「メンタルの不調」は特別でも珍しくもない、誰でも起きうる事態となりました。メンタルヘルスとは何か。職場のメンタルヘルス対策にはどんなものがあるのか。その概観を学んでいきましょう。

  • メンタルヘルスの意味や対策を理解していますか?(写真:マイナビニュース)

    メンタルヘルスの意味や対策を理解していますか?

メンタルヘルスとは

メンタルヘルス【mental health】とは、「心の健康」のことです。精神衛生・精神の健康などとも訳されており、「心を損ねてしまうような事態にどう対処していくか?」といった場面で用いられます。

うつ病や統合失調症のような病気になることだけが、メンタルヘルスの不調ではありません。これは、精神的なコンディションの良し悪しを包括する概念です。

運動不足や病気の感染・突然の暴力などによって身体の健康が傷つけられてしまうように、過剰な悩みや不安・ストレスなどによって、心の健康を失ってしまうことがあります。そんな事態に陥らないよう、心の健康を保つための方策として、メンタルヘルス対策は重要視されるようになりました。

メンタルヘルス対策が求められる背景

メンタルヘルス対策が注目を集めるようになった背景には、世界的なメンタルヘルスの不調があります。WHO(世界保健機関)の報告※によれば、2015年時点で世界のうつ病患者数は推計3億2,200万人にも上ります。その年の自殺者は約78万8,000人でした。
※出典:Depression and Other Common Mental Disorders 2017.2

日本でもメンタルヘルスを損ねる人は増加しており、うつ病を含む気分障害の患者数は2017年で127万6,000人※でした。これは2014年時点の調査と比べて12%の増加となっています。
※出典:厚生労働省 平成29年(2017)患者調査の概況 主な傷病の総患者数より

とりわけ問題視されているのは、職場におけるメンタルヘルスです。厚生労働省の「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、「現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えた人は58.3%と半数を大きく超えています。

その内容を見ると「仕事の量・質」が最も多く、次いで「仕事の失敗、事件の発生等」「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」となっています。

職場のメンタルヘルス対策

体制作りと実務対応 仕事のパフォーマンスは、心身共に健康で意欲的な状態の時にこそ向上します。メンタルヘルス対策は休職・離職する従業員の数を減らすだけでなく、職場の活力向上につながる効果をもたらすのです。また、集中力の低下による重大事故の発生を避けるような、リスクマネジメントにもつながります。

メンタルヘルス専門の部門を立ち上げる企業もありますが、一般的には、専門医の支援を受けながら、人事・労務や衛生委員会を中心に活動計画の立案と実行がおこなわれています。

2015年からは「ストレスチェック」の実施が事業者の義務となりました。これは、働く人が自分のストレスの程度を把握するための検査です。アンケートに答え、それをもとに医師の診断を受ける「心の健康診断」のようなものです。

メンタルヘルス対策のポイントと留意点

職場でのメンタルヘルス対策は一部門に任せておけばいいというものではありません。そもそも働く私たち自身にとって重要な問題なのですから。

メンタルヘルス対策は、当事者・管理者・保健スタッフ・外部機関のそれぞれが連携しながら、「不調にならないための取り組み」「早期発見の仕組み作り」「病気になってしまった際の回復支援」という各段階において進めることが重要です。

メンタルヘルスに関する企業の対策事例

ヤフーはメンタルヘルス対策に積極的な企業の一つです。執行役員がCCO(Chief Conditioning officer)を兼任しており、「すべての働く人が心身ともにグッドコンディションで業務に取り組むこと」を目指しています。

具体的には、「グッドコンディション推進室」のもと、社員食堂とのタイアップによる栄養バランスのとれたメニューの提供や、Web上で予約可能な健康相談の実施といった施策がおこなわれています。

また、上司と週一回対話をする、「1on1ミーティング」の制度を設けており、不調をすばやく察知して早めに専門家に相談する事ができるようになっています。