『おっさんずラブ』で旋風を巻き起こし、現在放送中の『私のおじさん~WATAOJI~』(毎週金曜23:15~ ※一部地域除く)を手がけるテレビ朝日の貴島彩理プロデューサー。『家売るオンナ』で鮮烈な連ドラデビューを果たし、現在続編の『家売るオンナの逆襲』(毎週水曜22:00~)を手がける日本テレビの小田玲奈プロデューサー。今、ドラマ界で最も注目を集める2人の女性プロデューサーが、初対面を果たした。

ともにバラエティ制作出身で、エランドール賞のプロデューサー奨励賞、『新春テレビ放談』(NHK)出演といった共通点を持つ2人が、企画の着想、制作秘話などを語り尽くす対談インタビュー。後編では、SNSとの向き合いや続編の描き方などに話題が及ぶ中、局を超えた『おっさんずラブ』と『家売るオンナの逆襲』のコラボレーションが正式に成立するという展開に…!?

※前編は、こちら

  • テレビ朝日の貴島彩理プロデューサーと日本テレビの小田玲奈プロデューサー

    テレビ朝日の貴島彩理プロデューサー(左)と日本テレビの小田玲奈プロデューサー

■「妖怪Twitterババア」現る

――まだまだ男社会と言われるテレビ業界ですが、お2人が担当する現場で女性進出は進んでいますか?

小田:日テレは女性が多いですね。女性の監督もいますし、カメラや音声など技術さんは男性が多いですが、アシスタントには女の子もいますしね。

貴島:女性進出が進むというか、すでに当たり前という印象です。テレビ朝日のドラマ部は内山聖子さんや三輪祐見子さんという女性のスタープロデューサーがガンガン引っ張ってくださっていて、後輩たちはそれに続け!みたいなところもあると思います。

――プロデューサーというと、チームを統率しているイメージですが…

小田:私は「ついて来い!」って感じじゃないですよ。だって、現場のみんなが私のために働いているなんてこれっぽっちも思わないですもん。みんなご飯食べるために働いてる、その現場のPが私というだけで。でも、だからこそ撮影現場で笑いが起きてたりすると、「う~ん幸せ」って思いますね。

貴島:一緒です! 私も、みんなが楽しそうにやっているのが一番うれしいなぁと思います。やっぱり現場がギスギスしてると絶対画面から伝わると思うので、みんながキャッキャ遊んでいるくらいの方がいいなって思います。

――小田さんは『人生が変わる1分間の深イイ話』の密着で、脚本の大石静先生に「注文の多いプロデューサーだ」と言われていましたが、貴島さんはいかがですか?

貴島:私も監督や脚本家に「お前は頑固だな」ってよく言われます…(笑)。でもそれは、そういう風にいさせてもらえる周りのおかげもあるというか。例えば脚本打ち合わせで、自分のアイデアを言うと「そんな展開ありえないよ」「セリフがクサすぎて見たくない」とか結構バッサリ切られることもめちゃめちゃ多くて(笑)。でも、それがうれしいです。「え、面白くないのー? じゃあ考え直しますぅ(涙)」みたいな感じで(笑)。私が頑固だから従う…とかではなくて、面白くないときはちゃんと正直に言ってくれる仲間がいるから、自由に発言できるし、とても幸せな環境だなと思います。

小田:きっとこういう人柄だから言いやすいんだと思いますよ。役者さんたちも「この現場だったらこれくらいのことを気にせず言っていいんだ」ってなるんですよ。私も、Twitter用の写真を撮らなきゃいけないんですけど、あまりにも撮りに来るから「妖怪Twitterババア」って呼ばれるようになって(笑)

貴島:「妖怪Twitterババア」(爆笑)

■「ふどうさんずラブ」を見た貴島Pは…

――貴島さんもSNS用の写真を撮影されたりするんですか?

貴島:撮りますね。あまりにも私が撮るから、助監督さんにインカムで「貴島さーん! 今撮り時ですよー」って呼ばれて走ってったり(笑)。メイクさんやAP(アシスタントプロデューサー)さんも協力してくれて、たまにキャスト自身も撮って送ってくれたり。でも、SNSって難しいですよね。

小田:本当に難しい! でもすごく大事だと思います。『おっさんずラブ』の「武蔵の部屋」を研究して実感したのは、いかにPRっぽくしないかということ。

――自然発生的な盛り上がりが大事ですよね。

小田:そうなんです。『家売るオンナの逆襲』でもSNSを使ってPRをしていますが、TwitterはPR用のコンテンツ、インスタは「白洲美加の世界」という白洲美加(イモトアヤコ)目線でイケメンを撮りまくるというもの、LINEは登場人物のAIたちと会話できるものと、棲み分けています。

貴島:TikTokで「GO!」っていうのもやってますよね(笑)

小田:それに加えて、最近はYouTube動画も作っています。ダメダメ新入社員の鍵村(草川拓弥)が作っている設定の「鍵ちゃんねる」。それは、1話で鍵村がYouTuberをやってるというシーンを作ったら、草川君のファンの人から「本当にやってほしい」っていう意見が来て、じゃあ作ろう!ってなったんです。今日も草川君、撮影の合間に「鍵ちゃんねる」撮ってますから(笑)

貴島:すごい! ファンの声で動くというのが、カッコいいです!

小田:あっ、そうそう! 足立(千葉雄大)と留守堂(松田翔太)の2人の関係に注目してくれている人もいて、「あの2人の名場面をまとめてほしい」という意見もたくさん来たので、ホームページにスペシャルコンテンツを作りました。『おっさんずラブ』にかけて「ふどうさんずラブ」っていうタイトルで(笑)。ほらこれ。

  • 千葉雄大(左)と松田翔太=『家売るオンナの逆襲』ホームページ「ふどうさんずラブ」より (C)NTV

貴島:(ホームページを見て)あー本当だー!! ロゴも一緒(笑)

――許可もらってなかったんですね(笑)

小田:今回の対談があるからきっと許してくれるだろうと思って(笑)。『新春テレビ放談』(NHK)でも、貴島さんが「局の垣根を越えて色々やりたい」って話をしていたから…。

貴島:私はうれしいです! 『家売るオンナ』のファンなので、楽しく拝見させていただきます!

――事後承諾でコラボ成立ですね(笑)

小田:ありがとうございます(笑)