キヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R」用のRFレンズは、現在までに4本が発表されています。それらの交換レンズ群は描写性能を重視した高価な「Lレンズ」ばかり……と思われがちですが、実はリーズナブルでコンパクトな単焦点レンズもあるのです。その名は「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」。最大撮影倍率が0.5倍で小型軽量のハーフマクロレンズです。

  • キヤノンが2018年11月末に発売したRFマウントの単焦点レンズ「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」。実売価格は税込み6万8000円前後

レンズはかなりコンパクトな設計ながら、レンズの光学式手ぶれ補正機構とEOS RのデュアルセンシングISにより、手ぶれ補正の効果は5段分を誇ります。マクロ撮影時に有効なハイブリッドISも搭載し、オールマイティーに活躍できるワイドレンズに仕上がっています。

小型軽量ながら優れた描写、手ぶれ補正も満足

レンズ構成は9群11枚、絞り羽根は9枚で円形絞りを実現。描写性能やボケの表現も満足できました。重量は305gなので、EOS Rに常時装着しながら歩いても気にならないサイズ感がいいですね。

  • EOS Rに装着したところ。総重量は約965gで、1kgを切る軽さで持ち歩けるのが魅力

EOS Rの1本目の交換レンズは標準ズーム「RF24-105mm F4L IS USM」(実売価格は税込み15万円前後)が定番ですが、より軽快に使える明るい単焦点レンズが欲しい!という人はこちらもオススメといえます。

  • このレンズはマクロレンズという位置づけですが、もちろんスナップや風景などマクロ以外でも使えます。35mmという広角レンズは自然なパースペクティブで、さまざまな被写体の撮影に向いています。晩秋の井の頭公園を写した1枚ですが、素直な描写だと感じました(ISO100、1/320秒、F5.0)

  • 開放F1.8という明るさなので、広角レンズといえども豊かなボケ味を堪能できます。ムシに食われた葉の穴にフォーカスして絞り開放で撮影したところ、美しいボケ味が得られました。バリアングル液晶のあるEOS Rならば、このような低い位置での撮影も楽チンです(ISO100、1/2500秒、F1.8、-1補正)

  • とある洋館の部屋を撮影したカットです。超広角ではないのでゆがみが少なく、見た感じに近い描写で落ち着いた絵となりました。やや色づいた午後の日射しもしっかり写し取ってくれました(ISO400、1/80秒、F2.8、+1.3補正)

  • 洋館にあったアンティークな椅子の背もたれをクローズアップ。35mmという焦点距離のワイドマクロは、ズームレンズにはない新鮮な楽しみを提供してくれます。ハイブリッドISのおかげで、手ぶれの心配なくシャッターが切れました(ISO320、1/80秒、F2.8、-1補正)

  • ミラーレスでもLレンズは高価なので、EOS Rの最初の1本として好適なレンズです。Lレンズでなくても十分納得の写りをしてくれますし、何より明るいのが魅力。マクロなのでグッと被写体に寄れますし、優しくそつのない写りはどの被写体にもマッチします(ISO160、1/60秒、F2.8、-0.7補正)

  • 洋館の門柱にあった照明にググッと寄ってシャッターを切りました。絞り開放はF1.8なので、背景が上品にボケてくれました。オートフォーカスもまずまずのスピードで、風景やスナップ、人物撮影でも活躍してくれそうです(ISO100、1/1250秒、F1.8、+1.3補正)

  • F1.8という明るさは大きな武器になります。高感度に強いEOS Rならば、スピードライトを使うことなく手持ちでさまざまな被写体をきれいに残せます。夜の浅草でのカットですが、絞り開放でも細かい描写を見せてくれました(ISO400、1/80秒、F1.8、-1補正)

  • 35mmという画角は、寄れば標準レンズに、引けば広角レンズにと、フォトグラファーの意図次第で印象を変えやすい長さといえます。このレンズは軽量コンパクトなので、EOS Rの機動力を大いに活かせる頼もしいパートナーとなるでしょう(ISO400、1/60秒、F1.8、-0.7補正)