Denodo Technologiesは7月27日、オンラインで説明会を開催し、同社が提供するデータ仮想化プラットフォームの国内導入事例を紹介した。データ仮想化とは、データを移動することなく、複数のデータソースを連携して、単一の仮想データのレイヤに統合するテクノロジーだ。

ソリューション・コンサルタントの菊池智功氏は、データ仮想化のメリットについて、「論理データを統合するため、リアルタイムにおけるデータ活用を実現する。また、データの一貫性と完全性を保証するため、データのガバナンスにも貢献する」と説明した。また、セルフサービスによるデータ利用も拡大しているという。

菊池氏によると、データ仮想化のアーキテクチャのパターンは、「論理データファブリック」「データサービス」「統⼀ビュー」「セルフサービス」の4種類あるとして、各パターンをもとに、導入事例を紹介した。国内では、「論理データファブリック」「統⼀ビュー」、海外では「データサービス」「セルフサービス」の事例が多いという。

菊池氏は、「論理データファブリック」の事例として、建設会社の「論理データウェアハウス(DWH)」、銀行の「リアルタイムデータ活用」などを紹介した。

ある建設会社では、オンプレミスに部門別のデータベースを運用していたこと、オープンデータを手作業で分析していたことなどから、経営にまつわる意思決定に課題を抱えていたという。

そこで、Denodoの論理データウェアハウスを導入することで、各ユーザーが自身の用途に応じてデータを自在に使えるようになり、データドリブンな経営を実現できるようになったという。

  • 建設会社における論理データウェアハウスの導入例

菊池氏は、与信の管理、リスクデータのレポート、法規制への対応などから、金融機関における導入が増えていると語った。ETLツールでも同様のことはできるが、開発期間が長いという難点があるという。

ある国内の銀行では、金融商品を開発するクオンツが利用するデータとディーラーが扱う商品の販売データをいかに連携するかが課題となっていた。そこで、DenodoのDWHを導入することで、クオンツとディーラーが販売支援システムにおいてリアルタイムでデータを活用することを実現したとのことだ。

  • 国内の銀行におけるリアルタイムでのデータ活用の例

「データサービス」の導入例としては、「データサイエンスのデータサービス」「グローバルマルチクラスタ」「マルチクラウドアーキテクチャ」「モバイルアプリケーション&API」が紹介された。

「マルチクラウドアーキテクチャ」としては、Google Cloud Platform、Microsoft Azure、オンプレミス上のデータ、Amazon RedShiftのデータを、Amazon Web Services上のデータ仮想化プラットフォームによって統合している事例があるという。

  • マルチクラウドアーキテクチャの導入例

「統一ビュー」の導入例としては、「論理マスタ統合」「顧客360度ビュー」「正規化ビュー」「顧客統合ビュー」が紹介された。これらのうち、日本では特に「論理マスタ統合」の目的での導入が多いとのことだ。ビッグデータを活用するにあたり、Denodoのプラットフォームを導入することで、データを統合して重複を排除し、データの品質を高めることが可能になる。また、国内の銀行で、顧客について統合ビューを実現するためにDenodoのプラットフォームが導入されているそうだ。

  • 顧客統合ビューの導入例

「セルフサービス」の事例としては、「セルフサービスアーキテクチャ」「Denodo Coronavirus Data Portal」「データマーケットプレイス」「データディスカバリー」が紹介された。

ある保険会社では、営業がさまざまなデータリソースから自身にとって必要な情報を的確に見つけることができるよう、「Denodo Virtual Dataport Server」「Denodo Information Self-service web fornt-end」を導入しているという。

「Denodo Coronavirus Data Portal」は、Denodoが提供している新型コロナウイルス感染症に関するデータセットにアクセスするために使用できるプラットフォームだ。誰でも利用することができるそうだ。