現在公開中の映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』(監督:山口恭平)は、現在放送中の『仮面ライダージオウ』と2018年8月に放送終了した『仮面ライダービルド』が共演を果たすと共に、『仮面ライダークウガ』(2000年)から始まる「平成仮面ライダー」の主役ライダーたちが全集結して強大な敵に挑むという、まさに平成仮面ライダーシリーズの集大成的な作品となった。

大森敬仁(おおもり・たかひと)。1980年生まれ。愛媛県出身。2003年に東映入社後、2004年『はぐれ刑事純情派(17シーズン)』のプロデューサー補を務め、2008年『仮面ライダーキバ』よりプロデューサーとなる。2013年『獣電戦隊キョウリュウジャー』、2014年『仮面ライダードライブ』、2016年『仮面ライダーエグゼイド』、2017年『仮面ライダービルド』ではチーフプロデューサーとして手腕をふるっている。撮影:大塚素久(SYASYA)

ここでは、『仮面ライダービルド』を手がけた大森敬仁プロデューサーにお話をうかがい、映画における『ビルド』側キャラクターの位置づけや、個性豊かなゲストのキャスティング秘話、そして1年間にわたってエキサイティングなストーリーを生み出し続けた『仮面ライダービルド』テレビシリーズ全体をふりかえっての感想を訊いた。

――映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の企画に、大森さんはどのように関わられていたのですか。

企画自体は白倉(伸一郎)が中心です。例年どおり、冬の映画は現行番組の『仮面ライダージオウ』がメインなのですが、『仮面ライダービルド』とのコラボという側面もありますので、自分が担当したのはその『ビルド』方面のこと全般ですね。今回は企画の立ち上がり方が特殊で、『ビルド』テレビシリーズの最終回の延長上にあるわけではないのですが、作っていく中で何か必要があれば『ビルド』について説明する、という感じでした。全体のお話作りに関しても、構造が時間モノというジオウ軸なので口を出していません。

――映画の中には『ビルド』の登場人物がメインになるシーンがありましたが、その際に大森さんから何か意見を出されたことはありますか。

ひとつだけあります。今回の映画が「虚構」と「現実」の世界を行き来して苦悩するヒーローを描く、というテーマに決まった際、仮面ライダービルド/桐生戦兎にとっては「現実」も「虚構」も問題にならないし、それをソウゴに伝えたい、と提案したことです。『ビルド』で戦兎は何度も「作られた偽りのヒーローだ」と呼ばれていましたから。テレビシリーズでの戦兎の"心情"を少々反映してもらったところがあります。

――昨年の『ビルド』と『エグゼイド』の共演映画『平成ジェネレーションズFINAL』では、まったく住む世界の異なる両者を共演させるために、パラレルワールド設定を用いて理論的につじつまを合わせる作業があり、そこが実に(物理学者が主人公の)『ビルド』的だと思いましたが、今回の映画ではあのような理由づけが行われるのでしょうか。

『ビルド』の最終回で戦兎たちが創り上げた「新世界」と映画での世界はまた違っているようですし、では『ジオウ』テレビシリーズの世界かというと、そうでもないという。しかし、映画を観る人にとっては、ある程度『ジオウ』と『ビルド』の内容を踏まえた世界観のほうが物語に入っていきやすいということで、最初は戦兎と万丈だけが仮面ライダーであることを覚えていて、他の人たちは記憶にないという、キャラクターの関係性だけを踏襲して始めたという感じです。映画では、テレビを観ているわれわれの現実世界に、ソウゴや戦兎たちをはじめとする「平成仮面ライダー」が来ているという世界なんです。

――それが「虚構」と「現実」の世界を行き来する~「仮面ライダーは実在しないけれど、人々の心の中に確かに存在する」というテーマにつながるんですね。

今回の映画は今までと違って「平成仮面ライダー20作記念」という冠がついているでしょう。白倉がその部分でずっと悩んでいたんです。なぜ20作記念なのかという意味合いを付けたいとのことで、何度か企画の打ち合わせをしましたが、結論としては「メタフィクションっぽくしないと、20作記念と呼べる作品にならないのではないか」というものでした。それは少し意外でもありましたが、面白くなる側面を持っていると思いました。

――大森さんが手がけられた今年の夏映画『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』のラストシーンですでにビルドとジオウが遭遇していますが、あのラストが今度の映画につながる……というアイデアがあったりしましたか?

いえ、あのときは「お祭り」っぽい映像を見せたいと思って、あまり設定にこだわらずに全ての平成仮面ライダーを出してみたんです。僕がぜんぶの平成ライダーを出したくて、白倉にお願いしました。本当は、ジオウと全平成ライダーはテレビシリーズであんな絡み方をしないと分かっていましたが、20作記念ライダーが来る「祭り」の前触れとしてやろう、と。ビルドが遭遇したジオウと、あの世界は何だったのか、それは皆さんの解釈にお任せします。

――ゲスト出演されているスーパータイムジャッカーのティード役・大東駿介さんの起用についてのお話を聞かせてください。

脚本打ち合わせ段階で、時間の行き来が自在にできて、20人の仮面ライダーをもてあそぶようなキャラクターだと感じました。これはあまり大人びた感じではないなと思い、20~30代の年齢層を想定しました。でも、この年代の役者さんって選ぶのが難しいんですよ。遊び心も芝居ごころもあり、最後にはラスボスとして君臨できるような人はいないかな?と探して、大東くんに行きつきました。けっこう荒唐無稽な役ですが、だからこそちゃんとお芝居のできる人にやってほしかったので、大東くんにお願いできてすごくよかったです。

――また、現在テレビで目にしない日はないほどの人気俳優の滝藤賢一さんがイマジンのフータロスの声を演じられるというのも、大きな話題を集めました。こちらのキャスティングについてはいかがですか。

映画に出てくるイマジンの声をどうしようかというのは、けっこう撮影が進んでいる段階でそんな話になりました(笑)。『仮面ライダー電王』に出てくる味方イマジンって、任侠映画みたいに「悪そうなんだけれど本当は心があたたかい奴」という描き方ができます。そんなイメージを狙って滝藤さんに声をかけてみたんです。滝藤さんは忙しいですから顔出しで出演してもらうのは難しい。でも声だけならやってもらえるかな、と思ってお尋ねしたらOKをもらったので、じゃあぜひに!って(笑)。滝藤さんはフータロスをすごく楽しんで演じてくださいましたし、僕たちもとても楽しかったです。