JR貨物は17日、リアルタイムに機関車の状態を監視し、そのデータを蓄積・解析することにより、機関車の保守コストの削減と安定輸送の向上を図ることを目的に「リモートモニタリングサービス」を導入すると発表した。

  • 交流電気機関車EH800形

導入にあたり、2017年から機関車3両を用いた試験運用を行っており、今般、技術的な目途が立ったとのこと。今後は機関車の故障予測などの精度向上を図るため、さらなる車両データの収集と分析が必要となることから、北海道新幹線との共用区間を走行するEH800形式交流電気機関車全車両に、東芝インフラシステムズが開発した「リモートモニタリングサービス」を導入する。

「リモートモニタリングサービス」では、機関車の運転席に設置したIoT端末から車両の状態のデータを自動的に地上サーバに伝送・蓄積することにより、リアルタイムに機関車の状態監視を行う。伝送されたデータはWEBブラウザを用いて見える化し、インターネットがつながる環境であればどこでもPC・タブレット等で監視可能となるほか、そのデータを蓄積することにより、故障予測等のさまざまな活用が可能となる。

  • 「リモートモニタリングサービス」システム概要

効果としては、これまでメモリーカードに蓄積して人が機関車から持ち帰っていた運転操作のデータをサーバに自動的かつリアルタイムに伝送することで、データの抽出にかかる作業時間を短縮し、事故原因解析の迅速化を図ることができるという。

また、新たに機関車の機器・設備の状態のデータを蓄積し、そのデータを解析することにより、故障の予測や機器の劣化把握を行い、車両故障の削減や復旧までの時間短縮による安定輸送の向上を図る。

今後のスケジュールとしては、2019年度末までにEH800形20両すべてに導入した後、2020年度から故障予測の検証分析を開始し、効果検証を実施。その結果を踏まえ、他形式機関車への展開を検討する。