米Microsoftは5月27日 (現地時間)、Windows 10の2020年春の大型アップデート「Windows 10 May 2020 Update」(バージョン2004)の提供を開始した。

May 2020 Updateは、Windows Updateを通じて簡単にアップデートできる。ただし、全てのユーザーが利用できるようになるまでにはしばらく時間がかかる。アップデートのトラブルを避け、全てのユーザーが安定かつスムースにアップデートを完了できるように、Windows Updateを通じた大型アップデートの提供を互換性および信頼性が確認されているデバイスから段階的に拡大しているためだ。

各デバイスの対応状況を確認するには、「設定」の「更新とセキュリティ」-「Windows Update」で「更新プログラムのチェック」を行う。May 2020 Updateへのアップデートの対象に含まれたら「Windows 10, バージョン2004」へのアップデートが表示され、「ダウンロードしてインストール」を実行するとすぐにアップデートできる。May 2020 Updateの更新は、Windows Updateでアップデートされているデバイスなら約20分、1度の再起動で完了するという。

  • Windows 10 Update Assistant

    手動アップデート用のツールは「Windows 10のダウンロード」ページから

Windows Update以外では、「Windows 10のダウンロード」ページから「Update Assistant」または「メディア作成ツール」を入手して手動でアップデートできる。メディア作成ツールでは、PCにWindows 10をインストールするためのインストールメディア (USBブラッシュドライブ、DVD、またはISOファイル)を作成できる。

新型コロナ禍、プロダクティビティを向上させるアップデート

Windows 10 May 2020 Updateは大規模な変更内容を含まず、使い勝手やプロダクティビティを向上させる新機能や機能強化、改善を提供するアップデートになっている。Microsoftは「人々の日常が変化する中で、世界中の10億人以上の人達が今Windowsに求めていることにフォーカスし、それを満たすことが重要」としている。

プロダクティビティの向上という点では、例えばBluetooth接続を簡略化するSwiftペア機能を改善。対応するBluetoothデバイスなら、設定にアクセスすることなく通知内でペアリングを完了できる。

また、対応するWindowsデバイスでは、パスワードを用いずに顔認証、指紋認証、PINといった方法を使ってMicrosoftアカウントにサインインできる。認証が簡単であることに加えて、PIN入力であってもセキュリティに配慮して使えば、オンラインで使い回すパスワードより安全性を高められる。パスワードレスは「設定」→「ユーザーアカウント」→「サインインオプション」で有効にする。

Cortanaがアプリとして独立、パーソナルプロダクティビティ向けのデジタルアシスタントとしてWindowsユーザーをサポートする。

  • Windows 10の仮想デスクトップ

    仮想デスクトップの柔軟な操作が可能に

ユーティリティ関連では、仮想デスクトップに名前を付けて管理できるようになった。これまでは「デスクトップ1」「デスクトップ2」と表示されるのみだった。「言語」設定が改善され、ディスプレイ、キーボード、音声認識、地域などの言語設定が分かりやすく、日本語を扱う上で重要なMicrosoft IMEもよりシンプルな方法でカスタマイズできる。また、絵文字や顔文字、記号の入力を支援する絵文字パネルに、ლ(╹◡╹ლ)のような表現豊かな顔文字が追加された。絵文字パネルは「Windows」+「.」キーで呼び出せる。

ゲーム関連では、リアルタイムレイトレーシングや可変レートシェーディングを採用した「DirectX 12 Ultimate」に対応。ゲームバーが強化され、サードパーティのウイジェットをサポートする。

開発者向けには、WindowsでLinuxバイナリを実行する機能の新版「Windows Subsystem for Linux version 2 (WSL2)」を搭載する。WSL2は、WSL向けに最適化されたLinuxカーネルを内蔵しており、WSL1より高速に起動し、メモリー使用量を抑えられ、アップデートの管理が容易になった。

Microsoftは、UWPアプリでデフォルトになっているセグメントヒープをWin32アプリに導入する作業を進めており、今後アプリのメモリー使用の効率化が進むと期待できる。セグメントヒープを採用した初のWin32アプリの1つであるMicrosoft Edgeは、May 2020 Updateを用いた初期の内部テストでメモリー使用量を最大27%削減できたという。サードパーティもサポートできるように、この機能を間もなく公開する予定だ。