1994年4月1日にスタートしたフジテレビ系情報番組『めざましテレビ』(毎週月~金曜 5:25~)が、きょう1日の放送で25周年を迎える。スタート当初は『ズームイン!!朝!』(日本テレビ)一強の中、エンタメ情報にも注力するという新基軸を打ち出し、徐々に支持を広げて裏番組にも大きな影響を与えた。

激しい視聴率競争の中で民放横並びトップに立った後、王座を明け渡した時期もあったが、2018年の同時間帯年間平均視聴率(6:10~8:00/第2部、ビデオリサーチ調べ・関東地区)は9.1%で1位を奪還し、再び息を吹き返した同番組。ゴールデン・プライム帯では苦戦の続くフジにおいて、長年にわたって支持を受ける背景を、渡邊貴チーフプロデューサーに聞いた――。

  • めざましファミリー

    『めざましテレビ』に出演する“めざましファミリー” (C)フジテレビ

■情報量の増加に対応

4年ぶりの民放同時間帯横並びトップなった背景について、渡邊CPは「以前は朝の番組でつらいニュースや事件はあまり見られなかったんですけど、今では情報量がすごく求められるようになったんです。そこで、話題のニュースをできるだけ盛り込めるように、企画もののコーナーを少し減らしながら、ニーズに対応したこともあると思います」と分析する。

一方で、16年4月からメインキャスターを務める永島優美アナウンサーの成長も見逃せない。「就任当初はまだ新人だし、(前任の)加藤(綾子)が卒業するのに合わせてポーンとメインに入ってきた感じがあったので、朝の顔が急に変わるというのは、視聴者からすると多少抵抗もあったと思うんです。でもそれから、彼女が吹っ切れて自分を出していくようになったんですよ。『朝は笑顔でいなきゃいけない』と思って発するコメントから、『本当に楽しい!』と心からの笑顔で発するコメントに変わった時期があって、そのあたりから番組に勢いが出てきました」という。朝の番組は1回のネタの強さだけでなく、日常的に見られるかの習慣が視聴率を左右することから、毎日登場するキャスターの影響は大きいのだ。

永島アナに変化が出てきたのは、『ホンマでっか!?TV』や『ダウンタウンなう』などバラエティ番組に出演し、その後『ジャンクSPORTS』のアシスタントに就任した頃からだそう。「今は何を言っても本当にスベらないんですよ。人柄の良さも画面を通して伝わるようになって、“きれい”な存在になったんです。そうすると、三宅(正治アナ)さんも軽部(真一アナ)さんも素敵な大人になってくる」と、他の出演者を引き立てる効果も果たしている。

『めざましテレビ』は、初代の大塚範一&八木亜希子時代から“お父さん&しっかりした長女”という設定を意識しており、それは現在の三宅&永島コンビにも継承。三宅アナについては「ニュースに対してどういう言葉で受けるのかというのは、ものすごく真剣に考えられています。先日の“バイトテロ”にも、お父さんのようにビシッと言ってくれて、そういうコメントが自然に出てくるのでありがたいです」と役割を担っている。

  • 三宅正治アナ(左)と永島優美アナ (C)フジテレビ

■伊野尾慧は欠かせない存在に

25年という長きにわたる中で、「きょうのわんこ」に代表されるような“朝の癒やし”から“情報を届ける”ことに重点が移ってきたというが、「紙兎ロペ」や「めざましジャンケン」のような新たなコーナーも導入してきた。「めざましジャンケン」のスタート後、裏番組でもデータ放送を活用したゲームやクイズなどを展開しているが、「そういうのは制作にすごく時間がかかる上に、ニュースの情報量が落ちてしまうんです。だから“じゃんけん”はすごい発明なんですよ」と話す。

「めざましジャンケン」は、3代目の角谷公英CP時代に導入したものだが、渡邊CPの担当後、昨年6月にはエンタメコーナーに、第一線で活躍するアーティストや俳優、芸人などがキャスターを務める月替りの「マンスリープレゼンター」を新設した。これについては「視聴率にダイレクトに跳ね返っているかは未知数なんですが、12月に宮野真守さんが務めてくれたときに、ツイッターで番組史上最高のRT数を記録したんです。今までも宮野さんは取材で紹介していて、そのたびに少しはバズるんですが、やっぱりVTRで登場するのと生のスタジオに登場するのがこうも違うのかと。まだまだ本質の意味でアーティストの魅力を伝えていなかったんだという発見がありました」と、思わぬ収穫があったそうだ。

渡邊貴チーフプロデューサー

3月は、4人組バンド・sumikaの片岡健太が担当したが、「若い子はsumikaの曲を聴いてますけど、上の世代は決してそうではないですよね。でも、『めざましテレビ』は違う世代が一緒に見る番組なので、『この人誰?』という登場感と発見感があるんですよ。それって、番組から新しい何かを伝えられたことになるので、情報番組にとってはとてもうれしいことなんです」と手応えも。また、「エンタメの専門家は、やっぱり音楽や芸や演技を作ってる人であり、その人たちの言葉に上回るものはないというもどかしい思いがあったので、こういう形で伝えられるのはいいなと思いました」と狙いを明かした。

また、16年4月からは、木曜パーソナリティとして、Hey! Say! JUMPの伊野尾慧が加入。アイドルがレギュラー出演するのは番組にとって初の試みだったが、「社会の動きに敏感で、取材を本当に楽しんでいます」とのこと。「最近では社会問題を取材してもらうようになったんですが、僕らが普通に取材しても出てこないような情報を引き出してくれるんですよ。障害者雇用について企業を取材してもらったら、取材先も本音ですごく語ってくれて、時間は短かったのですがいい取材でした。彼自身もいろいろ勉強してるんだと思うんですけど、本当に番組にとって欠かせない存在になってますね」と評価する。