昨年6月、シングル「トマレのススメ」でアーティストデビューを果たした声優・駒形友梨。今年2月には1stワンマンライブも成功させ、このたび2ndミニアルバム『Indigo』をリリースする。

  • 駒形友梨(こまがたゆり)。1991年8月25日生まれ。東京都出身。スペースクラフト・エンタテインメント所属。主な出演は『アイドルマスター ミリオンライブ!』高山紗代子役、『まんがーる!』鳥井あき役、『未確認で進行形』三峰白雪役など。
    撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

タイトルどおり青や水、さらにはリリース時期の夏を連想させる楽曲揃いではありながら、いずれも駒形らしいポップなナンバーとなっており、サウンドと歌声との相性も良好だ。今回はそのリリースにあたってのインタビューを敢行。1stワンマンを通じての心境の変化なども含めて、語ってもらった。

■ファンの温かさを感じ、信頼を得た1stワンマン

――2月の1stワンマンを経て、歌うことに対しての意識に変化はありましたか?

ワンマンまでは、自分ひとりをみなさんが観に来てくれるから「自分が、みなさんを楽しませないと!」って思っていたんですよ。でもみなさんがいちばん持って帰りたいものって何かな? と考えると、私はダンスがすごく踊れるわけでもないし、お喋りが上手なわけでもない。やっぱり私の歌を聴きにきていただいていると思うんです。だからとにかく歌に没入して集中して、ひとつでも多くの表現を歌に乗せていく。それが私のスタイルみたいになっていくんじゃないかな? ……っていうのは、ライブ後に考えました。

――それも、実際にライブを経験したからこそ生まれた考え

はい。コンテンツのライブは、踊りも交えて「みんなで盛り上がる」もので。それ自体すごく楽しいし、みなさんもそれを求めて来ているので、自分のワンマンについても「そうしなきゃ」と思っていたんです。でも実際にやってみた自分のワンマンと今まで出演してきたライブを比べ、自分の想いを整理していった結果、今は「別に、そこに強く意識しなくてもいいのかな?」っていう気持ちのほうに傾いている、という感じですね。

――ライブに対する先入観みたいなものが取っ払われた。

そうですね。そう思えるぐらい、1stワンマンでのみなさんの表情が柔らかくて、空気も温かくて……勝手かもしれないですけど、何に対しても「いいよ」って言っていただけるくらいの穏やかさを感じたんです。だからこれからはもっと、自分のやりたいことをワガママにやってみるのもアリかなって思いました。

――そのワンマンを経てリリースされる『Indigo』ですが、製作にあたってのコンセプトはどのようなものなのでしょう?

最初の話し合いでは、どこか1stミニアルバム『〔CORE〕』の延長線上にあるようなイメージで作れたらいいね、っていう話をしていて。発売時期もあって、「『〔CORE〕』が秋冬コレクションだとしたら、『Indigo』は春夏コレクション」みたいなイメージで走り出しました。

――収録曲それぞれについてもリクエストをされた?

はい。夏のアルバムということで、「夏っぽい、ドライブに似合う曲をぜひ1曲」というお話をさせていただいて。そのほかにも柔らかい雰囲気の曲とか、ちょっと幻想的な曲とか。あとはバラードとか、そういうイメージを何個か挙げさせていただいて。以前は「提示されたものに対して意見を言う」という感じだったんですけど、今回は「こういうのがやりたいです」っていう私のイメージをもとに曲を集めていただいたり、「こういう世界観がいいです」って歌詞のリクエストをして。ありがたいことにそういうふうに私の意見をもとに考えていただく機会が多かったので、前作以上に私の考えや想いがすごく反映されたアルバムになっていると思います。

■リード曲「ララルハレルヤ」には、激しくはないものの夏らしいワクワクさが

――そのなかで、ドライブ曲というとリード曲の「ララルハレルヤ」になると思います。サウンドもポップですが、歌詞を読むとちょっと悲しい部分があったりもしますよね。

そうなんです。歌詞を結城アイラさんに書いていただいたんですけど、「普段お仕事とかをすごく頑張ってやっているけど、日々のストレスとかモヤモヤが溜まりに溜まって耐えきれなくなって、思い切ってひとりで遠くにドライブに出かける、っていう感じで書いてください」ってお願いしたんですよ。しかもこの曲ができる前に決まっていたアルバムタイトルも、ちゃんと入れてくださったのも、すごくうれしかったです。

――サウンド的にはいかがでしたか?

夏といっても「遊ぶぜイェーイ!」みたいなハイテンション過ぎる感じではなくて、テンポ感もありながらちょっと懐かしい感じもありつつ、激しくはないけど心がワクワクするようなメロディラインの曲なので、そこがすごく気に入ったんです。

――少し『〔CORE〕』の「クロックワイズ」もほうふつとさせるような曲調で。

たしかに! やっぱり私の曲たちは、どこかちょっとこう懐かしいような感じがしますよね。あと、「クロックワイズ」も「ララルハレルヤ」も、強い女性が主人公なんですよ。なので、強い女性なんだけどその弱い部分を歌っている、っていう共通点もあるかもしれません。

――レコーディングはいかがでしたか?

自分からも歌い方を提示しつつ、それよりも大げさに、それぞれの言葉が立つような歌い方というか……言ってしまえば「ちょっとかわいらしく歌ってみてください」というディレクションをいただいたんですよ。夏のウキウキするような気持ちのノリのいい曲なので、そういうニュアンスも多めに入っていると思います。

――ちなみに、この曲もなんですけど、今回は結城アイラさんが4曲も作詞をされていて。

そうなんです。今回、作詞は私かアイラさんかということで、女性しか歌詞を書いてないんです。より女性に共感していただきやすいんじゃないかなって思いますし、男性の方にも「女の人ってこんなこと考えてるんだ」みたいに感じ取れるところもあるんじゃないかなと思って。これはこれで、いいアプローチだなって思いましたね。