマドの名前を口にしたあとや、書いたあとには、ムハンマドへの敬意を表すためにこの定型表現を使う習わしなのです。

ーーこの圧縮文字の実際の使い方を教えて頂けますでしょうか?

「かつて預言者ムハンマド(ﷺ)も言われたように、猫を愛することは重要なのである」などと使います。ちなみに本当にムハンマドは猫好きだったそうです。

ーー今回のツイートが大きな反響を生んでいるかと思いますが、ご感想などはございますか?

歌人としては自分の短歌でバズりたかったです。やっぱりムハンマドはすごいです。青磁社から出ている歌集『砂丘律』や『千夜曳獏』もひとつよろしくお願いします。


メールなどでの使い方としては、ムハンマドの名前の直後にカッコ付きで入れるのが正しいとのことでした。まったく知らなかったイスラム世界の常識。おかげさまで、ひとつ賢くなれました!