アドビは2020年11月25日、日本の高校生に対して行った、創造力(クリエイティビティ)に関する意識調査の結果を発表した。

この調査は、日本の学校に通う高校生1,200人を対象としたもの。高1~高3の男女各200人ずつに回答を求めた。調査の目的は、創造力への認識、創造力に影響をあたえる要因、活動実態などを調べるためとのこと。調査期間は2020年8月7日~2020年8月19日。

高校生が考える「創造力」は

  • 「創造力」の定義

    「創造力」の定義

「創造力」の定義を項目別に列挙して質問したところ、「自分らしい個性を自由に表現する力」と答えた人が63%で最多。「芸術性の高いものを生み出す力」(46%)、「何もないところから新しいものを生み出す力」(46%)、「育った環境や努力によって培われるもの」(45%)と続いた。それと同時に、想像力は一部の特別な人にではなく、「すべての人に備わった力」だと考える割合が大きかった。

高校生の半数以上が「自分には創造力がある」と回答

  • 創造力の有無に対する自己認識

    創造力の有無に対する自己認識

「自分には創造力がある」と答えた高校生は、「あると思う」「どちらかと言えばあると思う」を合計すると55%となり、「(創造力が)ない」という回答を上回った。男女で差異はなく、兄弟姉妹/中学受験の有無で区分けした集計では、唯一「一人っ子」のみが、「(自分には創造力が)ない」と答える割合が多かった。

創造力に自信を持つのも失うのも小4~中学

  • 創造力に自信を失った時期

    創造力に自信を失った時期

「自分は創造力がないと思う」と回答した人の63%が、小学校高学年から中学生の間で自信を失っていた。その一方で、「創造力があると思う」と答えた人も、多くが同じ時期に自信を得たと回答した。

創造力に自信をなくした時期を尋ねたところ、「中学生になってから」(37%)が最も多く、続く「小学校4~6年生頃」(26%)を含めると、「自分は創造力がないと思う」人の63%が、小学校高学年から中学生の間に自信を失っていることが浮き彫りになった。また、最初は自信を持っていたのに途中で自信をなくしてしまった人に注目すると、小学校高学年から中学生の間で自信を失った人が約80%を占めていた。

  • 創造力に自信を失ったきっかけ

    創造力に自信を失ったきっかけ

  • 創造力に自信を持ったきっかけ

    創造力に自信を持ったきっかけ

一方、創造力に自信を持った時期への回答でも同様に、小4~中3までの6年間が多数となった。内訳は、「中学生になってから」が29%で最多、「小4~小6年生ごろ」(28%)を含めると、自分は創造力があると思う人の57%が、小学校高学年から中学生の間の体験で自信を得ていた。

図画工作・美術の授業は「創造力への自信」に良くも悪くも影響しており、図工や美術など創作系の授業での体験が、創造力への自信を持った、あるいはなくしたきっかけとして挙げられた。

創造的だと思う有名人、1位はあの有名画家

  • 創造的だと思う有名人

    創造的だと思う有名人

「創造的だと思う有名人」を自由回答で聞いたところ、画家の「ピカソ」が1位。絵画・音楽のセンスでも知られる、お笑い芸人の「野生爆弾くっきー!」が僅差で2位だった。3位以降は「米津玄師」、「大野智」、「HIKAKIN」と続き、所ジョージとゴッホが同率10位となった。

有名人を選んだ理由の多くは「独自性/オリジナリティがあること」だった。そこから、「創造的」なイメージには、「独自性」という要素が大きな影響を与えていると分かった。また、「多才」であることや「革新的」であることも、創造的なイメージとつながりをもっていたという。

「コロナ後の社会ではより創造力が必要になる」と思う高校生が約8割

高校生のうち78%が、コロナ後の社会において創造力が「これまでより必要になると思う」と回答した。「自分を創造的だとは思っていない層」であっても、73%が「これまでより必要になると思う」と答えた点が特徴的だ。

必要になると思った理由として、「コロナへの対応に必要」という意見と、「コロナによって社会が変わろうとしているから」という意見が多く見られた。

  • 自分の創造力の今後に対する期待

    自分の創造力の今後に対する期待

また、自分の創造力に対する今後の期待についての質問では、「(創造力を)伸ばしたいし、伸ばせると思う」人が56%なのに対し、「伸ばしたいが、伸ばすのは難しいと思う」「伸ばしたいと思わない」人も44%と、前述の創造力の必要性の質問よりも否定的な意見が多かった。

伸ばすのが難しいと思う理由は、「才能がないから」「もう手遅れだから」といった諦めのほか、「どうすれば伸びるか分からないから」「伸ばす環境が必要だから」といった答えに見られるように、「創造力の発達は、自分一人でどうにかできるものではない」という考えを持っていることが見受けられた。

こうした結果を受け、アドビ マーケティング本部バイスプレジデントの秋田夏実氏は、「今回の調査で、高校生にとっての創造力が単に技法や表現の上手下手ではなく、『自分らしい個性を自由に表現すること』であることがわかりました。そしてその創造力の成長を阻害する可能性のある時期や要因がわかったことはとても興味深い発見でした。アドビは、Creativity for All:すべての人に『つくる力』を――のミッションのもと、高校生を始め、日本の子供たちの創造力を伸ばし、また自分の創造力に自信が持てるようにサポートしてまいりたいと思います」とコメントを寄せた。

なお、調査の全文はスライドシェアにアップされており、自由に見ることができる。