大口径のニコンZマウントを採用したフルサイズミラーレス「Z 7」「Z 6」を発表してから約2年、ニコンがいよいよ“本気”のフルサイズミラーレス「Z 5」を投入します。上位モデルで定評のある見やすいファインダーや高画質などの特徴を継承しつつ、メモリーカードスロットなどこれまでに寄せられた不満点をつぶしてきました。価格もレンズ付きで20万円台前半に抑え、APS-C一眼レフやフルサイズ一眼レフからの乗り換えを狙います。発売は8月下旬の予定。

  • ニコンが発表したフルサイズミラーレス「Z 5」。これまで高性能一眼レフを愛用してきた人を納得させるべく、低価格ながら出し惜しみなしという印象に仕上げてきた

レンズキットが税込み20万円、意欲的な価格設定

ニコンが7月21日に発表したフルサイズミラーレスの新製品「Z 5」は、ニコンのフルサイズミラーレスではもっとも価格の安い戦略モデルとなります。量販店での実売価格は以下の通りで、ボディ単体モデルは税込み18万円ほど、レンズキットでも税込み22万円ほどと、戦略的な価格設定となっています。これらの実売価格は、10%のポイント還元が付くカメラ量販店での価格で、ポイントが付かない販売店ならばレンズキットが税込み20万円を切る価格で入手できると見込まれます。

  • 写真のコンパクトな標準ズームレンズが付属するレンズキットが、安いところでは税込み20万円前後で買えるコストパフォーマンスの高さも魅力だ

製品名 実売価格(税込み)
Z 5 ボディ 182,600円
Z 5 24-50レンズキット 222,200円
NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 58,300円
Z TELECONVERTER TC-1.4x 78,320円
Z TELECONVERTER TC-2.0x 84,370円

Z 5のおもな特徴は以下の通り。

  • 有効2432万画素のフルサイズCMOSセンサー(表面照射型)
  • 368万ドットの高精細EVF、ファインダーの光学系もZ 6と同等
  • 5軸補正対応のボディ内手ぶれ補正機構
  • 標準ズームレンズを含めた重さは約870g
  • 記録メディアはSDメモリーカード、スロットはデュアルスロット
  • オートフォーカスは273点のハイブリッドAF
  • 動物にも対応する瞳検出AF(静止画のみ)
  • 肩の情報表示パネルを省略
  • マグネシウム合金製のボディ
  • アルカスイス準拠のエクステンショングリップを別売で用意
  • 大容量化を図った新バッテリー採用、バッテリー撮影枚数は約470枚
  • 最大1/8000秒の高速シャッター
  • 常用感度は最大ISO51200、拡張時は最大ISO102400
  • USB経由での充電と給電に対応
  • ボディの大きさや重量はZ 7やZ 6とほぼ同じ

待望のSDデュアルスロットを搭載

Z 5を見ていくと、Z 7やZ 6で不満に寄せられた点をしっかり改良していることがうかがえます。

待望の改良となったのがメモリーカードスロットで、SDメモリーカード(UHS-II対応)のデュアルスロットとなりました。2枚のカードに順次記録するだけでなく、RAWとJPEGをそれぞれに分割して記録する機能も備えます。Z 7やZ 6はXQDメモリーカードのシングルスロットだったので、使い勝手は大幅に高まりました。

  • 「XQDの1スロット」が敬遠されたZ 7やZ 6の反省を生かし、もっともポピュラーなSDメモリーカードのデュアルスロットを採用した

Z 5の本体サイズや重さは、意外にもZ 7やZ 6とほとんど変わりません。その代わり、従来よりも大幅な小型軽量化を図った新開発の標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」を用意。ズーム比は2倍ちょっとに抑えられていますが、重量は約195gとフルサイズ対応レンズとは思えないほど軽く、Z 5に装着した際は約870gに抑えられます。Z 7やZ 6のキットレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」(約500g)と比べると、約300gも軽くなりました。沈胴機構により使わないときは全長を縮められ、レンズを装着したままでも断然持ち運びしやすくなったのもポイントです。

