京成トラベルサービス主催、京成電鉄の後援による特別ツアー「スカイライナー&ヘッドマーク車両で行く! 船橋~千葉間開業100周年の旅」が17日に開催された。「スカイライナー」車両AE形の臨時列車が千葉線に乗り入れ、千葉中央駅まで運転された。

  • 「スカイライナー」車両AE形の臨時列車が千葉中央駅まで運転された

    「スカイライナー&ヘッドマーク車両で行く! 船橋~千葉間100周年の旅」を開催。「スカイライナー」車両AE形の臨時列車が千葉中央駅まで運転された

京成本線・千葉線の京成船橋~千葉中央間は1921(大正10)年7月17日に開業し、100周年を迎えた。これを記念し、京成電鉄は3000形1編成に記念ヘッドマークを掲出するほか、「船橋~千葉間開業100周年記念乗車券」や記念グッズの発売、記念横断幕の掲出、記念駅巡りスタンプラリーなど行う予定。「スカイライナー&ヘッドマーク車両で行く! 船橋~千葉間100周年の旅」も記念施策の一環で企画・実施された。

AE形の臨時列車は8時52分、京成上野駅1番線に入線。隣の2番線から「スカイライナー21号」が9時0分に発車した後、ツアー参加者らを乗せた臨時列車は9時7分に京成上野駅を発車した。地上区間に出たところで最初の車内アナウンスがあり、「スカイライナー車両AE形は普段、京成千葉線を走行することはありません。レアな体験をぜひお楽しみください」とのことだった。

  • 京成上野駅の1番線にAE形の臨時列車が入線。2番線の「スカイライナー21号」と並ぶ

  • AE形の車内。今回のツアー参加者は計136名(大人115名・こども21名)で、余裕を持って着席していた。走行中、客室内のディスプレイに展望映像が流れた

  • 京成津田沼駅で京成本線と分かれ、千葉線を走行。千葉線では新京成線からの直通列車も運転されている

AE形の臨時列車はしばらく京成本線を走行。京成津田沼駅を通過した後、千葉線がほぼ直進して千葉方面へ向かう一方、京成本線は進行方向右側へ分かれ、やがて千葉線の線路の下をくぐり、成田方面へ向かう。ここから幕張本郷駅を経て京成幕張駅の手前まで、千葉線とJR総武線が並走する区間となり、進行方向左側の車窓にE217系や特急「成田エクスプレス」のE259系、209系改造のサイクルトレイン「B.B.BASE」などの車両が見えた。

AE形は今年4月に開催された「ゴールデンウィーク 京成線ミステリーツアー」でも千葉線・千原線を走行したが、今回も千葉線沿線には多くの鉄道ファンらが集まっていた様子だった。「スカイライナー」の車両が千葉線を走る姿を見て、足を止める学生たちもいたという。9時54分頃、AE形の臨時列車は千葉中央駅に到着。1番線に停まり、ツアー参加者らが降りた後、回送列車となって京成津田沼方面へ折り返した。

  • 千葉中央駅に到着。AE形は回送列車となって折り返す

  • 「京成ホテルミラマーレ」で記念講演が行われた

  • 昼食として提供された「千産千消」スペシャルランチ

ツアー参加者らは駅直結の「京成ホテルミラマーレ」へ移動。「船橋~千葉間開業100周年」を記念した講演が行われ、貴重な写真とともに千葉線の歴史が紹介された。現在、千葉線には10駅あるが、1921(大正10)年の開業当初は津田沼駅(現・京成津田沼駅)、幕張駅(現・京成幕張駅)、検見川駅、稲毛駅(現・京成稲毛駅)、千葉駅(現・千葉中央駅)の5駅のみ。当時の千葉駅は現在の千葉市中央公園の位置にあり、国鉄の線路をまたぐ京成の電車や、当時の駅舎も写真で公開された。千葉線の沿線はかつて多くの海水浴場があり、夏期に運転された臨時列車の写真もあった。

千葉線は駅名の変遷も興味深い。検見川駅は開業以来、一度も改称されていないが、みどり台駅は1923(大正12)年に浜海岸駅として開業した後、帝大工学部前駅、工学部前駅、黒砂駅とたびたび改称されている。現駅名となってちょうど50年との説明もあった。現在の京成千葉駅は1967(昭和42)年に国鉄千葉駅前駅として開業。当時、駅周辺に「国鉄千葉駅前駅前広場」もあったという。国鉄千葉駅前駅から京成千葉駅への改称に合わせ、かつての京成千葉駅は千葉中央駅に改称された。

  • 「京成ホテルミラマーレ」では、京成グループ4社による物販やダッチングマシーン体験も

講演の後は昼食となり、千葉県産の食材を使用した「千産千消」スペシャルランチが提供された。昼食中に京成電鉄の懐かしいCMが放映され、昼食後には京成グループ4社(京成電鉄、関東鉄道、イウォレ京成、京成トラベルサービス)の物販やダッチングマシーン体験も実施。「京成ホテルミラマーレ」を後にし、千葉中央駅に戻ると、12時23分頃、「船橋~千葉間開業100周年」記念ヘッドマークを掲げた3000形が京成津田沼方から1番線へ入線してきた。ヘッドマークには、千葉線で現在活躍中の3000形と、開業時に投入された20形のイラストが描かれている。

3000形の臨時列車は12時27分に千葉中央駅を発車。車内では、1968~1974年頃に千葉線で運行されたという種別「快速」の自動放送が再現された。千葉中央駅発車後、「この電車は快速上野行です。次は国鉄千葉駅前、国鉄千葉駅前でございます。国鉄千葉駅前に停まりますと、次の停車駅はみどり台です。途中の新千葉、西登戸には停まりませんので、ご注意ください」とアナウンスされ、その後も停車駅案内と車内アナウンス広告が当時のまま放送。列車はかつての快速停車駅で運転停車しつつ、千葉線を走った。

  • 「船橋~千葉間開業100周年」記念ヘッドマークを掲げた3000形が千葉中央駅に入線

  • 関係者用スペースとの仕切りに使われた「この車輌は行商専用車です」の幕

  • 幕張本郷駅付近の車窓から、幕張車両センターのE217系やE235系が見える

  • 3000形の臨時列車は12時50分頃、京成船橋駅に到着

京成津田沼駅を過ぎると、車内放送の締めくくりとして、1964(昭和39)年に放送された京成電鉄のCMソング「ぐんぐん京成」が流れた。「60秒 男性コーラス入り トラック1」の声に続き、軽快な音楽と野太い男性コーラスの曲が車内に響き渡る。「♪ぐんぐん京成 ずんずん京成」「♪京成~京成~ 京成~」のフレーズが耳に残り、列車が京成船橋駅に到着した後、思わず口ずさんでしまうほど。約4時間の行程ながら、鉄道ファンもファミリーも楽しめる充実した内容のツアーだった。