アイドルグループ・V6の森田剛が28日、都内で行われた主演舞台『FORTUNE』の製作発表会見に、吉岡里帆、田畑智子、根岸季衣、鶴見辰吾、サイモン・スティーヴンス(作)、ショーン・ホームズ(演出)、ポール・ウィルス(美術・衣裳)とともに登場した。

  • 鶴見辰吾、田畑智子、森田剛、吉岡里帆、根岸季衣

    左から鶴見辰吾、田畑智子、森田剛、吉岡里帆、根岸季衣

同作は『ポルノグラフィー』『ハーパー・リーガン』『夜中に犬に起こった奇妙な事件』など、多くの戯曲を生み出した、イギリス演劇界を率引する劇作家・サイモン・スティーヴンスが、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作『ファウスト』を大胆にも現代のロンドンを舞台に置き換えた意欲的な新作。全てを手に入れるために悪魔と契約を結び、闇へと堕ちていく二面性を持った主人公・フォーチュンを森田が演じる。

2014年に『夜中に犬に起こった奇妙な事件』に主演した森田は「その時、ものすごく苦労したんですね。なかなかそこに飛び込むのは勇気のいることで。でも僕にとってもチャレンジだしすごく刺激的のある舞台なので、ぜひやりたいなと思いました。日本初上演なので、日本が1番良かったと思ってもらえるようにしっかりやりたいと思います」と意気込む。

また「事務所の方に舞台がやりたいんですという話を何年もしてきた」という吉岡は「やっと『FORTUNE』という素晴らしい作品と出会えて。稽古2日目なんですけど、ひとつひとつ積み上げていく楽しさ、心から嬉しくて楽しくて噛み締めていて、こんな日がくることを望んでずっと頑張ってきたなというのを感じています」と喜びを表した。

同作について、サイモンは「何か自分が理解できないもの、怖いと感じるようなもの、でも探求したいものを扱いたい、探っていきたいということがあったと思います。永久に続いていく業、地獄や煉獄の怖さ、非常に恐ろしいと思っている。その恐怖が、作家がものを書くところの良い出発点になると思っています」と説明する。

さらにサイモンは「文化として、世界として、人類として、経済的にも環境的にも政治的にも、今そういった何か裂け目に我々は落ちようとしているのではないかと思っています」と時代を表現。「我々がやっていることを理解するための物語が必要になるのではないかと思いました。こんなにも環境問題が切迫し、危機に瀕している中で、僕自身は飛行機に乗って日本にやってきてるわけですから、そこにもファウスト的なことがあります。我々全員がファウストのインパクトを出し続けている。今ほどファウストの物語が重要になることはないと思います」と同作を書いた理由を語った。

台本を読んだ感想を聞かれた森田が、「びっくりしたのは、セリフの量。前回も凄かったんですけど、忘れちゃうんですよね、やっぱり。『あ、これだ』『サイモン来た〜!』という感じで、拝見しました」と苦笑すると、サイモンは爆笑。さらに森田は「その中には周りの人たちとの関わり合いが描かれていて、その人たちによって心が動く。愛がすごく詰まった本だなと思ったし、これはチャレンジしたいなと思いました」と感想を述べる。セリフの覚え方については「みなさんどうしているのかわからないですけど、受験勉強みたいな感じですかね。机に向かってとにかく読むという感じだと思います」と回答した。

俳優陣からも「挑戦」というワードが頻出だったために、演出のショーンが挙手し「ダークな話が出て来てましたけど、これはラブストーリーです。前半はパーティーがあって音楽があってハリウッドが出て来て、エキサイティングなんです。それがとても重要なことだと思ってます」と注を入れる一幕も。「音楽や歌を織り交ぜながら、非常に高まる展開になっていく。そこから落ちるということになっています」と演出面での期待を高めた。

また、会見後の取材で、悪魔との契約について憧れはあるか? という質問をぶつけられた森田。「普段の生活で何気ない幸せを発見できたり、今の自分が幸せだと思う。演劇は舞台で自由に開放できる場所でもあるので、普段窮屈な生活をしてても、舞台で自由になれるから、すごく幸せだなと思います」と、契約する必要を感じていない様子だった。

東京公演は東京芸術劇場 プレイハウスにて2020年1月14日~2月2日(プレビュー公演1月13日)、 松本公演はまつもと市民芸術館 主ホールにて2月7日~9日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて2月15日~23日、 北九州公演は北九州芸術劇場 大ホールは2月27日~3月1日。

  • 控えめに手を振る森田剛(中央)