バッテリーは容量をアップした新タイプに置き換わり、バッテリー撮影枚数は約470枚に向上しました。USB Type-C端子経由の充電だけでなく、給電にも対応しました。

ファインダー性能やシャッター速度にこだわり

既存ユーザーの声を受けた改良を施しつつ、評価されている部分はケチらずZ 5に継承している点も見逃せません。

まずはファインダーで、368万ドットの高精細EVFをおごっています。ファインダーの光学系もZ 7やZ 6とほぼ同等で、「ファインダーには妥協しない」というニコンの意気込みが表れているといえます。

  • Z 7やZ 6譲りの精細で見やすいファインダーを搭載。操作ボタン類の配置もZ 7やZ 6から変えていない

最大1/8000秒に対応した高速シャッターや、5軸&5段分の補正に対応したボディ内手ぶれ補正機構もZ 7やZ 6を継承。273点のハイブリッドAFはZ 6と同等で、写真撮影時に限られますが動物瞳AFにも対応します。

剛性と質感に優れるマグネシウム合金製のボディを採用するのも、Z 7やZ 6譲りのポイントといえます。各所にシーリングが施されているため、防塵防滴構造の交換レンズと組み合わせれば水しぶきがかかる状況でも使えます。操作ボタン類のレイアウトもZ 7やZ 6と基本的に同じで、ボタンやダイヤルを省略していることはありません。

動画まわりの性能は抑え気味

撮像素子は有効2432万画素のフルサイズCMOSセンサーで画素数はZ 6とほぼ同等ながら、昨今では珍しく裏面照射型ではなく表面照射型のCMOSセンサーを採用。拡張時の感度は、最大ISO204800までカバーするZ 6に対して最大ISO102400と1段低く抑えられています。連続撮影速度は最大で4.5コマ/秒に抑えられ、撮影速度が向上する拡張モードは用意していません。

大きな違いといえるのが動画性能。4K画質の撮影には対応しますが、撮像素子の中央部を利用するクロップでの撮影となります。スローモーション動画も非対応となっています。前述のとおり、動物瞳AFは動画撮影時には対応しないこともあり、動画まわりの機能は全体的に控えめといえるでしょう。

操作まわりでは、撮影情報を表示する上部の表示パネルが省略されたのが相違点といえます。

写真をしっかり撮りたい人には魅力的な1台となりそう

これまでのZ 7やZ 6に漂っていた「価格が高い」「SDカードが使えない」「レンズを含めると大きい」といった欠点を解消し、ツボを押さえた万人向きのカメラに仕上がっていると感じます。動画まわりの機能は結構バッサリと落とされており、動画を重視する人は物足りないと感じそうですが、ファインダーをのぞいてていねいに写真を撮りたい、と考える人には気になる1台となりそうです。

  • レンズマウント:ニコンZマウント
  • 撮像素子:フルサイズ表面照射型CMOSセンサー(有効2432万画素)
  • ボディー内手ぶれ補正:5軸補正(約5段分相当)
  • 画像処理エンジン:EXPEED 6
  • AF点数:273点
  • 瞳AF:動物にも対応(写真撮影時のみ)
  • 連続撮影速度:約4.5コマ/秒
  • 対応感度:ISO100~51200(拡張時はISO50~ISO102400)
  • シャッター速度:最高1/8000秒
  • ファインダー:電子ビューファインダー(369万ドット)
  • 液晶モニター:3.2型(約104万ドット、チルト式、タッチ操作対応)
  • メモリーカード:SDメモリーカード×2スロット
  • Wi-Fi:あり
  • USB充電:対応(USB給電も対応)
  • バッテリー撮影枚数:約470枚(背面液晶使用時)、約390枚(電子ビューファインダー使用時)
  • サイズ:W134×H100.5×D69.5mm
  • 重さ:約675g (メモリーカード、バッテリー含む)、約590g(本体のみ)