絶滅危惧種のナガスクジラの生息数が増え、マウンテンゴリラも回復傾向にある、と国際自然保護連合(IUCN)がこのほど発表した。IUCNは絶滅危惧種を保全するための行動の成果が出たことを評価しつつ今後も保全への努力が重要、としている。

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    中央アフリカに生息するマウンテンゴリラ(IUCN/Ludovic Hirlimann 氏提供)

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    日本近海にも生息するナガスクジラ(IUCN/Aqqa Rosing-Asvid 氏提供)

IUCNの分類による絶滅危惧種は、「深刻な危機」(CR、ⅠA類)、「危機」(EN、ⅠB類)、「危急」(VU、Ⅱ類)に細分化されている。IUCNが公表した「レッドリスト」最新版によると、日本近海をはじめ世界の海に広く生息するナガスクジラの個体数は、1970年代と比べると商業捕鯨が国際的に禁じられた効果が出てほぼ倍増し、推定約10万頭に達した。このため、引き続き絶滅が心配されるものの、今回「危機」から「危急」に、また西部太平洋の海域に生息するコククジラも「深刻な危機」から「危機」へと、深刻度は改善された。

また、中央アフリカに生息し、「深刻な危機」とされていたマウンテンゴリラは、生息数が2008年の約690頭から18年の推定で1000頭以上に増えた。リスク評価は「危機」に改善されたが、IUCNは、生息域は人口が増加して耕作が進み、密漁もなくなっていないため、依然絶滅が懸念される、としている。

一方、大西洋、カリブ海やインド周辺の海域のほか、沖縄近海にも生息して食用として重宝されている魚のハタ類は167種の13%が過剰漁獲により絶滅が危惧されることが判明。ハタ類の中で例えば、ナッソーハタは「深刻な危機」に、沖縄近海に生息するマダラハタは「危急」にそれぞれ分類された。

レッドリストは絶滅の恐れがある生物の生息状況などを調べて分類したリスト。世界的に信頼度が高いリストはいくつかある中で1966年に最初のリストが公表されて以降、最新の評価作業により何度も更新されているIUCNのレッドリストが最も権威があるとされる。これとは別に環境省も1991年(同年当時は環境庁)以降、独自のレッドリストを適宜更新しながら公表している。

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