「夢のマイホームをそろそろ欲しい」と思っても、これから子どもの教育費もかかりますし、老後の蓄えも必要となると、多額の住宅ローン借り入れには不安が伴って当然です。

しかし住宅ローンの借り入れは多額でも、上手に借り入れをすれば、住まいという資産が残る点が他の遊興費などと違う点です。

  • 失敗しない住宅ローンの組み方とは?

    失敗しない住宅ローンの組み方とは?

それでは「上手に借り入れする」とはどのようなことなのでしょうか。注意しなければならない7つのポイントをご紹介します。

 1:自分たちの生活ベースを知る

気になるのは「いくら借りられるか」「借りたとして返済していけるのか」でしょう。それぞれの家庭には、それぞれの事情や計画があるはずですので、一般論は通用しません。バリバリと高給を得て働く妻のいる家庭と専業主婦の家庭とでは、まったく異なるでしょう。昔は一億総中流で右へ倣えでもよかったのですが、今その基準で考えると失敗する危険の方が大きいでしょう。

最初に行うのは、現在の自分たちの余力がどれほどあるのかの検証です。簡単に自分たちの生活ベースと現在の余力を知るには1カ月限定の徹底節約が最適です。頭金を増やすことにもつながり、シェイプアップした家計が定着すれば、返済中のリスクも低減できます。多額の借り入れをしながら、生活を広げたままなのは考え物です。

家計簿をつけていない家庭でも1カ月間だけ頑張ってみましよう。仕分け不要の家計簿やレシートに無駄買いと思った項目に赤丸して集計するだけなど、簡単に記帳できる方法がいろいろあります。

1カ月我慢して実行してみると、日々の生活がいかに広がっているかがわかるはずです。次の月は先送りしたものを購入するか、それとも必要なかったかを検証しながら極力継続してみましょう。下記の表は、徹底節約するための考え方の指標と目標値や実態数値を記入するものです。参考にしてください。

  • 短期間節約目標設定

    短期間節約目標設定

 2:生活スタイルに見合った返済方法を選択する

低金利の時代は固定金利、高金利の時代は変動金利を選択するのが基本的な考え方です。旧住宅金融公庫の金利が5.5%で、民間の金利は7~8%という時代もありました。世界的に見て、経済が安定する住宅ローンの適正金利は6%程度だそうです。

したがって、現在の低金利が続いている間は固定金利を選択することをお勧めします。確かに変動金利はびっくりするくらい低金利ですが、変動金利で借り入れる場合は3%程度の金利でも返済可能な計画としてください。実際の返済額との差額はプールして、繰り上げ返済などに活用すればリスクも少なくなります。

とは言っても世の中にはいろいろなタイプの夫婦が存在します。比較的高所得の若い共働き夫婦が、子どもの教育費が嵩む15年後を見越して安い変動金利で借り入れて、早期完済を目指すのであれば変動金利の選択も考えられます。

下記はタイプ別の返済パターン一例です。扱っている金融機関は少なく、当初の返済は高額ですが、次第に月々の返済額が少なくなっていき、総返済額も少なく抑えられる「元金均等払い」も検討の余地ありです。

  • タイプ別返済パターン

    タイプ別返済パターン

 3:万一の場合の対処方法を考えておく

何が起きるかわからないのが人生です。想定外のことが起きるかもしれません。転勤、病気やケガ、失業など、考えるケースにどう対処するかあらかじめ考えておきましょう。不測の事態が起きた時は、早い対応が損失を少なくします。あらかじめ想定しておけば、素早く対処できます。

収入を増やして、少しでも早く貯蓄額を増やす工夫も大切です。1~2年やり過ごすだけの資金が貯まれば、何とか生活を立て直すこともできるかと思います。なによりも住まいは資産ですので、不動産としての資産価値が目減りしない物件であることが大切です。物件価格が下がり、売却しても住宅ローンを完済できない事態は避けなければなりません。こうした事態はバブル後に多く見られました。駅近くなどの市場方価値の高い物件であることも重要な要素です。

私はマンションを購入した当時、ファイナンシャルプランナーの知識など皆無でしたが、近くの不動産屋さんで、もし賃貸物件として貸し出した場合の賃貸価格をリサーチしました。万一の場合に対処がしやすい駅近物件を選んだことと、貸した時の家賃をリサーチすることによって、何とか不測の事態に対処できそうだと思って安心したものです。

 4:返済は60歳までに完済する

「これからは70歳定年」とも言われ始めている中、「60歳ではなく70歳でもよいではないか」と思われるかもしれません。ただ、70歳まで働くとなっても、一旦60歳で定年となり、給与を下げて再雇用となるのが一般的でしょう。また年齢が高くなると頑張りがきかなかったり、病気にもなりやすくなったります。

若い世代には、なかなか老後の状態を想像するのは難しいかもしれませんが、60歳までにローンの完済やリフォームなど、お金のかかるものをすべて済ませて、60歳から75歳程度までは、必要最小限の収入だけを確保し、ゆったりと過ごすのが年齢相応に思います。

75歳まではそれまでに蓄えた資産を減らさずに維持することが大切です。75歳以降にそれまでに蓄えた資産を活用していけば、そうそう老後の破たんは考えにくくなります。もちろん、ローンを完済した住まいも資産として活用対象となります。

但し40歳の方が60歳までに完済するとなると、20年ローンとなります。それでも返せる範囲であったとしても、月々の返済額が大きいと不測の事態が生じた時の対処がより大変になります。一旦65歳や70歳返済として借り入れて、繰り上げ返済しながら60歳完済を目指してもよいと思います。