NECは12月12日、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、プラントなどの重要な社会インフラの安定運用を支援するAI技術「論理思考AI」を開発したと発表した。

  • 技術概要図

    技術概要図

運用対象の異常時に最適なリカバリープランを自動で提示、その根拠も合わせて提示するため、経験の浅い運用者でも手順の妥当性の判断が可能となり早期復旧を支援するという。

新技術は、論理推論技術(演繹法の1つ。「観測された状態」に対し、「AならばB」という「規則」群を繋いで、論理的な結論を引き出す)と、機械学習の一つであるシミュレーションを活用した強化学習技術(シミュレータなどの試行環境を活用して試行錯誤を繰り返すことで学習する機械学習技術の一種)を融合した技術。

まず、論理推論技術により、対象となるシステムのマニュアルや設計情報などの情報を繋ぎ合わせ、復旧に向けたリカバリープランを自動生成し、確度の高いものに絞り込み、次に絞り込んだリカバリープランに沿ってシミュレーション環境で試行錯誤しながら、最適な手順を学習する。膨大なトラブルケースにおける有望なリカバリープランを絞り込んだ上で学習することで、学習期間を年単位から数日に短縮することができたという。

新技術の特徴として「マニュアルなどの情報を活用した適切な運用手順の自動作成」と「目的達成のための適切な手順を人の知識との対応づけをしながら学習」の2点を挙げている。

運用手順の自動作成については、プラントなどの社会インフラにおいてマニュアルや運転規約などに記載されたリカバリープランや前提条件、設計情報などで定義されたシステムの挙動などから論理推論を用いて、正しいと思われるリカバリープランを絞り込む。これにより、シミュレーションで試行錯誤すべき手順の対象が絞り込めるため、手順のバリエーションが膨大な大規模・複雑なインフラに対しても、数日間で学習を可能としている。

人の知識との対応づけをしながらの学習に関しては、マニュアルなどに記載された条件から大きく外れない範囲で最適なリカバリープランを探索するように制約をかけながら学習することで、上述の性質の異なる2つの値の紐づけを実現。これにより、リカバリープランと、マニュアルなどに記載された情報をセットで提示できるため、リカバリープランの根拠を人が理解できるようになったという。

なお、両者はNECと2016年6月にNEC-産総研 人工知能連携研究室を設立しており、今回の技術は果の1つとなる。