東武鉄道は8日、日本鉄道保存協会が静態保存していた蒸気機関車C11形の動態保存を目的とした復元に着手すると発表した。

  • 復元予定の蒸気機関車C11形。写真は雄別炭礦鉄道時代のもの(撮影 : 石川一造氏)

同社は全国の鉄道事業者からの支援と協力を得て、2017年8月10日から東武鬼怒川線にて約半世紀ぶりにSL復活運転を実施。同事業の目的のひとつに「鉄道産業文化遺産の保存と活用」を掲げており、このたび日本鉄道保存協会から東武博物館が譲り受けた蒸気機関車C11形の復元に挑戦し、日常の保守のみならずSL全般の技術力を磨き上げていくという。蒸気機関車の動態保存用としての復元は、大手私鉄では初としている。

復元が完了した際には、現在、東武鬼怒川線で「SL大樹」として運転している蒸気機関車C11形207号機(現行機)と合わせて2機体制となり、現行機の長期検査時など、復元した蒸気機関車C11形を運転することで、日光・鬼怒川エリアにおいて年間を通じてのSL安定運転が可能となるほか、他線区でのイベント運転等も検討可能となる。

今回、復元される予定のC11形は、1947(昭和22)年に江若鉄道(滋賀県)の発注により、日本車輌製造にて製造。江若鉄道で客車を牽引した後、1957(昭和32)年から雄別炭礦鉄道(北海道)、1970(昭和45)年から釧路開発埠頭(北海道)で貨物列車を牽引して活躍し、1975(昭和50)年の廃車後、静態保存されていたという。復元予定日は2020年冬とのこと。