特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』(2018年)から派生した『仮面ライダージオウ スピンオフ RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』(全3話)の第1話が、映像配信サービス「ビデオパス」にて2019年3月31日(日)より配信開始される。

萩野崇(はぎの・たかし)。1973年生まれ。東京都出身。1991年に俳優デビュー後、1996年に『超光戦士シャンゼリオン』でシャンゼリオンに燦然(変身)する涼村暁を演じて評判となる。2002年『仮面ライダー龍騎』では、凶悪殺人犯の仮面ライダー王蛇/浅倉威を演じ、その鬼気迫る演技でテレビの前の子どもたちや特撮ファンを圧倒した。舞台、映画、テレビドラマ、ビデオオリジナル映画などのほか、アニメやゲームでは声優業も務め、多彩に活躍を続けている。撮影:大塚素久(SYASYA)

マイナビニュースでは、『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』に登場する、『仮面ライダー龍騎』オリジナルキャストそれぞれに単独インタビューを敢行し、テレビシリーズ終了から16年ぶりに映像作品として"復活"を遂げた『龍騎』ワールドにふたたび出演するにあたっての心境や、新作にかける意気込みを訊いた。

今回は、『仮面ライダー龍騎』ならびにすべての仮面ライダーシリーズの中でも「最凶」の呼び声高い、仮面ライダー王蛇/浅倉威を演じた萩野崇が登場。常にイライラをかかえ、自分の闘争心を満たすため強い相手に向かっていく凶暴な「悪の仮面ライダー」である王蛇/浅倉は、最新スピンオフドラマではどのような活躍を見せるのだろうか。『龍騎』放送当時から10年以上の時を経て、凄みと渋味を増した萩野に浅倉"復活"にかける思いを語ってもらった。

――マイナビニュースでは萩野さんに、2018年6月に「CSM Vバックル」が商品化されるタイミングで仮面ライダーゾルダ/北岡秀一役の小田井涼平さんとの対談インタビューを組ませていただきました。そのときには「久しぶりに『龍騎』キャストで集まって何か面白いことをやりたい」とお話されていましたが、その段階では、まさか『仮面ライダージオウ』のスピンオフドラマとして『龍騎』が復活するとは想像もしていませんでした。萩野さん的には、今回のスピンオフドラマ決定について、どんな思いを抱かれましたか。

それはもう、ただ「すごいな」としか思いませんでしたね。昨年のインタビューで涼平くんと久しぶりに会って、当時の思い出話をたくさんしましたし、また何かやれたらいいね、とも話しましたけれど、こうして映像作品となって復活できたのは、やっぱり『龍騎』のファンでいてくれた多くの方たちの後押しがあってこそ、だと思います。改めてファンのみなさんに感謝します。

――仮面ライダー王蛇/浅倉威としては、2017年2月に「東映特撮ファンクラブ」オリジナル作品として配信された『仮面ライダーブレイブ ~Surviveせよ!復活のビーストライダー・スクワッド~』で復活を遂げ、仮面ライダーブレイブ/鏡飛彩(演:瀬戸利樹)と激闘を展開して話題を集めました。

あのときも浅倉にスポットを当てていただいて、とても幸せなことだと思っていました。さらに今回のスピンオフドラマでは、『龍騎』のオリジナルキャストがそろっているということに加えて、井上敏樹さんが脚本を書かれていること、白倉(伸一郎)さんと武部(直美)さんがプロデューサーをされていること、そして当時助監督だった柴崎(貴行※柴崎監督の崎は立つ崎が正式表記)さんが監督を務めていること、これらを聞いて感慨深いものがありました。長く役者を続けていると、こんな"ご褒美"があるのかと、心の底からうれしく思いました。

――井上敏樹さんが書かれた脚本というのが、またショッキングな内容がたくさん含まれていて、ものすごく飛ばしていますね。

そうですね! 全スタッフ、全キャストがあの"めくるめく"シーンを読んで、一瞬"止まった"と思います(笑)。僕自身は、これはこれで、うわあオモロいな!と。井上さんの脚本は大好きですよ。今回のストーリーも序盤に張られた伏線が終盤で見事に回収されていきますし、決して派手なお話ではありませんが、仮面ライダーをめぐる人間関係の変化など、濃密なドラマでお客さんを引き込んでいくはずです。

――16年前のテレビシリーズで浅倉は、北岡を執拗に狙い、激しい憎悪を抱いていました。

確かに、王蛇/浅倉はゾルダ/北岡と対になっていて、両者の因縁や憎しみがテレビシリーズで描かれました。ですから、今回は北岡がいないというところに関しては驚きました。『龍騎』の世界観としては、ゾルダの存在って大きいじゃないですか。そこで吾郎ちゃん(由良吾郎/演:弓削智久)がどんな風に出てきて、浅倉や他の仮面ライダーと接していくのか。そこもとても楽しみにしていました。浅倉としては、お互いに"憎悪"をぶつけあってきた北岡に対して、特別な感情を抱いているはずなんです。そんな北岡が不在のまま、吾郎ちゃんが浅倉に接近してくる。今回のスピンオフドラマでは、この場にいない北岡をめぐって、浅倉と吾郎がどんな動きをするのか、そして2人の間にどんな感情が生まれるのか、に注目してほしいですね。

――浅倉のトレードマークというべき「蛇革のジャケット」を着ていらっしゃいますが、あれは当時の衣装なのですか?

ずっと同じ、自前の蛇革ジャケットです。今回はテレビシリーズから17年の歳月が経っている世界観ですから、「昔の衣装のままになるとは限りませんが、一応持ってきてください」と武部さんから言われていたんです。別案として、蛇革ではなくヘビ柄のジャケットも持っていきましたけれど、昔の蛇革を着て衣装合わせをしたとき柴崎監督が「ああ、うん……」ってうなずいたのを見まして、「いま、うなずきましたね? じゃあこれで行きますか」ということで決まりました。ただ、前回の『仮面ライダーブレイブ』での浅倉は素肌にジャケットを着ていましたが、今回は下に一枚、着させてもらっています。僕の人間的深みがこういうところに出ていますね。これで浅倉もいよいよ、常識というものを学んでね……ガハハハ(笑)!