韓国の中堅化学薬品メーカーであるPaik Wang Industrialが、Samsung Electronicsと提携して、これまで日本とドイツから全量を輸入していた半導体ウェハ洗浄用薬液である「高純度塩化水素(HCl)」の国産化に成功したと韓国の複数のメディアが伝えている。

それらによると、2019年7月に日本政府による韓国への半導体関連材料3品目の輸出管理の厳格化が実施された後、開発に乗り出した模様で、2年近くで塩化水素をSamsungの半導体製造ラインのウェハ洗浄装置に実際に採用する品質テストを完了させ、2021年下半期(7〜12月)中に最終契約を交わす予定だという。

韓国では、すでにSoulbrain、RAM Technologyなど複数の化学薬品メーカーでフッ化水素(HF)の国産化に成功しているとされており、今回の動きはそれに続くものとなる。

半導体基板洗浄に必須の超純水も国産化を検討か?

このほか、複数の韓国メディアによると、韓国水資源公社(K-water)が半導体製造におけるウェハ洗浄に大量に使用される「超純水」の製造・供給技術の国産化を韓国内の企業とともに進めようとしているという。

文大統領が先に発表した「K-半導体戦略」の実現に向けた取り組みの一環だとのことで、最近、水資源公社の社長が、SamsungやSK Hynixの半導体工場を訪問したことが確認されている。

ただし、現在、韓国のSamsungやSK Hynixの先端半導体工場では、栗田工業や野村マイクロサイエンスなどの日本勢がほぼ独占的に超純水を供給している。これら日本勢の韓国法人が純水プラント建設と管理に当たっており、高純度化の技術レベルの点で地元韓国勢の参入障壁は大きく、すぐに韓国勢が参入できるような状況にはないと、韓国半導体業界関係者は見ている。