NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(毎週日曜20:00~)のチーフ演出を務める井上剛氏が、自身が演出を手掛けた24日放送の第8回「敵は幾万」を前にインタビューに応じ、2週連続で1ケタと苦戦している視聴率について言及した。

  • いだてん、中村勘九郎

    中村勘九郎演じる金栗四三(第8回の場面写真)

宮藤官九郎のオリジナル脚本によるこのドラマは、日本が初参加した1912年のストックホルム五輪から1964年の東京五輪までの知られざる歴史を、ユーモアを交えて描く意欲作。前半で主演を務める中村勘九郎が、日本でオリンピックに初参加したマラソン選手・金栗四三役を、中盤から主演をバトンタッチする阿部サダヲが、1964年の東京オリンピック招致に活躍した田畑政治役を演じる。

これまでの大河のイメージにとらわれない斬新なドラマで、宮藤官九郎脚本の面白さや豪華俳優陣の迫真の演技が話題となっているが、視聴率は苦戦中。初回は前作の『西郷どん』の超える15.5%スタートとなったが、第2回は12.0%、第3回は13.2%、第4回は11.6%、第5回は10.2%、そして、2月10日放送の第6回で9.9%と1ケタになり、2月17日放送の第7回は9.5%と、2週連続で1ケタとなった(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

井上氏は「ずっとテレビドラマのディレクターとしてやってきていますから、視聴率は当然気にはなっている」とした上で、「これまでの番組でも視聴率が高かろうが低かろうが、作品を良くすることしか現場の人間は考えない。あまりそこに気をとられず、とにかくより良きものにする、楽しいドラマを作ることが最初のミッションなので、そこに邁進している」と現場を代表する発言。「数字を上げることばかりにとらわれるのではなく、すごい俳優陣がこれだけ集まってもらって、すごいスタッフが集まってやっているので、一つずつ自分たちを信じて面白いと思うものを出し続けていけたら。そこは揺らいでないです」と力強く語った。

24日放送の第8回「敵は幾万」は、オリンピックに向けて金栗四三(中村勘九郎)と三島弥彦(生田斗真)がストックホルムに旅立つ回。井上氏は「お金がない四三と、家族に相手にされない弥彦が、その問題を解決して旅立つのですが、まずは一つのピークだと思います。感動する回になっていると思います」と語り、「驚くことがたくさんあります」とも話した。

  • チーフ演出の井上剛氏
■プロフィール
井上剛(いのうえつよし)
熊本県出身のテレビディレクター、演出家。2013年に連続テレビ小説『あまちゃん』でチーフ演出を務め、東京ドラマアウォード2013 演出賞を受賞。2017年、『トットてれび』で第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。大河ドラマの演出は『利家とまつ~加賀百万石物語~』に続いて2本目だが、チーフ演出は初となった。

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