フジテレビ系列の沖縄テレビが制作したドキュメンタリー番組『サンマデモクラシー』が、「第34回民教協スペシャル」の最優秀企画賞に決定。テレビ朝日(2月8日10:30~11:25)のほか、系列を超えた民間放送教育協会加盟33局で放送される。

これに先立ち24日、東京・六本木のテレビ朝日本社で完成披露試写会が行われ、同番組を手がけた沖縄テレビの山里孫存ディレクターらが出席した。

  • うちなー噺家・志ぃさ~ (C)沖縄テレビ放送

『サンマデモクラシー』は1963年、米軍の占領統治下のオキナワが舞台。サンマに「関税が掛かっているのはおかしい!」と、魚屋の女将・玉城ウシが、琉球政府を相手に裁判を起こした。サンマをめぐる闘いの中で、デモクラシーの国アメリカに対して沖縄の人々が訴え続けていたのは、「民主主義とは何だ?」というシンプルな問いかけ。「サンマ裁判」のオモシロ珍騒動の秘話を、うちなー噺家・志ぃさ~がナビゲートし、ナレーターを川平慈英が担当する。

山里氏は「最近はフェイスブックなどの投稿から制作のヒントが得ることが多い。『サンマデモクラシー』も5年ほど前に知り合いの『父親が亡くなりました。親父は、復帰運動の起爆剤と呼ばれたサンマ裁判を裁いた裁判官でした』と書かれていて。サンマ裁判を全然知らなかったので、連絡をしたのがきっかけです」と制作の経緯を説明。

山里孫存ディレクター

「最初はアメリカにある意味立ち向かった判決を出した裁判官たちを主人公に描いてみたいなと思って調べ始めたんですけど、調べていくとサンマ裁判を起こしたのが玉城ウシというおばあだったことが分かって。『ウシがさんまを訴えた』という面白さが最初に強くきたので、そういった取材から入りました」と明かした。

番組の構成については「落語テイストという形で全体を貫いています。復帰前の沖縄というのが、ある意味落語のような今から考えると不思議な、アメリカが統治する沖縄の時代だったというのをとにかく面白く描きたいなというのが番組の根幹にあります」とのこと。

そして、「今回こういった『サンマデモクラシー』という形で、沖縄の人、日本中の人にこういう時代があったんだというのを伝えられるというのは、非常に制作者として良かったんじゃないかなと思っています」と手応えを語った。

民間放送教育協会(民教協)は、放送を通じて教育の機会均等と振興に寄与することを目的として、67年に文部省(当時)の認可を受けて設立。『民教協スペシャル』は年1回、民教協加盟各局の応募企画から1つの優れた企画を選んで制作し、毎年2月に加盟33局で放送しているドキュメンタリーのスペシャル番組だ。

第34回となる今回は、映画監督の崔洋一氏、映画監督・作家の森達也氏、写真家・作家の星野博美氏の3人の委員が審査を担当した。

  • うちなー噺家・志ぃさ~、ナレーター担当する川平慈英
  • うちなー噺家・志ぃさ~ (C)沖縄テレビ放送