Visual Studioエンジニアリングチームは7月11日(米国時間)、「Clang/LLVM Support for MSBuild Projects|C++ Team Blog」において、「Visual Studio 2019 version 16.2 Preview 3」にMSBuildをClang/LLVMでビルドする機能を追加したと伝えた。CMakeに対するClang/LLVMサポートはすでに導入されていたが、今回のバージョンでClang/LLVMの適用対象をMSBuildまで広げたことになる。

Microsoftは多くの場合でMSVCコンパイラを使用することを推奨しているが、既にClangエクステンションに依存している場合などはClangを採用したほうがよいだろうと説明している。

今回のバージョンアップによってユーザーはWindowsおよびLinux向けの双方のプロジェクトにおいてMSBuildを使うことに加え、コンパイラとしてClang/LLVMを使用できるようになる。Visual Studioに同梱されるClangのバージョンはバージョン8.0.0へアップデートされている。

  • プラットフォームのツールセットから「LLVM (clang-cl)」を選択できるようになった - 資料: Visual Studioエンジニアリングチーム提供

    プラットフォームのツールセットから「LLVM (clang-cl)」を選択できるようになった - 資料: Visual Studioエンジニアリングチーム

Clangを利用するには「Desktop development with C++」ワークロードにおいて「C++ Clang Tools for Windows」にチェックを入れる必要がある。このチェックはデフォルトでは選択されていないため、手動で有効にする必要がある。既にClangをインストールしてあるなら、自動的にバージョン8.0.0へのアップデートが実施されると説明が掲載されている。同梱されていないClangを使用することも可能だが、Microsoftでは最新バージョンを維持するためにも同梱されているClangを使う方法を推奨している。

MSBuildプロジェクトでClang/LLVMを使うには、C++プロジェクトの作成時または既存のプロジェクトの編集時に、プラットフォームのツールセットとして「LLVM (clang-cl)」を選択すればよい。ツールセットとしてClangが表示されない場合にはインストールが実施されていないとしており、先に取り上げた方法でCLangをインストールするように求めている。

Clang/LLVMはコンパイル時に表示されるメッセージが理解しやすく開発者に人気がある。比較的後発のコンパイラインフラストラクチャであり、メインのビルドツールとして採用される動きが続いている。